ほとけさまのおしえ「お剃刀(おかみそり)」
いつもは法要も多くない地方の自坊ですが、この暑さのせいかこの一週間で「三軒」ものお葬式を執り行いました。
お葬式では指貫袴(さしぬきはかま)に色衣(しきえ)、そして七条袈裟(しちじょうけさ)を身にまといます。
最近はほとんど葬儀会館で執り行いますので涼しく過ごせますが、この服装で夏のお葬式を執り行うことは、熱中症との闘いでした。
そして、葬儀の一番最初に「お剃刀」の儀礼を執り行います。
お剃刀は元来、得度式で行われるものです。
阿弥陀如来様の信心をいただき、全てをお任せして極楽世界に生まれさせていただくことをお約束する儀式です。
その証として法名を拝受し、生前であれば仏様のことを常に心に留めながら生活をすることになります。
しかし昨今は命を終えてから法名を拝受して、お剃刀を執り行うことが通例です。
お棺の窓を開けてお剃刀の儀礼を執り行うとき、安らかな寝顔を拝見して様々な想いがこみ上げてまいります。
そしてきっとご縁に恵まれてかけがえのないひとときを過ごされたであろうと思いを新たにするひとときです。
とはいえ、一般の方はほとんど寝顔をご覧になられることはないと思います。
でも誰もが一度は通る道であることはうっすら理解されていることでしょう。
もし故人様の寝顔を拝見する機会があったなら、もう一度「いずれは私も通る道なんだな~」と感じていただければありがたいのです。
そこから今の自分をもう一度見つめ直してみる。
そうすれば自ずとどうすべきかが見えてくるのかもしれません。
☆今日の一句☆
お剃刀
明日は我が身の
寝顔なり
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