見出し画像

1on1で個人のパフォーマンスを上げる

みなさまGW明け、いかがお過ごしでしょうか?

GW中は、SUITSの最新版がNetflixで配信されていたので最後まで観ました。あの上司と部下のコンビはほんと最高です。ああいう関係性最高ですよね。ヴィンチェンツォも観ました。激オススメです・・・!

さて、今回は1on1についてまとめていきます。私が統括している事業開発室には20名弱のメンバーがいます(ビジネス・エンジニア・デザイナー)。

自分自身は何か言える立場では全然ないのですが、マネジメントをする上でどういったことを意識してきたのか?を整理していきたいと思います。ただの自分のための整理です笑

はじめに

みなさんの組織では1on1を導入していますでしょうか?Yahooの1on1という書籍をはじめ、最近はインターネット検索で様々な1on1の記事を検索することができてきました。

ただ、インターネット検索して出てくる1on1はどうも自分の組織への転用が難しいものが多いなと感じてしまいました(理解力がないだけかもしれない疑惑w)。

「1on1は部下のための時間だよ」
「共感・傾聴しよう。介入しすぎるのはダメ」
「高圧的にならずに、心理的安全性を作ろう」

などが出てきますが、そんな当たり前のことは誰もが分かっているわけで・・・。

様々な経営者、現場マネジャー、人事の方々とお話をする機会がありますが、ベンチャー企業や大企業問わず1on1が導入されたもののあまり機能していない、という声さえも良く聞きます。

ということで、僕なりに試行錯誤してきた1on1について現時点版として一度整理してみました。今後考えをアップデートしていくこともあると思いますが、現時点版ということでご了承ください。

本題の1on1に入る前に、少し大きな視点から入ります。

~そもそもリーダーの役割とは何でしょうか?~

「リーダー」って?

当たり前すぎてあまり考える機会はなかったかもしれませんが、改めてリーダーとはそもそも何でしょうか?

人によっても定義は色々あるかと思いますが、一般論としては「戦略実行」と「部下育成」の大きく2つが役割として求められます。今回は後者の部下育成、ということに絞って話を進めます。

まずは組織全体においてリーダーって何?から説明していきます。

大雑把に言うと、組織には大きく4つのレイヤーが存在します。そして、それぞれのレイヤーには組織から期待されている役割があります。

図1が全体像ですが、「課長/マネジャー」が一般論としてリーダーと定義されます

画像2

(図1:組織内の階層に求められる役割)

階層に求められる役割:
・取締役:企業としての将来構想や、必要な組織文化の醸成
・事業部長:企業の構想を戦略に落とし込み、文化浸透も推進
・課長/マネジャー:戦略の実働部隊。組織を動かすカギ。部下育成も担当
・一般社員:自律的に仕事を取りに行き、業務を推進
※これらの役割は、企業のMISSIONやWILLの傘の中で推進される

課長やマネジャーはだいたい数名~10名程のメンバーを請け負っています。

いわゆるこの中間管理職と言われる方々は、ただでさえ大変な戦略実行に加え、仕事経験があまり長くない社員を受け持つことにもなるため、部下育成のミッションも持つこととなります。

じゃあ、この部下育成って何をすればいいの?という話を次にしていきます。

部下育成には、「経験学習」を

育成と聞くと、研修を思い浮かべる人も多いだろうなと思います。ただ、研修はあくまで研修であり、実務とは少し離れた領域にならざるを得ません。

加えて、研修は一般論に留まることから、現場における実践性には欠ける側面があり、今回はこうした研修はスコープ外として理解をしてください。

現場における実践性が高い部下育成という文脈で言うと、「経験学習」という概念があります。リーダーは、業務内で部下の経験学習サイクルを回していくことを支援する必要があります。

画像3

(図2:経験学習をベースにした現場育成)

経験学習サイクル:
・実践:まあ、まずは仕事やろうぜ!!!やってみよう
・経験:やってみると、色々とあるなあ。あれもこれも...
・省察:うまくいったこともあれば、そうじゃないもことも...
・概念化:学びを概念化して、次はもっとうまくいくようにしよう!

リーダーの方々も、メンバーだった頃は自分自身のスキル等の向上に向けて、この経験学習を無意識的に回していたのでは?と思います。

なんだかんだ上司や周囲からの様々なフィードバックがあったからこそ、結果的にこのサイクルを回せてこれただろうと思います。一般社員が最初からこのサイクルを一人で回すのはハードルが高いですよね。


そこで、リーダーの出番です!

