2024年11月19日(火)「有害鳥獣・鹿肉に関するウンチク話」
今日の東京は終日晴れ。
朝方の最低気温は7℃(!)、日中の最高気温も13℃弱迄しか上がらず。こりゃあ、流石のワシでも少々寒い。仕方が無いので、朝の散歩時には長袖着ました。今更!?とのご意見はさて置き(笑)。さて、
昨日は「未利用魚・ダツ」について書いて行きましたが、本日は「有害鳥獣・鹿肉に関するウンチク話」について書いて行きたいと思います(冒頭写真は所属してた猟隊で獲った鹿をバラしたモノ。保健所認可の解体処理施設ではありませんので、一般販売には不適です)。
シカ肉。
世間一般的には、脂身が少なくとってヘルシーな赤身肉、と言うのが定説でありますし、実際中々に美味いお肉だと思います。
シカの旬。
日本の狩猟期間は基本的に11月15日~翌2月15日と言うトコロが多く、先週猟期に入ったばかりですね。では、シカの旬は狩猟が可能なこの時期なのか、と言うと実はそうでもない(狩猟が出来ない時期であっても、害獣である鹿の場合は有害鳥獣駆除活動をやっているヒト・保健所認可の解体処理施設、ジビエ販売業者等から入手するコトは可能です)。
何となくジビエと言うと冬に食うモノ、と言う先入観ありますが、そうでないケースもあるワケです。コレは魚でもケモノでも同じなのですが、産卵期や出産期との関係が大いにあるし、オスとメスでもその時期は異なるんです。
オスは交尾時期の前にメスを勝ち取る為に他の雄と戦うチカラを付けなきゃイケないので、沢山食べて脂肪を蓄える。従い、一般論としては10~11月に交尾期を迎えるシカのオスはその2~3ヶ月前の8~9月頃がカラダが充実して脂肪を蓄えて美味くなる時期、即ち旬であると言えます(交尾期に入ってしまうとフェロモン出しまくりで臭くてアキまへん…)。
メスの場合は交尾期には然程影響を受けず、割と安定した肉質を保っているのだけれども、大体5~6月頃の出産期は避けた方が良いと言われてます。と言うのは、メスは出産や出産後の授乳等で仔に栄養を摂られたりして、体力消耗して疲弊してしまっている為。メスの場合、2~3歳の未経産のモノの肉が柔らかくて味が良いとされてます。
「夏鹿」と言われます。上述の通り、夏には草木が沢山生えてて、交尾期に備えてオスもメスもバリバリ草木(や農作物!?)を食べて脂肪を蓄えるので、この時期が美味いとされるワケです。
シカ肉の栄養について。
では何故シカ肉はヘルシーだと言われるのか?ソレには幾つかの理由があります。
まず1つ目。シカ肉は脂肪分が少なくてタンパク質が豊富。筋トレ派やダイエット志向の体脂肪を減らしたいヒトや筋肉増量したいヒト達にとっては理想の食材であるとも言えましょう。
2つ目。シカ肉には鉄分・ビタミンB群(特にB12)・亜鉛等が豊富に含まれていて、コレらは血液の健康・エネルギー代謝・免疫機能をサポートすると言われてます。
3つ目。シカ肉には、特に魚貝類に多く含まれているとされるオメガ3脂肪酸も含まれており、心臓の健康を支援し、炎症を減らす効果があるとも言われてます。
4つ目。鹿肉は他の赤身肉と比較して低カロリーであり、ダイエット中の食事に最適。
最後に、シカは基本的には野生動物であり(一部養鹿してるトコロもありますが)、飼料や食品添加物の無い自然の植物を食べて育っている為、ホルモン剤や抗生物質等は殆ど皆無に近く(獣害になってる農作物に農薬が散布されてるコトはあるかもですが)、健康志向の食事を求めるヒトには良い食材であると言えましょう。
こりゃあ、食べない手はありませんね。
鹿肉の生食について。
コレは、アカン。つい2~3年前に某グルメ番組でシカの刺身を出してるロケがあって、コレが大炎上してましたが(笑)、シカの生食にはリスクがあるんです。昔からの猟師の中には、生食して中ったコトもないので大丈夫!と言うヒトもおられはするようですが、科学的な見地からすればソレは偶々運が良かっただけか、或いは何かの病気で亡くなったとしてもシカの生食とその死因が関連付けられていなかっただけ、と言うコトなのだろうと思います(と言っても、コレが原因で死亡した比率は可也低いのではありますが)。
そのリスクの原因は何か?主としてサルモネラやカンピロバクター等細菌感染・E型肝炎等ウィルス感染・糞便等に含まれる回虫/鞭虫/鉤虫等寄生虫など。
コレらのリスクを回避する為には、保健所認可の解体処理施設でガイドラインに沿った手順で解体されたモノを入手するコト、キチンと衛生管理された調理場で調理されているコト、厚生労働省が定める「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」に記載されている「十分な加熱調理(中心部の温度が摂氏75度で1分間以上又はこれと同等以上の効力を有する方法)を行う」コトが重要であると思われます。
ソレでも生っぽいのを食べたがる日本人のコトなので、ソレに対処する為には上記ガイドラインに沿って75℃で1分或いは同等以上の効力を有する方法、即ち低温調理で対応すれば良いのだろうと思います(所謂、ローストベニソン、ですね)。
最後にシカの調理法。
オモシロいなぁと思ったのは、シカの調理法は牛肉の調理法を、イノシシの調理法は豚の調理法を参考にすれば良い、と言うモノ。確かに、ソレだ!上述のローストベニソンは丸っきりローストビーフだし、(スネ肉等を使った)シチューやカレーなんかも、ビーフの代用としてシカでやれば良い。しゃぶしゃぶだって、牛の代わりにシカ使っても美味い(霜降りのシカはいないけれど(笑))。ソレだね。そしたら、ナンでも出来ますな。と言うコトで、ココでは具体的なシカ肉レシピには触れません。
以上、鹿肉に関するウンチク話でした。
明日は「醗酵飲料(日本酒)・多賀治」についてお届けする予定です。