机上の空論は許されない―東京エクセレンスの降格―
おはようございます。Daiです。27日、Bリーグの今シーズンの残り試合が中止となりました。致し方なしという気分がします。その一方、同じ日にこんなリリースもありました。
今季B2に昇格し、中地区を戦っていた東京エクセレンスが、来季はライセンスを失い、B3以下で戦うことが決定したというもの。さらに、今季受け取る予定だった配分金も差し止められるという、非常に重い裁定が下りました。
この裁定は、今後Bリーグ参入を目指す新興勢力のクラブにとっても、身を引き締めるものになるのではと思われます。今日はこのエクセレンスの「降格劇」について書いていこうと思います。
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「小さすぎるアリーナ」が降格の理由
実は、エクセレンスがB2ライセンス不交付となるのは、これが初めてではない。
Bリーグには、クラブライセンス規定がある…というのはもう僕のnoteに限らず各方面で出ている話。ざっくり言うと、B2ライセンスのためには3000人、B1ライセンスのためには5000人のキャパシティが必要となる。
エクセレンスは、もともとBリーグが開幕した2016-17シーズン、B2の一員としてシーズンを戦った。しかし、ホームアリーナのキャパ不足を理由に、ライセンス不交付となり、B3に降格した過去を持つ。
エクセレンスがホームアリーナとしている、東京・板橋区の小豆沢体育館は、1000人ほどの収容がやっと。当然、このままではライセンスは降りない。そのため、ホームタウンだった板橋区と連携し、大規模アリーナの建設に向けて調査・調整に動いていた。
しかし、板橋区はこの動きを撤回してしまう。これが引き金となって、エクセレンスは2017-18シーズンのライセンスが剥奪される。そのままB3降格となってしまった。
企業傘下に入ってB2入りを再計画
旗色が変わったのは、2018年のこと。エクセレンスは、建築機械を手がける「加藤製作所」の子会社となり、再スタートを切った。
そして、東京23区内に新設されるというアリーナへの移転構想を掲げ、再びB2ライセンスを例外的にゲット。B3優勝という実績を引っ提げて、B2での戦いに乗り込んだのである。
しかし、その結果は既報の通りである。新アリーナに関する動きに関してはシーズン中に表面化することはなく、時間だけが経過。結果として、Bリーグからは無情な宣告を受けることとなった。
Bリーグ側のアナウンスにある通り、今回のB2加盟にいたる流れの中で、エクセレンスは、Bリーグ側に「確約書」なるものを提出している。それが履行されなかったと言うことから考えると、Bリーグとしても相当お怒りととれるニュアンスである。
エクセレンスだけが責められるべきか
しかし、今回の一件をよくよく辿っていくと、Bリーグ側にもそれ相応の落ち度はあったと見てもいいのではないだろうか。確かに、確約書はクラブから提出された。だが、それをまさか額面通り受け取ったわけではあるまい。
ここでポイントとなるのは、きちんと精査が行われたのか。つまり、エクセレンスが提出した確約書が、現実味のあるものとして受け止めていたのかと言う所だ。
例えば、国体などのビッグイベントで施設建設や改修の目途が立っていたパターン(B2茨城、B3佐賀etc)のように、既定路線でもない限り、ハコモノであるアリーナがポンと建つわけでは無い。
他競技を例に取ると、やはりJリーグの例が分かりやすい。当時JFLからJリーグ加盟をにらんでいたFC町田ゼルビアが、成績や観客動員の要件を満たしながら、ホームスタジアムの設備不足を理由にJ2参入を断念したという過去がある。また、現在においても屋根やトイレの不足などの理由で、クラブライセンス判定で指さされるクラブが後を絶たない。
Jリーグにライセンス制度の骨格を倣ったというBリーグ。2度にわたって、ホームアリーナを満足に用意できないクラブを一員としてしまったことは、Bリーグとしても脇が甘いと言うべき事案である。アリーナの要件に関しては、ここで1つボーダーをきちんと示すべきである。
裾野の拡大が必要、と言う話は確かに少し前にした。が、その資格に足るクラブかどうかと言う点に関しては、その時々の基準でしっかりと見定めなくてはならない。特例でライセンスを発行して、未充足で逆戻りという事態は、市場を停滞させうるし、投資の流れも止めかねない。
そしてそれは、Bリーグのプレミア化というビジョン(本当にやるのかという疑念は今も持ち合わせているが)に対しても大きく水を差す出来事である。
ライセンス判定というと、確かにお金の話ばかりがクローズアップされていた。しかし、場所の確保、とりわけ戦いの舞台たるアリーナの整備は大きな問題だ。今回のエクセレンスを巡る一連の流れにおいて、Bリーグ側も反省すべきポイントが無かったか、改めて検証を願いたいところである。
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