経営戦略の考え方、プロダクトと経営戦略の結び付け方
皆様、こんにちは!
テックタッチ株式会社のCFO/CPOの中出 昌哉(なかで・まさや)です。(@masaya_nakade)2024年の夏にCPO協会の理事に就任したということもあり、この記事では経営戦略の身に付け方と、経営戦略とプロダクト戦略のつなぎ方について書ければと思います。
【内容サマリー】
・経営マインド、経営戦略の身につけ方
・経営戦略とプロダクト戦略をどの様につなぐべきなのか(の僕の考え)
・プロダクトマネジメントに関わっている方だけではなく、製品を保有する会社に属するすべての人の視野・経営能力がすこーしだけ上がる(はず)ノウハウの共有
【おすすめの読者】
・本気で働いているみなさん
・プロダクト・製品を作って販売している会社に属しているCxO、VP、将来的にその様な立場になりたいと思っている人(特にプロダクト関連の方にはお勧めなはず!)
序章:経営戦略とプロダクト戦略の関係性
まずは、この話の背骨である、経営戦略とは?という点と経営戦略とプロダクト戦略ってどの様につながっているの?という点について記載できればと思います。
みなさん、プロダクトを保有している会社であれば、「プロダクトマネージャー(CPO)はミニCEO」という言葉は一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。僕はこういうキャッチーな言葉を理解する力が著しく低いので(笑)、全然理解できなかったですし、今でも理解できていないです。
僕は、経営を本気で考えると、すべての職種が、ミニCEOであるべきだと思ってしまうのと、CxO/VP等の役職に限らず、せっかく本気で働いているのであれば、全員がミニCEOになればいいのに(大きすぎる会社であればミニ役員でもいいんですが)と思ってしまいます。
なぜそう思うのかというと、
僕が前職で仕事を一緒にさせてもらった、尊敬する経営者の今でも忘れない言葉で、「そもそも、経営戦略がまず何よりも先にあるべきで、それができれば自ずと、要員計画・資金計画・製品計画ができるよね。細かい要員計画(採用計画)についてばかり今話しているけど、まずは経営戦略に一回立ち返ろうよ」という言葉があります。
この発言の意図は、細部の話ばかりしていないで、根幹の議論に立ち返ろうという発言だと感じています。そして、この発言は僕がおぼろげながら考えていたこととマッチして、ハッとしたのを覚えています。また、今でもこの順番で物事を考える癖がついています。
僕はCFOとCPOを兼務しているので、CFOとしては、経営戦略を先に考えた上で、どれぐらい資金が必要で、どれぐらいどこに資金を投下して、どれぐらいのリターンを狙うのかを本気で考えますし、CPOとしても、経営戦略を先に考えて、その経営戦略を達成するために必要なプロダクトは何かを考え、そのあと機能について考えます。これはすべてのファンクションにおいて必ず当てはまることだと思っていて、先ほどの例をあげるなら、「CxOは全員ミニCEOである(というよりそれができないならCxOではないよね)」の方が圧倒的にしっくりきます。
少し長くなりましたが、プロダクト戦略を考える際には、まずは経営戦略を考えた上でプロダクト戦略が付いてくるというのが僕のポリシーで、経営戦略とプロダクト戦略の関係性への理解になります。
なので、このnoteでは、経営戦略をどうやって考えればいいの?という点について厚めに記載して(そうでないとプロダクト戦略を作れないはずなので)、そのあと、その経営戦略とプロダクト戦略をどの様につなぐべきかについて記載します。
経営戦略を考えるヒント
「経営戦略を考えてください」と言われて、パッとできる人はあまりいないのではないでしょうか。経営戦略を立てられるか否かというスキルは、マインドセットと経験と知見で成り立っていると思っているのですが、マインドセットや知見は経験がないと成り立たず、経験を積むためにはある程度知見やマインドセットがないと、そもそもバッターボックスに立たせてもらえないので、鶏と卵状態になって、うまくできない。それが難しくしている要因だと思っています。(ちなみに、テックタッチで僕と一緒に仕事に向き合ってもらえれば、バッターボックスにも沢山立てるので、ご応募をお待ちしております!(笑))
さておき、バッターボックスに立つ機会が得られなくとも、「経営に思いを馳せる」と「疑似体験」は誰にでもできるので、それがお勧めです。
1. 経営に思いを馳せる:経営について本気で考えてみて(勝手に)、経営陣に自分の考えを共有・提案して思考をブラッシュアップする(あわよくば小さいチャンクでも自分でやる)
2. 疑似体験:その意思決定が正しかったのかを見て自分の経営センスを磨く
実際その二つが僕がずっとやってきた方法で、明日から誰でもできる(やる気さえあれば)ことです。そして、その方法を次章以降に記載できればと思います。
経営を考えるマインドセットの作り方
経営を考えるための1st stepは、前述の通り、経営に思いを馳せることだと思います。これは、誰でも意識さえすれば絶対にできます!
