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もしも生粋のスタートアップ人間が家事と育児に全力でコミットしたら

All-in-one 卸売プラットフォーム「グッズ」の野田です。

今年の10月1日に息子が生まれ、現在育児に奮闘しています。

妻が育休を取ってくれていることもあり、私は育休は取らずスタートアップにフルコミットしつつも家事・育児にも全力コミットしています。そして育児をしながら一つ考えていることがあります。






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> 育児、きつくね? <
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妻の妊娠がわかったときから育児には全力でコミットすると決めていた私。

妻はつわりがかなり酷かったこともあり、出産前から家事をほぼすべて引き受けて安静にしてもらっていました。

「これは産後の予行練習!出社の日の家事は流石にきついけど、リモートならここに育児が加わってもまあイケるだろう。」

産前は週3で出社しつつ、家事も上手くこなせていた感覚があったので過信していました。

「私はハードワーカー。これまで何度も仕事で厳しい局面を乗り越えてきた。育児もイケるはずだ」

10年のスタートアップキャリアの中で、睡眠時間を削って働いたこともあれば、一人でカンボジアに飛んで海外事業を立ち上げたこともあります。

スタートアップの仕事ほどハードなこともないだろう。
そんな風に考えていた時期が私にもありました。。。




結論、困難のベクトルが全く違うので全然育児きついです。



世の中のパパママたちすごい。私たちの親すごい。
今回はそんなことを書きます。


家事は一方向、育児はインタラクティブ

まず、家事をこなせていたので育児もイケるだろうと思っていたことに関して。フタを開けると家事と育児は特性が全く違いました。

家事はやるべきことが決まっていて、自分のペースで進められる「一方向」なタイプのものであるのに対して、育児はほぼすべてが子どもの都合で発生するため「インタラクティブ」です。

私は比較的家事が好きな方で、皿を洗いながら仕事のアイディアを思いついたり、食材を刻みながら資料の構成を考えていたりします。

家事のように無心でできるタスクには瞑想っぽい効果があって、自分の都合で全て進められるのでやる気さえあれば時間通りに終えられます。

他方、育児は大半が子どものステータス変化をトリガーに突然始まります。

子どもが泣き出したからあやす、ミルクを吐いたから拭く、眠くてぐずるから寝かしつけるなど。

さらに、家事はタスクサイズが大体決まっていて、想定をオーバーすることはほぼありません。「お皿がなかなか綺麗になってくれなくて1時間かかってしまった」なんてことはないのです。

一方、育児は往々にしてタスクのサイズが読めません。

「いつもは5分で寝かしつけられるのに、1時間かかっても泣き続けてる」

「1時間かけてやっと寝たのに、置いたら起きた」

「うんちがオムツから漏れて服を洗う追加タスクが発生した」

などです。

特性が違いすぎて振り回されています。残念ながら育児中に資料の構成は浮かんできません。

会社の仕事は頭脳労働、育児は肉体労働

私の仕事は資料を作ったり、机の前に座って商談や会議をするいわゆる頭脳労働です。

他方、育児は肉体労働です。これがきつい。

新生児期は昼夜問わず2〜3時間に一回、いまでも3〜4時間に一度ミルクを与えるため、夜間は1〜2時間睡眠を細切れに取ることになり、睡眠不足になります。

また、赤ちゃんは抱っこして揺れないと自分では上手に寝付けないので、重たい息子を抱えて数時間歩き続けたこともあります。(妻は手首が腱鞘炎になってサポーターが欠かせません)

デスクワークに慣れ切った自分に、物理的なダメージはしんどい。

しかし、困難を嘆くのではなく立ち向かうのがスタートアップ

とはいえ、困難な状況に直面して「きつい!苦しい!」と思考を投げ出すのはスタートアップ的ではありません。だからどうするか、が重要。

育児にもスタートアップで培った考え方は応用できるはずだ!ということで、仕事の考え方を色々応用してみてこれは良いかも、と思っているものをいくつか紹介します。

前提となる現在の我が家の状況

育児環境

  • 妻 育休中

  • 私 元々は週3出社でしたが、息子の誕生後は原則リモート勤務に調整してもらい月2~3回程度の出社

  • ミルクと母乳は混合

  • 神奈川在住でお互い実家は愛知県なので、原則2人でなんとかする必要あり

息子のステータス

  • もうすぐ3ヶ月

  • 比較的よく寝る

  • 両親いわく、兄の子(甥っ子)と比べると手がかからないタイプ(手がかかるタイプの育児どんだけきついんだ、、、)

