[ライブレポ(中編)2/3]RISING SUN ROCK FESTIVAL 2022 in EZO 2022.8.13(土)
こんにちは。シリアスファイターです。
今回も前回に続き、ライジングサンのライブレポです。
時間は夕暮れ時〜夜になり、景色がだんだんと移り変わる中見たバンドの記録です。
それでは。
⑤My Hair is Bad(16:30〜)
ライジングでも他のミュージシャンとの被り等で毎回見る機会を逃し、気付けばもう自分が最後にライブを見たのは5年前だったことに気付いたマイヘア。
リハの時点からスリーピースとは思えない、今日一の音圧に圧倒され、リハ後もステージからはけずに3人向かい合って開演SEが鳴り止むのを笑い合いながら待つ光景を見ながら、既にワクワクが止まりません…。
SE終了と同時に、3人同時にジャーン!と1発!
「新曲!」の宣言とともに鳴らされた「カモフラージュ」で、既に特大のホームランが打ち上がりました。
今日はとにかくこの曲を聞きたかった私にとっては既にハイライトであり、いくつになっても心が自由であることを、全力で証明するこのバンドへの信頼をグッと高めました。
「辛いこと、悲しいこと、過去のこと全部忘れられます。
俺はこの曲を作った時のこと、全部忘れました。
だから大丈夫。絶対忘れられます。」
自身も赤色のTシャツを身にまとう椎木さんのMCから放たれる「真赤」は、相変わらず爆発力がすごい曲であると同時に、この日は前後のMCもあり、全て忘れて楽しめる今日のような音楽フェスに続く、自分の生活にも想いを馳せざるを得ませんでした。
「めんどくさいこと、自分のダメなとこ、愛してあげてください。
甘やかすのとは違う。
愛して大切にするか、甘やかしてダメにするかあなた自身の責任。」
終盤でのこのMCも、立て続けに演奏される爆発的な破壊力しかないロックナンバーも、フェスなのかワンマンなのか対バンなのか関係なく、現実を突きつけてロックで遊び続けてきた3人が、いつも通りのライブをやってるだけであり、だからこの3人は信頼できるロックバンドなんだと、何だか襟を正されてしまいました…!
「ライジングに呼ばれる時は大体深夜だったが、今日は明るい時間にできた!
この時間のあなた方に出会えてよかった!」
「今日のライジングサンで、俺が1番ドキドキしたい!!!」
そんな言葉に続いた「アフターアワー」は本当にドキドキしたし、ここから「フロムナウオン」までの流れは即興も含めて、どうなるか分からないドキドキをいつも与えてくれます。
「自分の好きなものを想像しながら聞いて。
俺もそうするよ。」
ラストの「歓声をさがして」は、この日のマイヘアに与え続けられたドキドキを、自分で探しに行く現実へのエールであると同時に、これからも音楽を通じてたくさんのドキドキを与えてくれるってマイヘアに期待していいんですねって、私は勝手にそう考えてます。
こんなにワクワクするライブ見せられたら、フェス後の日常もちゃんと生きていこうって思えちゃいますよ。
⑥NUMBER GIRL(18:10〜)
「福岡市、博多区から参りました、NUMBER GIRLです…ドラムス、アヒトイナザワ」
リハ後、開演時間までステージからはけずに、ステージ中央で座り、飲酒しながらその時を待っていたディスイズ向井秀徳さんが、開演SE終了と同時に発したその言葉を、3年間待ち続けました…!
3年前、再結成の舞台として選ばれたものの台風で出演予定日を飛ばされたNUMBER GIRLが満を辞して石狩の地に降臨。
リアルタイムで存在を知った時には既に解散していた私は、見ることが叶わないと思っていたこのバンドを、とうとう眼前に焼き付けることとなりました。
一曲目は「タッチ」。
…これだ!
この鋼のように鋭く、どんな鉛の金属よりも重い轟音、怒涛のアンサンブルに、身体が、心が震えました…!
爆音の中、ライブでは一切聞き取れない歌詞も含めて、ただただその衝撃に身体を揺らす…!
あのNUMBER GIRLのライブを体感できているんだと…喜びやら何やらが湧き上がっていました。
「TATOOあり」では、少しパラついていた雨が、上からピンスポを当てられながら凄まじいギターソロを奏でる田渕さんに重なって最高に綺麗でかっこよかったし、
「EIGHT BEATER」や、向井さんに「みんなで踊ろう、チビッコサンバ」と曲紹介された笑「CIBICCOさん」を始めとして、腕の動きと実際に聞こえてくるフレーズが、全く別次元のものにしか聞こえない中尾さんのベースは重厚すぎるし、
高速にも関わらず力強く、確かにナンバガの屋台骨を支えているアヒトさんは孤高すぎるし、
飲酒しながら、「アーユーレディ?」、「ディレイド脳、ディレイド血、ブラッド…」など時にメンバーに声をかけたり、時に独り言のようなMCで、あくまでもマイペースなように見えて、バンドの「首謀者」と言って差し支えない向井さんはフロントマンすぎるし、
とにかく見逃してはならない瞬間が1時間続いた訳です。
突然最前列の観客に声をかけ、
「あなた!
あなたが、17才の夏の日、何をしてたか私
知ってます。
ガリガリくんを食べてた!