要は勝手に、経営について本気で考え、経営陣に問いかけるだけなので(更に理想でいえば小さく行動に移してみるだけ)、できない理由は思い当たらないです。
唯一あるとすると、その人のマインドセットの問題だけなので、極論モチベーションと目線さえ上げればできるという結論になってしまいます。
よくある根性論に近いアドバイス(君は目線が低いからもっと高く持つべき、という類のアドバイス)が横行してしまうのもこれが理由だと思います(なのでそういった意味では100%間違ったアドバイスではないということにもなります。ちなみに、アドバイスの仕方が間違っているので、Howは100%間違っていますが)。
僕はそういうアクションに落とせないアドバイスは、数多くもらってきて、全て無視してきた人なので嫌な気持ちがよくわかります(笑)。
そして、この問題に対する僕の答えは、誰でもマインドセットは作れるというものです。
少し昔の話になりますが、新卒で金融機関に入ったときに、僕が配属された部署は、M&Aのアドバイザリー部門でした。バリュエーション(企業価値の算定)に始まり、法務・財務・税務・ビジネスをある程度理解し、巨大なM&Aをリードする役割なのですが、その分細部の細かいところまでかなりこだわる職種でした。(ミスしたときのインパクトが大きいので)
新卒時代は、細かいことにこだわることができずに、ミスばかりをしていました。その度に、上司からもこっぴどく怒られ、お客さんに迷惑をかけることもしばしばありました。そのようなことがあると、常に上司からは「しっかりやれ!」「プロフェッショナル意識を持て!」という強い言葉をもらうことが多く、自分もこれはどうにかしないといけないぞと強く思いました。ただ、それでもミスは改善せず、自分ではプロフェッショナル意識を持とうとしているのに、それを持てない、ダメな人間なんじゃないかと本気で悩んでいる時期もありました(控えめにも新卒一年目はやる気だけが先行して空回りしている人間だったと思います)。
そのような中、お目付け役だったメンターが、メールでアドバイスをくれました。
それは、「顧客に出す前に、資料を印刷してダブルチェックしたら?」でした(たしかどこかのブログで見た記事で参考になると思うからというトーンで送ってくれたと記憶していましています)。めちゃくちゃ簡単なアドバイスで半信半疑だったのですが、藁にもすがる気持ちで、次の日からしっかりと実行しました。
そうすると、印刷物なので文字が目に入りやすく、細部まで目がいくようになり、ミスが激減したのを今でも思い出します。そして、ミスが減ったことにより、絶対ミスをしないぞ!自分は誰よりもプロなんだからという相当強いプロフェッショナル意識が芽生えるようになりました。
僕は、この話が全ての原体験にあって、どんな意識でも絶対に日々の行動で身につけられると思っています。
例えば、宗教だって、いきなり神様を信じるというよりは、日々のお祈りから始まり、最終的には理解に通ずるようになっていたり、人のマインドセットはその様に醸成されるものと強く確信を持っています。そして、カルチャーが強い会社には必ず社内用語があって、その社内用語をみんなが使うことによって、どんどん行動が変わっていく、結果として強いカルチャーが形成されていくので、組織も同じなんだと確信しています。
なので、経営を考えるマインドセットを持つためには、マインドセットを持つべき!という根性論では絶対になく、日々の行動の改変から始めるべきというのが、僕のお勧めで、僕の背骨の考え方です。
じゃ何をすればいいの?については、次の章に記載します。
経営戦略を考える思考力の作り方
経営戦略とは、「今やるべき一番重要な課題をあぶり出して、高速に大きいアウトカム(成果)を出す」ということに尽きるというのが僕の考えです。(ポートフォリオを組んでいるような大きい会社であれば、その中の重要ポートフォリオのあぶり出しとそこへのアプローチだったりしますし、単一事業なら、売上・利益をブレイクダウンしながら長期的に一番価値が大きいところを見つけてアクションして結果を出す事だと思います)
そういった意味で、経営戦略を考える上での思考力の作り方は以下をすることだと思っています(少し長くなるので割愛しながら書きます。それでも長いですが、、苦笑):
A. 経営課題候補をあぶり出す
B. 経営課題を洗い出した後にやることを決める(やらないことを決める)
A. 経営課題候補をあぶり出すについては、以下のようなことをすることをお勧めします:
1. 分解する