育児の分担状況

  • 妻:平日日中のお世話+平日夜のお世話

  • 私:平日早朝のお世話+週末夜のお世話

話の前提となる家庭の状況は上記のような形です。私は育休を取らずにフルタイムで仕事させてもらってるので、平日のお世話は日中も夜も基本妻がやってくれています。代わりに金曜の夜と土曜の夜は私が夜勤担当です。

詳細は後述しますが、しっかり寝たい二人にとって夜勤はかなりしんどいため、平日は私が5時に起きてお世話を交代し、夜勤明けは2~3時間ほど寝てもらっています。

主な家事の分担状況

  • 妻:洗濯+掃除

  • 私:料理+掃除

ふたりとも大学から10年以上一人暮らししていたのでお互い家事は普通にできます。
私は料理が趣味でもあり好きなので料理を担当。外食はほぼせず3食自炊です。
また、毎日サウナにいかないと蕁麻疹が出る難病(ガチ)を患っていて毎晩サウナに出かけるので、ついでに買い出しも担っています。

と、我が家の役割分担はこんな感じです。では本編です。

スタートアップ的アプローチ①パニックゾーンをなんとしてでも回避する

パニックゾーンって聞いたことありますか?

パニックゾーンとは、ミシガン大学ビジネススクール教授のノエル・M・ティシー氏が提唱した概念で、人の置かれた環境を表した「コンフォートゾーン」「ラーニングゾーン」「パニックゾーン」という3つのゾーンのうちの1つです。

パニックゾーンは自己肯定感を著しく下げ、鬱の原因にも

私は主にメンバー育成を考える時、いかに長くラーニングゾーンで仕事をしてもらうかを考えています。

一般的には成長を促すために「いかにコンフォートゾーンの外に出てもらうか」にフォーカスが当たりがちですが、私は「いかにパニックゾーンを回避するか」にも同じくらい気を使います。

なぜなら私自身キャリアの初期にパニックゾーンに長く身をおいた結果身体を壊した経験があるからです。(前述の難病の発汗障害の遠因でもある)
パニックゾーンにいると人は自己肯定感が驚くほど下がり、成果も全く出ません。

パニックゾーンの原因は「業務負荷過多」と「回復が追いつかない」こと

経験上、人がパニックゾーンに入る原因は①業務負荷が高すぎる②ダメージから回復できないの2パターンあります。

①業務負荷が高すぎる

単純に業務量が多い激務な場合もありますが、スタートアップの現場では成長のために「コンフォートゾーンの外に出てもらう」ことを意識するあまり、とりあえず無茶ぶりのハイボール(複雑性が高く困難な業務)を投げてしまい、メンバーはどのように業務を進めればいいのかの検討すらつかず苦しむケースが多い気がします。

大抵の場合、マネージャー自身も解像度が低くどうやったらいいか分かっていないため、適切なフォローもできずメンバーが潰れます。

②ダメージから回復できない

業務負荷が高くても、適切にダメージから回復できれば慣れとともに徐々にケイパビリティが引き上がり、パニックゾーンを抜け出せることがあります。回復できないとパニックまっしぐらです。

回復というと休暇をイメージしますが、ケイパビリティ不足が原因の場合はメンタリングであったり、関与しているプロジェクトがうまくいく、などが有効です。

よく売上はすべてを癒すといいますが、これはある意味正しく、成果が形となると自信が生まれてメンタルが回復することがあります。

裏を返せば、スタートアップの事業が停滞すると終わりの見えないトンネルに突入し、ダメージは蓄積し続けるということでもあります。

子どもを素直に可愛いと思えなくなってきたらパニックゾーンの合図

この考え方は育児にも当てはまります。

個人的な感覚としては、子供を見て素直に「可愛い」と思えなくなってきたらパニックゾーンに片足突っ込んでます。

深夜に泣き声で起こされてミルクを与えても寝ず、夜な夜な行進させられた日には、、、イライラもするし「早く寝てほしい」以外の感情がなくなりますよね。あのときの感覚はかつて仕事で潰れたときの感覚にそっくりです。