あなたに捧げます。
…そんなあなたは透明少女」
田渕さんの、もう何百回聞いたか分からないギターリフから、向井さんは飲みかけの酒をグイッと煽り、空き缶をステージ袖へ投げつけ、ギターイントロに合流、アヒトさんのカウントとともに雪崩れた「透明少女」は、
燃えるような赤い夕焼けがステージと向かい合うように広がる景色の中、文字通り赤いキセツの到来を告げる、生涯忘れられないロックの景色でした。
その後、向井さんから今日に至るまでに関わったたくさんの方への感謝が告げられ、いつにも増して真面目な話をするかと思いきや…突然の再解散宣言につながる一連の流れは、
おそらくわざわざ私のこの記事を読んでいる方はご存知かと思います。
ここまでのライブに圧倒されっぱなしの私も、最初「?」となって訳が分からなくなりましたが、
今にして思うとこの今日のライブこそが、再結成最大の目的であるならば、不思議と腑に落ちてしまいました。
それくらいフラっと再結成したバンドだし、だからこそ、推しのライブは見れる時に見なければならないのだと、改めて思います。
「諸行は無常です。
福岡市、博多区からやって参りました、NUMBER GIRLです。
ドラムス、アヒトイナザワ」
本日二度目の口上、再解散宣言から放たれた「OMOIDE IN MY HEAD」で、その場にいた感傷の渦巻きに沈んでいく人を、このバンドを生で見たことのないマボロシに取り憑かれていた私を突き飛ばして、
今日この現場で目の前に確かに存在している4人をはっきりと焼き付けて、そのビートに乗って拳を振り上げました。
そこから続けざまの「I Don't Know」で、バチバチに後光が刺す照明の中、4人が音をぶつけ合うイントロは、ロックバンドという生き物がこんなにもかっこいいのかという瞬間を何度も写真で切り取っているかのような光景でした。
確かに向井さんの声は、リリース当時ほどのシャウトの声量はなく、キーも下がっているものの、そこに渦巻く混沌のグルーヴは、間違いなくその音源を聞いて好きになったバンドのそれであり、何よりも今ここで見聞きするこれが、心を揺さぶっているのだと確信しました。
ここで終わりかと思いきや、また観客を指して、
「あなたが昨日寝る前に聞いていた曲をやります。」
といって披露された「IGGY POP FAN CLUB」は、やっぱり可愛いメロディなのに、剛鉄のバンドサウンドで切れ味は抜群であり、そのまま曲調の近い、ラモーンズのカバーまでやりきってフィニッシュ。
向井さんはお客さんに深く一礼してステージを去りました。(なんか「やったぜイエイイエイ」みたいなことも言った気がしますが笑)
最後までハイライト級の瞬間を見せつけ続けた1時間。
月並み過ぎて自分の語彙力を呪いたくなりますが、自分の音楽人生に、ライジングサンで見てきたライブ史上に刻まれる、伝説のライブでした。
⑦ハルカミライ(19:40〜)
さっきのナンバガのライブで、色んな意味で終わったような気がしてる場合ではなく、全体の日程はここから後半戦という凄まじいラインナップが魅力の今年のライジング笑
とぼとぼと、本日2度目のEARTH STAGEに戻ってくると、ちょうどハルカミライのメンバーが怒涛のリハーサルを始めました。
なんせライブがいいという噂だけは聞いていたものの、実際にライブを見る機会が中々無かった私に、リハからこの世の元気を全部盛りしたパンクロックを心いっぱいに詰め込まれ、「なんか、すげえかっけえ!」と年齢が急激に下降する興奮を覚えているとあっという間に開演。
楽器隊3人に続き、バンドロゴの入った大きな旗を掲げてボーカル橋本さんが登場。
ここからが怒涛過ぎて、とにかく曲!曲!…曲っ!!!とショートパンクチューンを猛連打!
生き急ぐにもほどがありつつも、その一曲一曲には、魂と、潔いほどストレートなサウンドと、気持ち良すぎる歌唱のユニゾンが詰め込まれているから、曲を知ってようが知らなかろうが自然と身体が動いてしまいます。
「初めて俺らのこと見るやつ!分かんなくてもいい!適当でいいよ!」
「俺たち、出るフェスでは漏れなく出番は朝イチが多かったんだけど、今日は夜!
ちょうどいい時間!全力出せるよな!」
「夜が明ければ朝が来る。じゃあ夜の間はどうするんだよ。全員で輝こうぜ!」
このライブで確信したんですが、私がハルカミライに何だか惹かれてしまうのは、大好きなパンクロックを4人それぞれがとてつもない熱量でアクセルフル回転させながらやってるのが心底伝わってくるからなのは勿論のこと、
なによりも橋本さんの真っ直ぐで太く届く「声」とパンクロッカーとしての「姿勢」なんだなと思いました。
その驚くほど真っ直ぐ届く人柄から鳴らさられる実直なパンクロック。
個人的ハイライトは「PEAK'D YELLOW」
曲終わりの4人でのアカペラパート、ステージ後ろからがっつり照明に照らされて、観ているこちらからは逆光になった4人が、高らかに歌い上げるその様が焼き付いて離れません。
「2分半余ったから」と言って、即興で曲を増やし、テンポを上げまくったこの日5度目の「ファイト!!」まで、リハも含め全22曲、50分キッチリ使い切った熱演。
レキシやスガシカオといった強者と被り倒したこの時間のEARTH STAGEにいる人は、間違いなく全員ハルカミライのファンになりました。
今回は以上です。
いよいよ次回がラストです。
最後まで読んでいただいたそこのあなた、本当にありがとうございました。
前編(鈴木実貴子ズ〜フジファブリック)はこちらから↓
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