2. フレームワークを使う
3. N1インタビューをする
4. 様々な情報に触れておく
以下、一つ一つ解説していきます:
1. 分解する
三つ以上の項目に分解する作業になります。
例えば、「顧客」について分解するとしましょう。ひとくくりにするのではなく、年齢や地域のセグメントで分けたり、新規顧客と既存顧客といった具合に、属性で仕分けすること等です。
分解するうえで注意するべきことは、必ず「四則演算の形になっていること」(足し算、引き算、掛け算、割り算)です。そうすることで、必ずMECE(もれもなく、ダブりもない形)に構成され、その後につながりやすくなります。足し算の例であれば、売上高を新規顧客の売上高+既存顧客のように分解することですし、引き算の例であれば、利益を売上−コストの様にすることですし、掛け算であれば、売上高を単価×顧客数に分解することですし、プロダクトのスティッキネスをみるために、DAU(日間アクセスユーザー)/ MAU(月間アクセスユーザー)で割って分析をしてみたりすることになります。
このように分解することの意義は何でしょうか。
それは、課題の解像度が上がることです。例えば、会社の離職率を例にとると、退職率の課題をざっくり全て出し切ろうとしても見落としが出てくる可能性が高いですが、入社年次等の軸を入れることで、特定の年次を超えると高くなる・低くなる等の課題を特定できそうな切り口が複数出てくるため、このような分解を行うのが良いと思います。これは、初等数学と一緒で、何を変数として何を定数とするかの考えに非常に近く、変数(変えたいもの、変えたときにインパクトが出て変えられるもの)・定数(変えられないもの、ルール、変えてもインパクトのないもの)を決める作業になります。
また、これをせずに、社員のインタビュー等を始めてしまうと、情報の海に飲まれてしまうので、一度ステップバックして問題の根源は何かを考えることから始めるのがお勧めです。
2. フレームワークを使う
経営分析のフレームワークはたくさんあるので、GoogleやChatGPTでざっと調べてみることをお勧めしますが、経営ではSWOT分析、3C分析、PEST分析、5フォース分析等が挙げられますし、ITプロダクトを考えるためには、AARRR(アーモデル)、リーンキャンバスなど様々なフレームワークが存在しています。どんなものがあるかを頭に入れておくと、課題を網羅的に立てられると思います。
例えばタクシー産業の場合、基本的には、ドライバーの数×稼働率で売上が決まります。ただ、それをいくら分解しても、Uberのような破壊的なイノベーションに気づくことはないと思います。この課題を俎上に載せるには、前述したPEST分析等を通じて気づいたりすることもできるため(PEST分析のTの箇所はTechnologyなのですが、このTechnologyをリサーチすれば必ずUberのようなサービスが出現していることには気づくことができます)、1(分解)と複合的に使うことになると思います。
あらゆるフレームワークは、課題となる候補の洗い出しのための「分解と定数化」を補助していると私は考えています。フレームワークを使い、分解を実施(例えば、PEST分析であれば社会というものを四つに分解しているだけ)、その中で定数と変数を決める作業なので、1と近しいことを網羅的に実施しているということになります。
3. 顧客インタビュー
N1インタビューをすることがお勧めです。具体的には、一人の顧客にインタビューをすることで、経営や数字だけでは見られない情報を可視化し、課題を抽出していく作業になります。これは、課題を発見した後の解決策のHowを決める際や、数ある課題を列挙した後に、本当に重要な課題を抽出するためのプロセスにも使われるので、かなり頻度高く出てくる手法です。実際にやることは、一人の顧客へのインタビューにより、本当に顧客が求めていることやペインやジャーニーマップを理解することで、課題の列挙、顧客の求めているものを理解するというプロセスになります。
重要なことは、そもそもどんな仮説を証明したいのかを強くもつことです。そして、その仮説を証明するために一番のペルソナはどんな人で、どのように該当のペルソナに会えるか、「顧客をどのように抽出するか」。まっすぐすぎる質問をぶつけても回答は返ってこないため(顧客は自分自身が望んでいるものや消費の背景を通常理解しておらず、インタビュアーが質問すると回答は概ねYesになりやすいため、、質問項目の設定方法と質問の仕方等が重要になります。