経験学習のサイクルを回していくサポートこそが、部下育成にあたります。適切なタイミングで、そして適切な介入をしていくことで、メンバーのやる気を爆上げしながら、同時に成果を出していけるように働きかけていきます。

でも、昔のように上意下達な振る舞いをする上司には誰もついてきません。


だからこそ、1on1です!

やっと本題になりますが、経験学習サイクルを効果的に回していく手法として1on1があります。上意下達ではなく、メンバーの力を最大限発揮するための対話という手法を採用しています。

なお、経験学習について詳しく知りたい方はAmazonで様々な書籍が出ているので是非とも読んでみてください。個人的に以下はとても参考になりました(アフィじゃないのでご安心をw)。

1on1とは?

言葉が先行してしまう時代ではありますが、1on1ミーティングという書籍では以下のように定義がされています。

「1on1とは、上司と部下との間で行う1対1の対話のことです」

この対話の方向性が先ほどの「経験学習サイクルを回す」こととなります。

個人的な所感ではありますが、1on1は個人のパフォーマンス向上、チームのパフォーマンス向上、そして結果として組織のエンゲージメント向上に貢献してくれるカギになると感じています。

多くの企業で1on1は導入されつつあり、日本の人事部調査によると約4割の企業が導入をしているようです。また、その調査によると「上司の傾聴力」が1on1の成功には必要だという結果もありました。

画像1

(出所:人事白書調査レポート2020

このサイクルを回していくためには、部下へ気づきを提供する必要があるでしょうし、時には厳しくフィードバックすることも必要でしょうし、雑談なんかも効果的でしょう。

では、リーダーとして1on1では、どのようなコミュニケーションをしていけばいいのでしょうか?

1on1でのコミュニケーション

「何をしたいですか?今日はあなたの時間なので何でも話してください」

という1on1を聞きますよね。個人的には、これは少々荒いかなーという印象を持っています。

特に私自身の実体験として、他職種との1on1は話題に困るし、年上には気を使うし、そもそも話すネタに困っていた時期もありました。

なん:「何を話したいですか?」
メンバー:「いやー、特にないっすねw」

お互い無理して話題作りをしますが、なんだか深いコミュニケーションができていないなあと感じていて、どうしたらいいかモゾモゾしていました。

少しずつ慣れてきて、話ができ始めてきたなーって思っているタイミングで、Newspicksで麻野さんの起業動画をたまたま視聴しまして、ここにヒントが隠されていました。

動画のどこかでコミュニケーションの4象限の話をしていました。動画のメインテーマではない部分なんですが、良かったので勝手に図解します笑。

画像4

(図3:メンバーコミュニケーションの4象限)

縦軸は、上司としてメンバーが業務を遂行できると思うか、できないと思うか。横軸は本人として業務を遂行できると思うか、できないと思うかで切り分けています。

4象限を見れば分かるかと思いますが、上司として出来る出来ない、部下として出来る出来ないの象限で整理することで、上司としてどういったコミュニケーションスタイルを採用すべきなのか?の解像度が上がります。

普段の1on1でも、こうしたスタイルの違いに上司がしっかりと向き合った上でコミュニケーションをするだけでも、1on1で解決できる課題はかなり広がってくると実感しています。

例えば、、、
部下としては「できる」と思っていて、上司としては「できない」と思っている事案があるとします。この場合は「チューニング」によって部下の業務内容や、そもそもの理解を正してあげるコミュニケーションが求められます。
しかし、、、
この時に「エンパワーメント」して完全に任せていると、最終的なアウトプットの質は恐らく悪くなります。そうすると部下としては、「なんでもっと早くフィードバックしてくれなかったんですか!」となるし、上司としては「おれが任せすぎた」「あいつはまだ仕事ができない」等、ズレた振り返りを双方がしてしまいます。

これを避けるためには、上司は部下にしっかりと向き合い、相談内容がどの象限に位置付けられているのか?を把握したコミュニケーションをすることが必須となります。

この話は1on1に限った話ではないですが、上司と部下でどの領域のコミュニケーションをしているのかをしっかりと擦り合わせられればストレスも減ってくるだろうと思います。

