『君の名前で僕を呼んで』

皆さん、ご無沙汰しております。2018年に入ってからいろいろと環境が変わったため、なかなかこうして記事を書くということができてませんでしたが、最近少し落ち着いてきて、映画やドラマを観てそれについて考える時間もできたので、またちょいちょい書いていきたいと思います。

とりあえずこの記事のタイトルになっている映画の話。前にも一度『Call Me By Your Name』という原題で記事にしました。そしてやっと4月末に日本でも公開になったので、2回目ですが観てきました。スウェーデン語字幕で観た前回と違い、日本語字幕だったのでフランス語やイタリア語部分の台詞などの情報を理解できました。

監督は『ミラノ、愛に生きる』のルカ・グァダニーノ、主演はアーミー・ハマーとティモシー・シャラメ。大学教授である父についてイタリアで夏を過ごすことになった17歳の内気な少年エリオと、教授のもとで学ぶ学生として、エリオと同じ家に滞在する外向的なオリバーの間の恋の物語です。

僕が記事を書くのをさぼっている間に、3月のアカデミー賞で、脚色賞を獲得した『君の名前で僕を呼んで』ですが、僕がこの映画に惚れ込んだ理由はいくつかあります。

1.青春映画であること=Coming of Ageものであること。
2.ビジュアルも登場人物も美しい。
3.音楽が良い。
4.話が現実的。

僕はこの映画の主人公のエリオの年齢の2倍近くも生きていますが(自分の精神的には17歳なんてわりと最近のつもりなんですけど)、相手に認められたいと思う気持ち、相手の気持ちがわからない焦り、自分が相手をこんなに好きなのに相手が同じくらい好いてくれないことへの怒り、好きな人が自分よりも別の人ともっと仲が良いことを見せつけられたときの嫉妬、そしてそれを全て乗り越えて恋が愛になる瞬間、そんな生々しい感情は今の僕に芽生えてくることはありませんが、それでもそんなシーンを映画で見せつけられたら、共感できないはずがありません。

4つもリストアップしておいて、2以下は書く気はあまりないのですが…。ストーリー自体は、わりとゆるめなんですよね。例えば今年3月に日本公開の『リメンバー・ミー』みたいな、典型的な3幕構成みたいなのでは全然ないし、ただただヨーロッパでの夏の生活を描いている。おかげでイタリアに行きたくなりました。

映画館の部屋を出ると、ロビーのところにメッセージボードみたいのがあって、いろいろとキャラクターに向けられたメッセージが書いてありました。それだけ感情移入する人が多いんですね。公開前は「めちゃくちゃ良い映画だけど、これって日本では誰が観るんだろう」とか思っていたのですが(すいません)、僕が見に行った日は全ての回で売り切れていたりで、うまくやっていたようです。どうして観に来たのか、観てどう思ったか、いろいろな人にきいてみたかった。

ちなみに一つだけ難点をあげるとしたら、エリオのピアノ。ティモシーがピアノを頑張って自分で弾いた点は評価するとしても、あのパフォーマンスで「musically talented」というには、ちょっと無理があるかと。弾きながらバッハをリストやらブゾーニやらビルトゥオーゾ系の作曲家風のアレンジで…云々言うところがあるけれど、こらっ、という感じでした。でもまあ、それもそこまでひどいものではなかったので。

ところで、ちょうど今はカンヌ国際映画祭の時期なんですよね。ちょっとそれについてはまたあらためて書きたいなと思います。

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