4. 様々な情報に触れておく
同業・他業種問わず様々な情報に触れておくのはとても大切です。経営者が好んで歴史の本を読んだり、様々なインプットをしていることとも理由は同じなのですが、どこかで知った情報がアナロジーとして使える(様々な経験やインプットしてきた情報が、全く違う文脈でヒントになる)瞬間が来るからです。例えば、米国にSalesforceという世界最大規模のITソフトウェア会社があります。Salesforceには、AppExchangeという専用ストアが存在しています。これは、iPhoneのAppStoreのコンセプトがベースとなっており、スティーブ・ジョブズのアドバイスに基づいて作られたという話があります。
B2C(対個人向け)のビジネスで考えていることがB2B(対企業向け)でもアナロジーとして使用できるということを示した、個人的に好きなストーリーなのですが、まさにこのような発想として使える可能性があります。
なお、私個人としては、毎週本を読みますし、他社の経営陣と週に2~3回はお会いさせていただき情報交換をしています。また、直近では、経営するうえではグローバルのAI関連ニュースのキャッチアップがマストに近いので、数十種類の情報メディアから、AIに関係する情報だけを自動で抜き出し、その要約が自分の元に届くような仕組みを、ChatGPTを使いながら構築していたりもします。
以上がAの経営課題候補をあぶり出す方法になります。
次に、Bの「経営課題を洗い出した後にやることを決める(やらないことを決める)」については、これは、インパクトと難しさで決めることになると思います。数ある課題の中で、インパクトが出て簡単にできるもの(そんなのがあればやっている気もしますが)を一番最初に着手すべきですし、それ以外は課題候補を並べながら考えることになると思います。タイムラインも含めて考えることで、難しくて時間がかかりそうだけれど、インパクトが大きいものはいつまでにやらないといけないか等優先順位が炙り出せると思います。
上記のようなことをすることで、経営に対する感度が上がると思います!
そして、このようなことを繰り返しやっていると経営の視点が持てるように徐々になると思いますので、お勧めです!(実際僕も息を吸うようにこれをやっています)
経営戦略に立脚したプロダクト戦略・ロードマップの作り方
前章をやっていれば、自ずと経営戦略をインストールできると思います。ここまでくれば、プロダクト戦略まで落とすことも、ロードマップに落とすことも容易だと思います。
プロセスは、二つに分かれます。
1. 経営戦略から何をすべきか考える
2. 細かく試していく
こちらも一つ一つ解説していきます:
1.経営戦略から何をすべきか考える
経営戦略は、やることの列挙と、やることでインパクトが大きい箇所+実行できそうな場所をあぶり出すことで、要するに「やることとやらないことを明確にする」ことなので経営戦略を考えていくと、大きいチャンクでやることが見つかるはずです。
例えば、経営戦略上重要なものは、以下が考えられます。(あくまで例なので参考です):
- マーケットシェア奪回
- 大規模な資金調達で他社との差別化をXXという領域で図る
- 解約率の低減
- 新しいサービスの提供、等
このリストの中から、一番実行できそうで、一番インパクトが大きいところはどこかを考えていきます。(ちなみに、これは、上記に記載した、問題点の可視化をMECEにした後に、いくつかピックアップしたと仮定してください)
例えば、仮に「マーケットシェア奪回」が一番重要な経営イシューと定義した場合には、基本は、商談獲得フェーズ、営業(B2Bなら)・獲得フェーズ、育成・解約フェーズ等の大きなチャンクにブレイクダウンされます。
さらに一つ一つがブレイクダウンされるはずで、例えば、商談獲得フェーズは、マーケティングの話もあれば、PR、BDR、パートナー様とのリレーション等様々な中規模のチャンクになると思います。
本気のプロダクトマネージャーであれば、このタイミングでマーケティングチームやパートナーチームに何が原因でうまくいっていないのかをヒアリングしたりもすると思いますし、顧客にも絶対インタビューしにいくと思います。(なんなら、マーケティングチームやパートナーチームに対してもアドバイスをすると思います)
そして、なぜうまくいっていないのかの仮説がいくつもでるはずです。
