青学WSD29期修了から5年をふりかえる 分人、越境、学習、あり方の変遷から見えるもの
青学WSD29期のちょなんです。
WSD修了生が日替わりでブログをアップするブログ企画「WSDアドベントカレンダー2023」1日目の記事になります。
2018年12月に修了した青学WSD29期。
※WSD=ワークショップデザイナー育成プログラム
この記事では、WSD修了後になにがどう変化したか?に焦点を当てて、修了から5年をふりかえっていこうと思います。
カバー写真は29期最終日、青学キャンパスのイチョウ並木。友情出演:同期のシオちゃん
分人/ロールの発生、越境、学習の変遷、あり方の変化というテーマでふりかえりを進めていきます。
分人/ロールの発生をふりかえる
ここ5年くらいで育んできた分人/ロールをふりかえる。
ワークショップデザイナー(2019年からの付き合い)
WSD修了したての頃はふわっとしたものだったけど、認定ワークショップデザイナー試験を通して輪郭がはっきりしてきた気がする。プログラムデザインをある程度細かく書いて、しっかりリフレクションするのが好きでこだわりでもある。場の目的に自分の当事者意識を重ねることができているか?ワークショップによってコミュニティの問題に働きかけることができているか?はよく考えていること。対話型鑑賞ファシリテーター(2019年からの付き合い)
こちらも2018年度の京都芸術大学 対話型鑑賞講座受講直後はゆるふわっとしたものだったけど、実践を重ねてから2021年度の対話型鑑賞講座を再受講して、「対話型鑑賞ファシリテーター」としての自分の輪郭がはっきりしてきている。アクティブリスニングからパッシブリスニングへのグラデーションや、ファシリテーターの役割を徐々に参加者に渡していくことを意識している。事実と解釈の収集に加えて、深い鑑賞に至るためのフレーミングやコネクトへの意識が強まっている。2021年度の対話型鑑賞講座受講以降は、「参加者もファシリテーションができる」という視点で参加者側での実践を意識している。たまにやりすぎてファシリに嫌われることがあるけど・・・。福先生に憧れていて、伊達先生の影響を受けている。人材開発(2020年からの付き合い)
集合研修(ワークショップ)の知識経験は青学WSDから得たものが大きいけど、企業研修については人材開発&組織開発のコンサル企業にいた頃に実践を通して学ぶ。新入社員研修や会議ファシリテーション研修の講師、次世代リーダー育成プログラムのオンライン対応やオペレーションに、階層型研修の内製化支援など。新カークパトリックを意識するものの単発研修だと、効果測定が浅くなりがち。「ワークショップデザイナー」が少し重なっていて、プログラムデザインはしっかり書いて、しっかり実践後にリフレクションをするのが好き。チームで研修オペレーションを回す時は、チームでオブザベーションやリフレクションを進めて、チーム学習を機能させるのが好き。組織開発(2022年くらいからの付き合い)
人材開発&組織開発コンサル企業の時は少し組織開発案件を担当していて、ほとんどはIT企業の中での内部実践。経験の浅い頃はヒューマンプロセスや対話型組織開発に固執してしまっていたけど、プロセスロスを生み出すのはヒューマンプロセスだけではないな、ということで組織構造や人事制度など幅広く見る現代風な組織開発観に変化していく。システム思考実践はまだまだできていなくて、プロセスに働きかけることは意識している。対立の炎というプロセスの火中に身を置くことができて、当事者意識が働きやすいので、社員という内部実践者の立ち位置を好んでいる。このあたりはODNJ 組織開発基礎講座 講師まことさんの影響かな。3代目と4代目のマイコーチが組織開発コンサルでお世話になってきた。プロセスワーク(2022年くらいからの付き合い)
