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海外に学ぶ社内デザイナー競争

今回は、海外の割と熾烈だった社内デザイナー競争(コンペ)の話を書いてみます。
海外に学ぶデザイナーのキャリアと合わせて読むと面白さが上がるかもしれません。

下記の例は、割と日本では見ることのない文化です。
社内の競合・コンペなのに負けたら、退職がバンバン出ます。
数少ない目立つチャンスだからです。

ので、、、みな恐ろしいほど真剣です。


同じ真剣度が、例えば日本の環境で再現できるのかはわからないのですが、とにかく馬力を出す人たちはどんな感じなんだろうというのは、わかるかもしれせん。
そこに、皆さんの環境を重ね合わせた時に意外と面白い形が見えることもあるかも、というような趣旨です。

まず、サンプルとしては、グローバルブランドデザイン会社※です。
広告代理店の中でもクリエイティブに寄った会社。メディアやマーケでなく少ないコストで、その手があったか的アイディアとバズを作るというようなポジションです。

サンプル会社の内情

・若手は赤字を出しながら働いている。
主要都市の物価は日本の平均よりも高く、給料は低いです。
なぜ、人が集まるのかというと、キャリアに対する投資と考え、タダでも入りたい人がごまんといます。
ちなみにこのサンプルでは、一桁万円ぐらいの人もいました。各国の巨大都市としては、生活費の1/3を出せるかどうかというレベルです。
当たり前ですが、若手たちはエリートで、わざわざ来てます。

・ディレクターレベルは、在籍2年で結果を出さないと無能のレッテル
だいたい1.5年ぐらいで、結構ピリピリと結果を求められる
と思います。アワードであれば、1 - 2回ぐらいのチャンスです。
若手と比べると、数十倍の給料をもらっているので、生活は安定していますが、精神的には、戦いの中

・クリエイティブの会社内地位が高い
国や会社の特性上、営業、マーケ、バイイングを機能させられない場合は、クリエティブが差別化を担当するので、地位が高くなります
その分、責任も負わされるので、日本と同じ業務をしていて単に給料が高いということでなく、プロジェクトのリーダーになるので、高いというイメージです。
しくじれば責任は取らされます。ので、みなクリエイティブとしてのポジションを守りたい、進みたい雰囲気。

・他の会社でも似たようなことをしている
こういったことを複数の会社が行うと、業界全体の流動が激しくなり、早く辞めることや負けることをリベンジできるチャンスが増えます

・一業種一社をクライアントに迎える
これは海外の文化で、VWを受けたら、トヨタを受けないみたいな話です。つまり、同じクライアントや課題の上で、同僚(先任)と戦うことになるので、わかりやすい実力の見せ合いがしたいなと思っている

社内デザイナー競合(コンペ)

社内コンペの名は、『赤い目』と言われていて、嫉妬を意味するどっかの国の言葉でした。(ちょい前なのと、語学があまりだったので、詳しくは忘れました、、、)

開始前のルール
・全社員が参加できる
  ※部長クラスは自分の力を見せつけるために実質参加必須
・匿名制
・A3で企画名、クライアント、コスト、フロー、効果など全てを表現
・課題、クライアント、設定などは自由
  ※ただし実現できるもの
・私費による外注などは自由
 ※コピーライターが絵が下手な場合、自腹で外注して絵を作るということです。
・準備期間は1ヶ月
・一人2アイディアまで
・年に一回開催

審査

・集まったアイディアを全て壁に張り出す
 ※バックオフィス(法務部、総務など)入れて250名ぐらいでしたが、130案ぐらいありました。ほぼ全員が出している感じだったと思います
・クリエイティブの役員による投票形式
・投票上位5案程度選出
・講評
 ※なぜ選出したのかをクリエイティブ役員が解説。雰囲気が美術予備校そっくり。職人、クラフトマンシップの雰囲気は似るものですね。

その後
・力のないものは辞める
 ※でも次の会社で、大成功するということも頻繁。バネにしているんですね!
・選ばれたアイディアは基本的にアワード獲得を狙う
・会社としては全ての部門でバックアップ

>一応、私は、上位に入り、アイディアを実現できました。

日本として得る『学び』

・真剣度を再現するには、責任/報酬/飢餓感が比例しなくてはならない
デザイナーは責任を負わずに、海外のような高給を安易に求めること

経営は、世界レベルのアイディア・クリエイティブをなんの種まきもなくぽっと出てくることを期待すること
は、なかなか厳しそうということは学びとして挙げられると思います。

この辺は、Design thinkingやデザイン経営の思想とどのような関係になるのかは難しいですが、単にデザイナーの給料を上げれば、クリエイティブレベルが上がるということは考えにくいかなと。

社内コンペやサービスプレゼンには、リアリティが欠けがちですが、それはしくじっても問題ないことが多いこと、すでに儲けているビジネスがあるから、など真剣になる理由がないからかと思います。

そもそも、社内プレゼン大会などをして件数が集まらない場合、社員を含む会社全体のムードとして、変化を求めていないということになりますので、それはそれで短中期的には平和ということでもあります。


シンガポールは所得税は安いけど、食べ物の税金は高い。缶ビールが700-900円とかはやばいです。良さそうなものと悪そうなものは、表裏としてバランスが取られています。

物事、繋がっているので、過酷な社内コンペを再現する場合は、その前後にある、待遇や責任も連動させて考えてみてはいかがでしょうか?

ただ、ぽっと1社だけでやるのもなかなか難しいので、ブレークできるかのテストを海外のチームでも雇って見るもの面白いかもしれませんね。
ただしその場合は、海外側の言語に合わせることをお勧めします。

気が向いたら、海外のデザイナーに学ぶ休暇でも書いてみます
では、また:)