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哲学とは何かをちょっと考えてみる
哲学について思うところをちょっと。
ある時期から、哲学者と名乗ることを、まあ、べつにいいかと思うようになった。ただ、背景としては、そもそも「批評」という言説のあり方にこだわっていた。批評というのは、哲学よりも具体的、よりフレキシブルなもので、厳密な論証よりも一種の身体的な必然性が関わってくるような何か……だと思っていた。だが、いつの間にか、批評と呼んでいたそれをほとんどそのまま哲学にスライドしてもかまわないのではないかと思うようになったのかもしれない。
日本において、文芸批評が独特の力を持ち、そこから柄谷行人のような、後年に世界的「哲学者」と見なされる人が出てくる不思議な結果にもなるのだが、2000年代のある時期までは、アカデミックな哲学(研究)と、より自由なものとしての批評の対立はかなり意識されていたし、「批評的で哲学的」といったものは、あえて「思想」と呼んだりとか、いろいろな配慮があった。(このあたりは、大学における学部編成の問題とも関係しているのだが、省略する。)
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