まだまだ学生として体験から学んでいる段階で、対人支援の実践はこれから。こどもの頃の最初の記憶や、こどもの頃の体感覚から学びが得られているのがすごくパワフル。日常の中で二次プロセスを捉えて意識的に向き合うのも、コンフォートゾーンから一歩踏み出す機会になってパワフル。身体症状、夢、体の動き、関係性、内観と仲良くなる機会にもなっている。ワールドワークの考えを通じて、フラクタルのように世界とつながっていることを感じる機会が増えた。紛争問題など社会問題を身近に感じる機会にもなっている。と書き出してみても、まだまだ学生視点に留まっているので、プロセスワークロールの形成はまだまだこれからだな。
越境をふりかえる
アート
六本木アートナイトのガイドボランティア、京都芸術大学の対話型鑑賞講座、アートに関わるWSD修了生、ACOP道場など、様々なコミュニティの人を通じてアートと接する機会は増えている。深い越境に至ったきっかけは、2021年度の京都芸術大学 対話型鑑賞講座で触れた深い鑑賞。「現代アートは社会の写し鏡」という言葉があるけど、深い鑑賞に触れることで、対話型鑑賞が社会とつながる越境体験になる。福のり子先生の言葉で「異性にドキッとしたら恋、作品にドキッとしたらアート」というものがある。アートは作品との対話であり、越境体験でもあるのかもしれない。ダンス
青学WSDではお馴染みの講師・新井英夫さんによるダンスワークショップ、同じく青学WSD講師の勝部ちこさん&鹿島聖子さんによるコンタクトインプロワークショップ、そして友人であるストウミキコさんの図工ダンスワークショップ。昔からコンテンポラリーダンスに心惹かれるところがあって、ワークショップ体験や鑑賞体験を通じて、なぜ心惹かれるのか?を探る機会を増やしている。いつの日か中野民夫さんのギターのように、ワークショップ後にダンスを披露したいものだ。こども
青学WSD29期の時のこども向けワークショップ(逆転時間)や、ストウミキコさんのこどもと大人が一緒に踊るワークショップを通して、こどもと大人の違いから学ぶ必要性を実感する。ストウさんの図工ダンスを通じて、「自分にも目の前の相手にも、正直じゃないと距離が縮まらないこと」を学ぶ。「人は誰でも個性的、ただ個性に蓋がされているだけ」ということを実感したのは、カタリバオンラインでこども向けワークショップをした時だった。地方
ご縁があって地方を巡って実施していた映画『Most Likely to Succeed』を使った未来の教育について考える教員向け研修、教員&生徒&保護者を交えたワークショップ。北陸地方でワークショップをした時に、産休中だったみのさんに声をかけてもらって実施したBed and Craft(富山県南砺市井波)での対話型鑑賞。コロナ禍に突入したこともあり、井波の人たちとオンライン対話型鑑賞を実施したら、参加者が書いてくれたnoteをきっかけに瀬戸コレ(瀬戸内アートコレクティブ)の片倉さんから連絡をいただく。瀬戸コレでの対話型鑑賞は、Zoom、メタバース(MetaMe)、ハイブリッドといいチャレンジの機会をいただいている。2021年に参加した越境学習プログラムSADOTS(佐渡島)には、WSD同期のおのさんに声をかけてもらって参加。2023年に参加した心を動かすリーダーシップ研修『SHIMA-NAGASHI』(海士町)には、コミュニティ活動で知り合った友人に声をかけてもらう。佐渡島と海士町にはそれぞれWSD同期がいたこともあり、WSD交流会での佐渡島&海士町の企画につながる。地方での体験を通じて、「地域風土により、どう人と組織を育成するか?」や「都市部で損なわれた人間性を、どう地方で回復させるか?」という問いを持つことに至っている。異文化(異なるカルチャーに触れる)/Culture Add
