夢見モグラは空を待ち侘びて 51日目
モグラは不貞腐れて突っ込んだポケットの中で、
手をガサゴソと上下させると、
いつかの小さくて四角い紙切れが出てきた。
なんとなしに目の前にいた”ミマワリ”がそれに気づき、
いくつかの問答ののち、
モグラが素直にそれを手渡すと、
“ミマワリ”はなんともびっくりした顔をして、
ドタバタととても急いだ様子で、
急いでもと来た方向へ駆け出していった。
モグラは慌てて急いだ”ミマワリ”を見て、
思わず転ばないように気をつけてね、
と心配になったと同時に、
はて、あんな紙切れにどんな魔法がかかっていたのだろう、
と不思議にも思った。
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急いでいた時の話。
真夜中の大通り、
酔っ払いなのか、何なのか、
道路の真ん中で寝そべっている人がいて、
このままでは危ないと思って、
大丈夫ですかと声をかけ、とりあえず道路の端まで運んで、
近所の交番で事情を伝えて立ち去った。
学校からの帰り道、
車に飛び込んでしまった猫が道路の端でとても苦しそうにしていて、
僕らはまだ息があるのを確認すると、
子供ながら必死に泣くのを我慢して、
優しくそっと抱えながら、近くの動物病院を探してその扉をドンドンと叩いた。
目の前で鳩が車に飛び込んでしまって、
どうしようか迷ったけれど、
一人どうして良いかわからずそのまま家に帰って、
意を決してもう一度元の場所に戻ったけれど、
すでに綺麗になっていて、跡形もなかった。
雨季になると、
間違えて踏んだりしないように気をつけながら玄関を歩く。
家の前で大き目のサイズのカエルがゲコゲコ僕の帰りを待っているからだ(自意識過剰)。
また多くの場合、街灯のところで蛾が止まってるが、
それはフルシカト、何ならお前がその気ならやってやっからな、という、
常に拳を振るう準備整う臨戦態勢。
若かりし頃、ジンギスカン屋さんの上の部屋に住んでいたことがあって、
夏場になると、やってくる、わりと茶黒いあいつ。
見かけると、僕はスプレー型のジェットを圧倒的な反射神経で巧みに操り、
敵を殲滅させる鬼神と化していた。
今日は道路の脇でおそらく羽を怪我をし、
飛べなくなったスズメがいた。
僕は少し考えたけれど、約束の時間に遅れてはいけないし、
そのまま通り過ぎてそのまま目的地に向かった。
その道すがら、ふと思う。
はて?命とは?
自分にとって命の線引きとは。
その重さと軽さって何だ。
大きさ小ささって何だ。
何までだったら立ち止まって、何までだったら通り過ぎるの?
なんてことが今日はずっと頭の片隅にあった日。
それではまた明日。
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ちょっち明るくないテーマが続いて申し訳ない。明日は楽しい話を書きたい。本日の表紙はnagi__18_さんの写真を使用させていただいております。