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“アクティブラーニング”という言葉の使い方/食とまなびのブログ

人は言葉で思考する。
ということは、言葉を知ることは思考が深まることになるが、その反面、間違った言葉の使い方を覚えてしまうと適切に思考することが阻害されると言える。

例えば、“お客様は神様です”という言葉。
これは、演者やサービス提供者側の心構えの言葉であり、提供サービスのクオリティを上げていく為に省みる時の指針となるような言葉である。
しかし、これをお客様側が使ったとたんにギスギスした関係を生み出すことにつながる。

要するに、その言葉を使う最適の主体はどこにあるか?を見極めて言葉を使うことが大事なのである。

“アクティブラーニング”
研修やワークショップなどの学びの場においてアクティブラーニングという言葉を聞くようになって久しい。
この言葉もまさしく同じなのだと気づいた。
この気づきで自分の中にあったモヤモヤがかなり解消された。

アクティブラーニングは学習者本人が使う言葉であって、学習提供者側が使う言葉ではないのだ。

学習提供者側が『アクティブラーニングがより活性化するように・・・』というのは矛盾している。
例えば、『アクティブラーニングをデザインする』『アクティブラーニングを推し進める』というのは、『能動的になれ!と命令した』というような矛盾をそこに感じるのである。
2020年小中学校の次期学習指導要領から“アクティブラーニング”という言葉がなくなるらしい。
学習提供者側がアクティブラーニングにおいて出来ることは、邪魔しないことだけなのだと思う。
(もしかしたら、邪魔しないようにしただけでもアクティブラーニングは阻害されるのかもしれないが・・・)

次に、
“邪魔しない”というところに焦点が当たったプログラムが横行していること。
特に、フェイスブックなどのSNSで募集がかかる安価な(もしくは無料の)ワークショップでは非常に多くある。

安価だからそうなのか。
そうだから安価なのか。

『私達は経験や体験、気づきを提供します。振り返りは各自、ご自身で実施して下さい』というもの。
例えば、ゲームやアクティビティなどを活用するワークショップにおいてよく出会ったことがある。

辛辣な言い方をすれば、経験学習やアクティブラーニングという言葉を都合よく使って、逃げているとも言えるのではないか。

もちろん、いくつかの前提が必要になるだろう。
エンターテイメントの場なのか?学びの場なのか?といった線引き
エンターテイメントとして楽しんでもらうことが目的であれば素晴らしく面白い場は多数存在する。
関係性向上の場なのか?学びの場なのか?といった線引き
関係性向上の場であれば、かなり有用な場が多く存在する。
・学びの定義
うーん、これを書き始めると長くなるだろうから、簡単に書くと、経験から得た気づき(ステップ1)を一般化、概念化(ステップ2)し、転移活用(ステップ3)するまでの一連のサイクルを学びという言葉とします。

私のモヤモヤは、上記でいうところの、ステップ2とステップ3を学習者本人に丸投げするのがアクティブラーニングなのだと言わんばかりの場が多いことによるのだと気づいた。

提供側がその場を“学びの場”と定義するのであれば、本当にそれでいいのか?ということである。

これはアクティブラーニングという言葉を学習提供者側が意識したことで出てきた弊害なのだろうと思う。

答えは提示しなくとも、問いは作るべきだと思う。
一般化、概念化にも、転移活用するにおいても自分事化するための問いが必要となる。
ここで上手に問いを立てられない学習者はアクティブだろうがパッシブだろうがラーニングにならないのである。
いや、ここで上手に問いを立てられないからこそ学びの場に参加するのだろうと思う。

従って、学習提供者側は、ここの問いまでデザインしてこそ存在意義があると思うのである。

問いを立てるということは、実は自分の中に答えを持つということである。
自分の中の答えがなければ問いが出てこないし、問いがなければ答えは出ないからである。
いわば、問いを立てるということは、ある意味、暗に答えを提示していることになってしまうのだが、これを恐れてはいけない。

結論として私が考えるに。

学習提供者側は、“答えは1つではない”という大前提を心構えに置きながらも、“私はこうです!”というスタンスや考え、意思、あり方を発信しないと成り立たないのだと考える。

さらに言えば、生きることとは表現することであり、表現することとは自己主張することなのだと思う。
そこが面白いんだよなぁ(笑)

感謝します。

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工藤昌幸
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