回るレコード 流れるコーヒー
ゆっくりとまわるレコードに針を落とす瞬間。
静かにやさしく。ほんの少し緊張する瞬間。
コーヒードリッパーに挽きたての粉を入れて
お湯を落とす瞬間。
静かにやさしく。コーヒーの機嫌を確かめるように。
最近気づいたこと。
なんか似てるなって。
その瞬間、流れ出す音楽、そしてコーヒーの香り。
最近、音楽ぜんぜん聴いてないよなあ。
たまにはゆっくりと、レコード、聴こうかな。
コーヒーを淹れながら、何を聴こうか考える。
昔よく聴いたLPジャケットを眺めていると
なんとも言えない不思議な気持ちが込み上げてくる。
もう逆戻りはできないもどかしさ、みたいなものなのか。
思い出の断片による切なさ、みたいなものなのか。
喉の奥から込み上げてくる
その甘酸っぱい何かを
淹れたてのコーヒーと一緒にごくりと飲み込んだ。
熱くて、ほろ苦かった。
あの頃は日々の栄養を摂るように
音楽を聴いてたなあ。
今は毎日をコーヒーと甘いもので
満たしているけれど。
でも、たぶんしあわせだ。