既出のものだと、アートを通じて作品/作家の背景となる異文化を鑑賞を通して身近に感じる機会がつくられている。2017年に参加したKaospilot Creative Leadership Workshopは、Alumniとなって早6年。最近はAlumniイベントに力を入れてくれていて、Alumniイベントのクリアボイスラボにはいい刺激を受けている。Uffe Elbækさんからは「市民の社会参画には、ハイブリッドソリューションや新たな組織(第四セクター)が必要だ」というインスピレーションを受けて、「組織開発は組織という社会の中での社会参画促進であり、組織開発のためにはあらたな組織が必要なのかもしれない」という考えに至る。Anne Kjær Bathelさんからは、アンさんが社会起業家によく問いかけている「5分後になにができるか?」という小さなアクションを促す問いを教えてもらって、最近よく「5分後になにができるか?」を考えるようにしている。Googleの10X Innovation Culture Programを受けてから、「Culture FitからCulture Addへ」を意識する機会が増えている。越境による自己変革コミュニティ
越境自体と仲良くなれたのは成瀬さんの「越境による自己変革コミュニティ」を通じて、座学やワークで越境と向き合う機会がつくれたから。あらためて学びのまなざしを与えてくれた成瀬さんに感謝。
学習の変遷をふりかえる
現在、5年〜10年くらい実践を通して学び続けていきたいものとして、「ワークショップデザイン」「対話型鑑賞」「プロセスワーク」の3つがある。この3つとの出会いがこの5年だと大きなものかな。
人材開発&組織開発に取り組む中で、ワークショップデザインの実践機会がつくれていて、組織開発に取り組む中でプロセスワークの実践機会がつくれている。YeLLや組織開発の取り組みを通じて、1on1(傾聴)の実践機会がつくれている。
対話型鑑賞は深い鑑賞と出会ったことで、越境学習と結びつき始めている。このあたりはもっと探究していきたい。そして仕事の中でも実践機会をつくっていきたい。
最近は地域の人事部など地域の取り組みに興味があって、地域から学ぶ機会を増やしている。
WSD修了以降で実践を通して、学び続けているものは、
ワークショップデザイン(2018年から):
青学WSD受講、青学WSD実習参加(30期から40期まで毎回参加)、認定ワークショップデザイナー(2020年度取得、2022年度更新)、一般向けのWS実践や人材開発/組織開発の実践を通して実践、WSD修了生などのWS参加で学ぶ対話型鑑賞(京都芸術大学のACOP、2018年から):
六本木アートナイト2018のガイドボランティア研修でACOPに触れる、2018年度&2021年度の京都芸術大学アートコミュニケーション研究センター主催 対話型鑑賞講座で学ぶ、対話型鑑賞xストレングスファインダーで実践(2019)、ショートフィルムを2度みる会で実践(2019から)、都内や地方で対話型鑑賞を実践(2019から)、マカデミアナッツの会で実践者と語り合う、対話型鑑賞の稽古会「ACOP道場」を立ち上げて実践(2020から)、ACOPgym(京都芸術大学の対話型鑑賞講座OGOB向けプログラム)で実践(2023から)、様々な対話型鑑賞の場に足を運んで参加者として実践(2018から)傾聴(2017年、そして2021年から改めて):
2017年に参加したSearch Inside Yourselfコアプログラムのマインドフルリスニングや共感のリスニングは改めて考えると傾聴の一種だった。2021年に聴くを実践を通して学ぶためにYeLLサポーターに。YeLLサポーターとして1on1実践を。社内や身近な人を対象に1on1実践を。プロセスワーク(2022年から):
「組織開発実践者にプロセスワークを学んでいる人が増えている」と、組織開発コンサルなマイコーチに教えてもらって、日本プロセスワークセンターのプロセスワーク入門を受講(2022)→プロセスワーク基礎コースに入学(2022)→セルフレッドラーニングコースに進学(2023)。日常の中でインナーワーク実践を、組織開発実践を通してプロセスワーク実践を。ファシリテーション&リフレクション&オブザベーション(2018年から):
上記のワークショップデザイン/対話型鑑賞/プロセスワークの実践と並行して学ぶ。人材開発&組織開発(2019年から)
