Story 4. WOOLTILEの商品開発
ブランド名 : WOOLTILE コンセプト : DIYカーペット ロゴ、ステートメントが決まり、いよいよ商品開発です。5000万円を売るためにどのような商品であるべきなのか?2年後、3年後の流通はどうなっているか?キャッシュフローや物理的な置き場所、オペレーション含めてどう対応していくのか?などを頭におきながら商品開発を進めてきました。
上代設定を考える
上代を考える上で、原価計算をし、その上で検討していくわけですが、今回の商品の特性上、「DIYを楽しむユーザー」、「中古物件を買ってリノベーションをするユーザー」ということを考えると、必然的にあまり高い商材にしてはいけない、ということは予めわかっていました。ですが、ものづくりの特性上、どうしても原価は高くなってしまう。これは僕の感覚でしかありませんが、¥4,500/枚以上の単価では、想定しているユーザーには響かないのではないか?と思っていました。
¥4,500/枚(50cm✕50cmサイズ)というのは、どれくらいの価格か?
いわゆるホームセンターで売られているタイルカーペットは¥500〜¥1,000/1枚で売られています。「ラグ」として考えると、¥50,000/1枚以下か、それ以上かで大きく売上枚数がかわってくると言われています。「敷き込み」ということを考えると、一般のお客様にはいくらかかるのか、まったくと言っていいほど「価格感」はない商品といえます。もし堀田カーペットのwoolflooringを敷き込むということを考えると、6帖で工事費を入れて30万円程度になります。ちなみに、1㎡では¥18,000/㎡ですので、一般的なフローリングや、安いカーペットと比較するとかなり高い商品に感じます。
WOOLTILEの価格感
50cm✕50cm ¥4,500/枚
1㎡(4枚) ¥18,000/㎡
ラグサイズ 200cm✕150cm ¥54,000/1式
6帖の部屋 約9.72㎡ ¥174,960/1式
皆様の感覚的に、この価格感はどんな風に感じるでしょうか?
僕自身様々な人にリサーチしましたが、「安くはない」という結論になりました。
「安くはない」という感覚は、逆に言うと「高すぎるわけではない」(超ポジティブに考えていますが・・・)という意味でもあるので、価格感として悪くないと思っています。できれば、¥3,500/枚くらまでおさえられればベストだと思っていましたが、原価としてまったくなりたたないということもあり、自分自身でこれでやりぬく!ということを決定しました。
自社ECを主線に考える
Story 2. WOOLTILEブランドの組み立て(流通とチームをづくり)でも書きましたが、もともと「DIY」という市場を考えると、価格はそれなりに訴求できなければいけないということも考えていました。でも原価はとても厳しい。そこで、堀田カーペットとしてはじめて自社ECを立ち上げることを決め、売上の主線を「卸」を前提にするのではなく、「自社EC」に置くことで、利益を確保するということに決め、そのためのコミュニケーション設計に力をいれていくことを、このタイミングであらためて決定していきました。
予算と商品開発の考え方
5000万円 ÷ (¥4,500/枚✕70%) = 15,873枚 = 3970㎡ = 397件
上代の70%の計算においたのは、全く卸をしないわけではなく、一部卸は行う前提で、平均70%掛け率での計算(かなり低めにみていますが)にしています。6帖のお部屋に敷き込んでいただく件数を計算すると397件/年、34件/月。今現状のカーペット市場からすると、なかなかチャレンジングな目標ではありますが、実際に日本の住宅市場は、現時点で80万件/年(約66000件/月)建てられています。堀田カーペット敷き込み用カーペットブランドwoolflooringの売上件数から考えると、高いハードルではありますが、クリアできる可能性がある数字です。
以下のような販売計画を立てています。
1年目1000万円(6件/月、72件/年) 2年目2000万円(12件/月、144件)
3年目3000万円(18件/月、216件/年)5年目5000万円(30件/月、360件)
ラグブランドCOURTのときの経験から、2000万円くらいまでの売上は、今の組み立て(主線を自社ECにする)でなんとかやっていけると思いますが、その後5000万円までの売上確保は、おそらく主線となるECだけではなく、複線で考えていく「卸」に関しても、「主線」に匹敵する流通をつくる必要があると思っています。OEMの可能性、建築市場の卸の可能性、小売の卸の可能性、将来のこのような可能性に備えて、WOOLTILEの商品政策、商品開発を進めています。
また、「DIY感=床を自分らしくつくれる感」が伝わりやすい商品、簡単に施工ができることや、組み合わせを楽しめる商品をつくることも、重要なので、全体感を考えながら商品をつくっていきます。
WOOLTILEの商品
上記のように考えてきた結果、WOOLTILEのはじめの商品はこんな風になりました。
商品名 : PUZZLE
商品数 : 8色 各4柄 32SKU(1枚単位での販売)
全商品ラインナップ
4枚での組み合わせ
上記写真では4枚での組み合わせだけですが、枚数を増やしたり、様々な色を組み合わせたり、自分の好みに合わせて自由自在に床がつくれる商品になっています。
裏面には滑り止めがついていて、そのままおいてもお使いいただけますし、カッターナイフと定規があれば、自分で切ってお部屋いっぱいに敷き込むことも可能な商品になっています。
またこれからのOEMのことを考えると、色を追加していくことでオリジナルで色がつくれ、その色と定番の色とを組み合わせて使うこともできます。商品の特性上、認知に時間がかかること、お客様の購入までの時間がかかること(家の計画をしてから実際に家が建つまで最低でも3ヶ月、長いときは1年以上かかります)を考え、2年に1回の新商品開発を考えています。
このようにして、WOOLTILEの商品は開発されました。もちろん商品開発をしていく中で、PUZZLE以外の柄の検討も様々進めてきましたが、最終的にもっとも組み合わせが楽しめる商品として、PUZZLEを一番最初の柄として発表することを決定しました。
まとめ
ブランドの建て付けから始まり、組み立て、そして商品開発。順番としてはこの順番で進めてはいきますが、実際の作業ではずっと行き来している感じです。建て付けを考えているときから、なんとなく商品のことも頭の中にありましたし、上代に関してもずっと頭の中にありました。次のStory.5ではコミュニケーションについて書いていきますが、コミュニケーションもブランドの建て付けのときから考えていました。
ブランドをつくり、商品をつくっていくということは、これらのことをずっと行き来しながら、修正を繰り返していくことで、より強いブランドになっていくのだと思います。
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