私自身も、メンバーにはこの話は直接していませんが、この象限を意識したコミュニケーションをし始めてから1on1の質が高まったなと感じています。

ただ、これはスキル的なことであり、もっと大事なことがあります。

メンバーの本音を理解する

メンバーによっても仕事に対するモチベーションの高低差はあります。

・仕事を最優先にしてスキルを向上させたい
・とにかく早く昇格したい!給与を上げたい!
・仕事はほどほどで、趣味や家族の時間を優先させたい
・子供が生まれたので仕事をセーブしたい。でも給与はキープしたい
・仕事はあくまでお金のため。留学をしたいのでそれまで頑張る 等

人によって、様々な生き方があるように、働き方のバリエーションも沢山あります。

このように、メンバーの本音として仕事にどう向き合っていきたいのか?が理解できていなければ、コミュニケーションの4象限を把握できていたとしても、認識のズレは埋まりません。

リーダーとして、どれだけメンバーの本音に切り込めているのか?相手にどれだけ興味を持てているか?ということを、改めて考えてみてもらえると嬉しいなと思います。

最近はZoomでのコミュニケーションが増えているかと思いますが、しっかりと相手の表情がどうなっているのか?等の観察をしてもらいたいと思います。

言っていることと表情にGAPがあれば、それは本音ではないその場限りのことを言っているでしょう。

リーダーの1on1に臨むスタンス

1on1に臨むにあたって、上司のスタンスとして大事なことがあります。それは「上司である感覚を捨てる」「自分が本音の自己開示ができてるか」です。

└「上司である感覚を捨てる」

ポジションでのトークではなく、部下の力を発揮する役割を担うためには、自分のプライドは捨ててフラットに話すことを意識しましょう。

偉そうな態度であったり、メンバー自身に興味を持っていない態度は相手に容易に伝わります。自分もされるのは嫌ですよね。

└「自分が本音の自己開示ができてるか」

加えて、上司の自己開示も大切になります。部下の話を聞こうとする姿勢は当然大事ではありますが、自分自身の価値観、考え方、志、プライベート等々、あらゆる方面からの自己開示をすることも合わせて大事だなと感じています。

例えば、バランスホイールという考え方があります。自分自身のことを整理するためにも、例えばこうしたフレームに沿って自分の本音を考えてみたり、1on1のトークネタとして使ってみても面白いなと思います。

画像5

(図4:人生のバランスホイール)

自分自身が本音じゃないことは、メンバーから容易に見透かされます。

そのため、リーダー自身が自分の人生にどう向き合っているのか、そして仕事に対してどういった動機があるのか等、改めて整理していくことも1on1の質を高めることに繋がると考えています。

1on1の質を1on1という場だけで高めようとせず、リーダーとしての自分はどうありたいのか?今の仕事に本音で向き合えているのか?等、少し俯瞰的に自分自身をメタ認知してみると、様々な発見もあるかなと思います。

まとめ

さいごに、簡単にまとめます。

・リーダーには「戦略実行」と「部下育成」の大きく2つが求められる
・部下育成には、経験学習サイクルを回すことが必要に
・経験学習サイクルを回す効果的な手法として、1on1が位置付けられる
・1on1ではコミュニケーションの4象限を意識して対話する
・リーダー自身が本音で仕事を楽しめているか?そしてメンバーの本音を理解しようとしているか?
・上司のスタンスや自己開示が、対話の質を上げる

自分に合ったやり方を模索するための1つの参考になれば幸いです。

おまけ

なお、事業開発のプロになりたい!と考えていたとあるメンバーがいましたので、事業開発人材の必要要件を私が作成し、それをスプレッドシートにまとめて、2週に1回等の時間を取ってメンバーのスキル向上にあたっていました。

この時は言いにくいこともバンバン言ってOKという前提でコミュニケーションをとっていました。

チェックポイントも相手のレベルに合わせてながら更新していき、自分が要件に対して出来ているか/出来ていないかをアクションベースで書いてもらい、さらに私からもアクションベースのコメントを書く、ということをやっていました。

その過程において、必要なスキルやマインドを醸成していくプロセスをだいたい1年くらいやっていました。

画像7

あくまで1つの例ですが、全てのメンバーがこれを望んでいるわけではありません。

相手が仕事に求めていることが何か?そしてそれは本音なのか?

ということを見極めて1on1をしていけるといいなと思っています。

今日はここまでにします。
読んでいただきありがとうございました!


いいなと思ったら応援しよう!