この状態がしばらく続くようだと危険信号だと思います。とくに女性は産後でホルモンバランスが崩れているので産後鬱にもなりかねません。

育児のパニックゾーンは睡眠不足と適切な分担ができていないことに起因

育児の業務負荷面で言えば、子どもにかかりきりで家事が進まず、それが気になってイライラしてきたらパニックゾーン一歩手前だと思います。やりたいのにできない、終わらないという感覚に襲われるのが一つのサインですね。(気にならないから放置できるのはOK)

我が家はこの状況を全力で回避するために、家事は量の公平性よりも心に余裕があり、得意な方がやるという方針です。

基本的に私の方が毎日サウナに行ったり仕事でいろんな人と話して気分転換ができ、心に余裕があることが多いので溜まる系の家事はバババッと片付けます。

睡眠不足はストレスの増長装置。絶対回避する

そして、(特に乳幼児の)育児に関しては「睡眠不足」が最大の敵だと感じています。

新生児の時は昼夜問わず2〜3時間に一度大泣きしてミルク、というサイクルなので担当は寝れずシンプルに睡眠不足ですし、1時間寝ては起こされみたいな細切れ睡眠で自律神経もイカれてしまいます。

妻の退院後、産後10日目に初めて夜間担当をやってみた感想は「これ毎日一人でやったら鬱まっしぐらだわ、、、」でした。睡眠不足のときって思考もネガティブになるので自己肯定感も下がるし、メンタル回復のサイクルに入れないんですよね。

早朝の勤務交代と土日の連続睡眠で睡眠負債を軽減

鬱になったら育児どころではないので、我が家ではいかにお互いになんとか持ちこたえる睡眠時間を捻出するかを考えて、冒頭で書いたように平日は早朝に勤務交代、週末は夜勤担当を交代というシフトにしました。

妻は元々夜型なのもあり、夜は寝れないものとして割り切って、早朝連続して3時間ほど寝れれば結構大丈夫とのことだったので、私が10時くらいに就寝して5時に起きて担当代わるサイクルにしてもらいました。(それでも眠たそうではあり、鬱にはならないかなくらいではある)

それでもやはり連続して寝れる機会がないと死んでしまうので、週末は私が夜勤を担当し、妻には連続で6~7時間ほど寝てもらっています。やはり連続で寝れるとかなりスッキリするようです。

加えて、睡眠がしっかりとれるように、息子がいる寝室とは別の私の仕事部屋にいい感じのマットレスを置いて、夜勤でない人はそこで泣き声を気にせず寝ています。

スタートアップ的アプローチ②バス係数が1の業務をつくらない

私はチームで物事を進める時、「バス係数」という考え方を常に念頭に置いています。バス係数とは 「チームのうち何人がバスに轢かれたら破綻するか?」という数値のことを指し、エンジニアリング系の書籍で度々登場します。(私はTeam Geekという本で概念を知りました)

バス係数が1の状態は避けるべきで、2以上に保つことが推奨されています。

この考え方に則ると、誰かが休んでも上手く回るチームを作るべきであり、一人休むと破綻するチームを作ってしまってはマネージャー失格。業務の属人化は悪です。

育児のバス係数改善は夫が鍵を握っている

この考え方は育児にも応用できます。例えばミルクやおむつ替え、寝かしつけなどを妻しかできない状況では妻は休めません。これではチームのバス係数は1で最悪です。

家庭のバス係数改善の鍵はどう考えても後からキャッチアップする側の自分が握っていたので、妻の退院直後から気後れしないように率先しておむつ替えや沐浴、寝かしつけのスキル習得に勤しみました。

授乳方針に関しては諸説あると思いますが、我が家は混合にしたことでミルク業務のバス係数が2になり、週末の夜間は妻に休んでもらうことができたり、妻が一人で外出してリフレッシュする時間を取れたりとメリットが大きかったです。

スタートアップ的アプローチ③対等に相談できる関係性を構築し、孤独をつくらない

私はマネジメントで一番重要なことはなにかと聞かれたら「まずしっかりとメンバーの仕事に興味を持ち、見ること」だと答えます。私が尊敬する「急成長を導くマネージャーの型」の著者長村さんの言葉を借りると、「マネージャーはメンバーにとって最高の観客」です。

