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夢見モグラは空を待ち侘びて 39日目


モグラが疲れ果て壁にもたれかかると、
ルルルラララ
どこかで聴いたことがある声がした。
その時も思ったけれど、
気持ちのいい歌声のような、
助けを呼んでいるような、
天井の高いこの部屋では音がよく跳ね返るのか、
以前聴いた時よりも綺麗に鳴り響いていた。

モグラはその歌声の主に返事がしたいなと思って、
ルルルラララ
とリズムを合わせて一緒になって歌った。
ルルルラララ
時折馴染むようなこともあれば、
ルルルラララ
綺麗に重なることさえあった。
歌声の主がとても優しそうに、少し笑ったような気がした。


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ハモの話。


音楽にまつわる時間の中で僕の最も好きな瞬間は、
出来立てほやほやのまだ世に出ない音源を持ち帰り、
自分の家のソファーにダラんと寝転んで(ここ重要)、
ビールかワインかまあ炭酸水の時もある、その時の気分で飲み物を用意して(ここもテスト出るよ)、
怒られないギリギリの大音量でスピーカーを鳴らすこと。

に変わりはないのだけれど(ライブじゃないんかい!)、
近年じわじわそれに肉薄してきている、
2番目に好きな瞬間はびっくりするくらいとっても地味。


主に制作過程でデモ、試作品がおおよそ完成し
歌詞も仕上がり、メインの歌入れが終わった頃にやってくる。
メインのメロディーラインに、
ハモリのメロディーを乗せるその瞬間。


ニヤっ。嬉。


とても地味だけれど、とても好きな作業だったりします。
ヘンテコな風に聞こえるかもしれませんが、
メインの歌のレコーディングより、
ハモリのパートのレコーディングの方が楽しさでは上位です(おい)。

最近の音楽ソフトの技術を持ってすれば、実は歌わずとも、
メインのボーカルのテイクがあればある程度ハモリのパートも簡単に作れたりもします。(あくまで仮歌レベルの話です。本番のレコーディングはちゃんと録音すると思います。)
けれど、なんとなくすでにイメージがあって、
すぐに録音できる環境がある場合は、面倒くさがらず自分でマイクセッティングして、コーラス入れをします。


あ、今のハーモニー良かったかも、採用。


ニヤっ。嬉。


この地味さをうまく他の何かに例えようとしたのですが、何が適当なのだろう、難しい。そんなことを考えていたら割といい時間(作者の筆力不足)。悔しい。
たまにカラオケとかで勝手にハモってくる人がいるけれど(もう何年も行ってないから知らんけど。)。
実はその気持ちはよくわかるよ、という話(ハモらんけど)。

それではまた明日。

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本日の表紙は_____o_9_o_9さんの写真を使用させていただいております。

褒められても、貶されても、どのみち良く伸びるタイプです。