例えば、他社は、AIカンパニーとして認知されているけれど、自社はそうではないので、そこで大きくブランドイメージに影響を与えているのが原因だぞ。や、コンペになった際に、機能差分で負けていて、ここがインパクトが大きそうだな、や、パートナー様が販売に苦戦している理由はこれだぞ。等です。
その理由を見つけた後に、本気のプロダクトマネージャー(ミニCEO)なら、全社的な役割分担を可能な範囲で実施しにいくはずです。上記の例でいえば、明確にマーケティングチームやセールスチームのボールになっている部分もあれば、プロダクトでの機能追加で戦える場合もあると思います。
やるべきことが見えてきた後に、プロダクトマネージャーの得意領域はプロダクト戦略のはずなので、プロダクトロードマップを上記の思考をベースに作るはずです。
ですので、僕は、プロダクトロードマップは、経営戦略のロードマップや他部署が検証しているロードマップと並列関係にあるべきだと確信しています。
例えば、飲食店を経営している会社でプロダクトマネージャーをしているとします。その会社で、フードの注文ができる自社アプリの機能改善を任されているとします。テイクアウトや、決済機能、メニュー機能を拡大したいと思っており、あなたがプロダクトマネージャーだとしたらどの様なロードマップを引くでしょうか。
例えば、よくあるのは、以下のような、いつどの機能を出すかと大きいチャンクに分かれたロードマップだと思います。
これでは、正直、いつどの機能が出るかだけの表になっています。機能がいつ出てくるのかを一瞬で思い出すためにはいいかもしれませんが、それぐらいの用途のものになってしまいます。
プロダクトも全体の経営戦略の中にあり、他の施策(例えばマーケティング活動とも連動しているはず)との連関が上記の図では見えないので、本来的には、ロードマップは、以下の図のようになるべきだと思います。(少なくとも僕はそうしています)
以下であれば、経営戦略や他の戦略と並列関係にあり、連続したロードマップになるはずです(実際には作らなくてもいいんですが、少なくとも頭の中の整理としては絶対にそうなっているべきだと思います)
少し補足説明すると、上記であれば、単価の向上と購入回数を向上させようとしているのが戦略の骨子にあることがわかるし、それぞれ、20%、30%の向上を狙っていることもわかります。また、例えば、単価でみると、赤枠で囲まれた部分がプロダクトで担当していることではあるものの、その他にも製品企画部で新商品の開発もしているんだなということが明確になります。
また、購入回数向上についても、マーケティングとも密接にかかわっているんだな(マーケティングを踏めば、新規ユーザーは増えるので当たり前なのですが、全社として何をしているのかを理解するのはマストだと思います)ということも明確です。
また、20%向上を狙っているときに、どこがどれぐらい寄与する予定なのかというブレイクダウンもわかりやすく書いています(今はX%と記載していますが)。
これがまず一番大上段のロードマップになるべきだと確信していて、全てのロードマップがこれを前提に作られているべきだと思います。
そして、もしそれが難しいよーということであれば、
個人的なお勧めは、少し長めの事業計画を自分で作ってみることです。
少し長めの事業計画を作ってみると、その事業計画を達成しようと思ったときに、どこがネックになりそうかを深く理解でき、それをベースに何をプロダクトでカバーしておくのが効率的か一目瞭然だと思います。また、自分たちが全体で何をしようとしているのか、そのどれぐらいのチャンクを担っているのか、他の部は何を担っているのかがクリアになります。
なので、煮詰まったときには事業計画を自分で作ってみるのをお勧めします。(もしくはCFOを捕まえて、事業計画の後ろにある文脈をインストールするのがいいと思います)
それを通して、中期の計画を達成する際のボトルネックになりそうな箇所・ストレッチがかかっている箇所がわかるので、そこに対してできることが明確になっていくと思います。
この行動をするだけで、経営目線が徐々についていくはずなので、マインドを変えるために実施をお勧めしている方法の一つです。
2.細かく試していく
上記ができれば、ロードマップの80%はできているので、後は仕上げフェーズに入っていくのですが、
機能の仮説・種は以下で作っていく形になると思います。
- 顧客理解を徹底的に高める
- 社内の関係部署を徹底的に理解する
- 市場動向や技術動向や他社動向を理解する
(この詳細を書き出すとこれだけでnoteを一つ以上執筆できるレベルなので、割愛はしますが…)