自分がマネジメントを受けていた時のことを思い返しても、「頑張ったのに見られていない」「大変だったのに誰にも知られていない」ときほど虚無感を感じたことはありません。

育児でも同じ心理状況が発生します。

例えば夜中に寝かしつけが上手くいかず夜通しあやし続けたとか、おむつからうんちが漏れて大惨事になったとか。これらを「誰も知らないところで」孤独にやっていると「自分、何やってるんだろう、、、」と悲しくなってきます。

ぴよログの情報共有が素晴らしい

我が家では「ぴよログ」という育児記録アプリを使っているのですが、これが夫婦の情報共有にとても良く、互いに見ていないときに大変だった事があっても、「夜中寝なかったみたいだね〜」とか「ちょっと便秘?」とか会話のきっかけにもなり、とても良いです。

以前私が夜勤担当のときに息子がどうしても寝てくれず、延々と家の中を歩き続けたことがあり、メモで申し送りしてちょっと心が楽になったことがあります。笑

仕事でも育児でも、「大変さを分かち合う」「お互いのやっていることに興味を持つ」ことはすごく大事ですね。

【最重要】当事者意識、責任感、自発性「落ちているゴミを率先してひろう」

ここまで色々書いてきましたが、私は仕事も家庭もマインドセットが一番大事だと思っています。

当事者意識、責任感、自発性というのはNETFLIXの人事責任者が書いた「NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く」という書籍の中の好きな一節です。この本は私のバイブルです。

NETFLIXのカルチャーコードの中には以下の一節があります。(翻訳より抜粋)

従業員が、誰かが拾うだろうとオフィスの床に落ちているゴミの隣を素通りしていく会社があります。また、自宅ではそうするように、従業員が見つけたゴミを拾うためにかがみこむ会社があります。
私たちは、後者の会社になろうと懸命に努力しています。あらゆる岐路において会社の力になるよう正しいことをするという責任感を、全従業員が有している会社です。ゴミを拾うというのは問題に対処するということの例えです。
小さかろうが大きかろうが、問題を見つけたら、決して「それは私の仕事ではない」と思わないことです。私たちは、本物のゴミ又は例えとしてのゴミを拾うことについての規則は持っていません。この行動を自然と取ってしまうような、当事者意識、責任感、自発性が生み出されるよう努めています

【翻訳】「シリコンバレーから生まれた最高の文書」と絶賛されたNetflixのカルチャーガイド全文

事業成長のためにやれることは何でもやる。課題を見つけたら自分で率先して拾って解決まで主導する。私はこれはスタートアップの仕事の本質だと思っていますし、私がスタートアップの仕事に惚れ込んでいる理由の一つです。

そしてこれは、家事や育児に関しても同じことが言えると思っています。

夫婦は会社の共同代表と同じ

「自分は働いているから」とか「皿を洗うのは自分の分担じゃないから」と考えるのではなく、「株式会社野田家」の共同代表として当事者意識と責任感を持つことで、子どもが泣いていたらあやす、うんちが漏れてたらオムツ替えて洗うなど自然と身体が動きます。

私は男性なので出産だけはどうしても自分でできませんが、それ以外は妻と対等にできるはずだと信じています。育児だろうと家事だろうと、見つけた課題や落ちているボールは全部拾ってこそスタートアップです。

【悲報】子育てまだ序の口らしい

と、色々書いてきたものの会社の子育ての先輩たち曰く「自我が出てきてからの方がきついかも」「一緒に遊べるようになると体力的に更にしんどいかも」らしいです。恐ろしすぎる。

しかし、これから更に大変だとしても、強い気持ち・強い愛とスタートアップ精神で乗り越えていきます。がんばるぞ。

最後に宣伝ですが、私が働くAll-in-one 卸売プラットフォーム「グッズ」は現在採用強化中です!(特にセールス・カスタマーサクセス・プロダクトデザイナー職)

この記事を読んで共感してくれた方、ぜひカジュアル面談で語り合いましょう。落ちてるボールを拾って主体的に解決するスタートアップ、楽しいですよ!(こちらからカジュアル面談の申込みをお願いします!)

それでは!

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