W S D→研修講師スタートアップ講座 全6回 参加(2019)、人材開発&組織開発のコンサル企業で実践(2020から)、月イチコーチングを受ける(2020から)、WSD→研修講師スタートアップ講座 第3回「オンライン研修のツールとデザイン」 講師(2021、同僚のWSDと一緒に)、IT企業の内部実践者として組織開発実践(2022から)、ODNJ 組織開発基礎講座 オンラインを受講(2022)、Cultibase Labで学んだり
上記以外でWSD修了以降に学んだものは、
2019年
六本木アートナイト2019 もっと楽しむガイドツアーでサポートスタッフ、SNACK+に通う、東京ミッドタウン・デザイン部で主に建築ツアーに通う、生きるように働く編集部を盛り上げ2020年
議論メシに通う、ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会のウェビナーに通い人事データ活用を学ぶ2021年
人的資本の情報開示研究会に通って学ぶ、とやまつながるラボ参加、越境学習プログラムSADOTS(新潟県佐渡島)に参加、ZaPASSメンテナンス(現ZaPASSジャーナリング)で週1ふりかえりを継続(現在も)、2022年
アーダコーダ こども哲学ファシリテーター養成講座(初級)、自己変革コミュニティに数ヶ月参加、7-9PARK(朝の新宿御苑)でピラティスに通う、Work Design Ibarakiで茨城ツアーに参加2023年
心を動かすリーダーシップ研修「SHIMA-NAGASHI」(島根県隠岐諸島の海士町)に参加、大洗クエストで大洗ツアーに参加、香川県複業プロジェクトに参加、デモクラシーフェスティバルに参加、Clear Voice Labで学ぶ(Creative Leadership Alumni向けの学び場)
もっと色々あるけど主なものはこのあたりかな。
あり方の変化をふりかえる
これまで書いてきたWSDアドベントカレンダーの記事から、あり方の変化を読み取ってみる。
2020年:コロナ禍による分断と不安の中で、オンラインの場づくりによるつながりと機会づくりに取り組む。IT業界が長く、オンラインと慣れ親しんでいる自分だからこそ、オンラインのつながりを通じて、人とオンラインを仲良くすることができるのではないか?なんて考えて、オンラインコミュニティ(ACOP道場)、WSDアドベントカレンダー、WSD修了生のnoteマガジン、WSD修了生のTwitterリストなど、インターネットならではのつながりの機会づくりを進めていた。
2021年:ワークショップ以外の日常の中のWSDと向き合った2021年。2021年は京都芸術大学の対話型鑑賞講座で、鑑賞の可視化をあれこれと試していたので、可視化で学びほぐしを表現したかったのかな。心が動いた瞬間写真展は中野民夫さんリスペクトか。自分ならではの表現と遊び心をあらためて大事にしていきたいと考えていたように思う。
2022年:WSD同期かなちゃんと相互インタビュー記事にチャレンジしていたっけ。ひとりで書く以外の方式を試したかったのと、共通点が多く様々な自分を知ってくれている相手としてかなちゃんを選んでいた。2022年はYeLLサポーターなど、聴くと向き合った年で聴くを使った表現を取り入れたかったのかもしれない。「聴くことでも主張や表現はできる」「自分の分人を知る相手を通して、分人と再会することができる」「深い関係性だからこそ、自分や相手の深い部分にアクセスできる」ってことを考えていたっけ。
2023年:「分人/ロールの発生」「越境」「学習の変遷」「あり方の変化」は、「自分を知って欲しいという欲求」と「自分を知りたい欲求」の表れかな。自分を捻り出すような自己開示、特にWSD修了後は大きな変化が起きていたので、WSD修了より前に出会った友達に今の自分を知ってもらいたかったのかもしれない。本当は分人/ロールごとの自分を知ってくれている10人弱くらいとふりかえる企画を考えていたけど、大作化しすぎて企画を小さくしたのだった。
WSDアドベントカレンダーも立ち上げて早4年目
2日目は青学25期しまちゃんが担当予定です。