そして、上記で得た機能の仮説・種を線表に落としていくことになります。
例ですが、
1. 解約率の低減
が経営戦略上大事だと位置づけたとして、
2. その上で、プロダクトでAという機能を使っている顧客の解約率が一番低いのを発見したとします。(顧客がなぜそうなのかもヒアリングを通して理解)
=>ここまでが上記の内容になります。
その後は、このAという機能を使ってもらうために(もしくはAという機能をより発展させ別の機能を作るという仮説も出る気がしますが)、どのような工夫がプロダクト上できるのかというイシューが、プロダクトで解くべき課題になり、これがロードマップになっていくというイメージです。
この際に、個人的には、以下のようなロードマップがよくあると思いますが、避けた方がいいと思います。
上記のロードマップはよくある、機能をこのversionで出します!というのを載せたものですが、これでは不完全だと思います。なぜなら、課題を解決できる可能性がある機能は複数あるはずだからです。また、機能候補はある程度は絞れるものの、最終的にはリリースするまでどの機能が正しかったかの結果はわからないことが多いからです。
その点を考慮すると、よくある上記のロードマップには、大きく欠落している点が二つあると思っています。
1. 何が当たるかわからない中、当たるのが確約されているロードマップになっている(ように見える)
2. 経営上の課題を解決するためのものだったのに、元々の意図が表現されていない
1については、上記のロードマップには、機能自体を書いてしまっているので、小さく出して、検証するというプロダクトを作る上での教科書が度外視されているのが気になります。例えばリリース後反応がいまいちだった場合、急に今まで記載されていなかった、別の機能がロードマップにのってくることとなり、前のロードマップはなんだったの?という不信感にもつながりますし、自分の頭の中にある仮説検証の道筋が表現されていないように感じます。(それか仮説検証が頭になく、出してから考えるという頭になってしまっているか)
2については、現在のロードマップでは、経営上で何を考えていて、何を解決したかったのかという論理が飛躍されている状態なのが問題点になっていると思います。
そのため、僕が推奨するロードマップは以下の通りとなります。
このような図のような形にすることで、最終的に目指すべき方向性と、機能候補(どの様な状況になったときに、どの機能を出す予定なのかというPDCA)が全員明確になると思います。
少し補足すると、
1. まず最初になぜ初回利用率を向上させようとしているか、どれぐらいの目標なのかがクリアに書いており、
2. プロダクト以外の施策も多分に含まれるので、それが明記されていて、足並みが全体としてそろっているのと、他チームの動きも明確
3. MVPで機能を出した後の反応次第で、機能の出し方を変更できるロードマップになっており、1.3xがすぐできた場合は本機能への変更。1.1~1.3x程度の場合は、オペレーションの変更や、他の近しい機能仮説がやることが明記。1.1xも出なかった場合は、基本はMVPは潰す前提になっていることも明記。
4. アジャイル的な発想が表に出ていると思います。まずはどのような状況を目指しているのか。どのような状態になれば、MVPから本機能に昇華させるのか、どの様な状況であれば、MVPから昇華させず落とすのか、等がわかるので、全員が同じ目線で開発ができるはずです。(お客様にもそのように伝えられると思います)
こうすることで、何をどの順番でする予定で、それはなぜで、今後の展開も表現しているので、より全員が同じ方向性を見ながら開発ができると思っています。
このような形で運営すれば、経営戦略とプロダクト戦略はかなり密接に絡み合うと思います!是非一度試してみてください!!
最後に
文中に記載した通り、誰でも上記のトレースはできると思いますので、是非何かしら明日からやってもらえるとうれしいです!!
そして、面白かったら是非Likeしてもらえると助かります!
そして、一番重要な話ですが、
テックタッチは、一緒にビジネスを拡大してくれるメンバーを大募集中です!少しでも興味があればお話ししましょう!!めっちゃいいチーム・いい事業だと思います!
そして、僕個人は新しい事業を立ち上げているので、そちらのメンバーも熱烈大募集中です。是非ご応募ください!!
会社HP:https://techtouch.jp/about/
そして、その他の僕のnoteはこちら: