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【ライブ回顧録】RISING SUN ROCK FESTIVAL 2016 in EZO




 こんばんは。シリアスファイターです。



 今回も前回に引き続き、ライジングサンの振り返り。
 前年に引き続き2日間通しで参加した2016年のライジングサンについてです。



 早速時計の針を戻します。
 ぐるりん。





 この年も前年に引き続き、2日間通しで参加(宿泊はホテル。)
 天気は2日間とも割と良かったと思う。



 レイアウトは前年と変わっていなかったため、昨年の様子を思い出しながら、ふらふらと会場内を散歩しつつ、ライブが始まる前のお昼ご飯を済ませ、早々にSUN STAGE前のレジャーサイトにシートを広げのんびりと。


 この年は前年度の反省を踏まえ、体力の消耗を最小限に抑えて、最後まで楽しみきろうという心持ちだった気がする。



 トップバッターはONE OK ROCKで、バンドTシャツを着て気合いの入ったファンの姿がたくさん。
 スタンディングゾーンに行くのは怖かったので、このままシートに座って見る所存。




 スタート前に少し小腹が空いたので、おやつになりそうなものは無いか屋台を物色していると、なんと飲食店の屋台のお手伝いをしていた高校時代の同級生に遭遇するというミラクル。



 同級生は店番しながらワンオクのライブが見れる…!とかなり興奮気味で楽しそうだった。
 何より元気そうだったことが嬉しい。




 昨年の高校の先輩との遭遇に続くミラクルを2年連続で巻き起こしたところで、おやつとして、小樽ではお馴染みのぱんじゅう(小さいタコさん型の茶色く甘い生地の中に、あんこやカスタードなどが入った一口サイズの焼き物。)をいくつか購入し、パクパクと頬張りながら、怒号のような歓声とともに現れるONE OK ROCKのライブを眼前で目撃するという、あまりに贅沢としたのんびりぶり。



 それなりにステージから離れているにも関わらず、文字通り大地が揺れるようなラウドな音圧に身体が震える。
 そして昼間からあまりにも声が出過ぎていて、歌が上手すぎるTakaさん。




 ちょうどるろうに剣心の映画でフィーバーしている時期でもあったため、次々と畳みかけられる主題歌攻撃にも圧倒。
 久しぶりに「The Beginning」も聞けて嬉しかった。




 怒濤の盛り上がりを見せるライブを、凄いと思いつつ終始のほほんと眺める、過去一番ゆったりとしたスタート。




 このまま日向ぼっこして眠りにつくのも悪くないけど、もちろんここに来た最大の目的は音楽。
 シリアスファイター、いよいよ本格的に始動。



 というわけで続いてはEARTH TENTにてBase Ball Bear。
 メンバーが3人となり、サポートギターを交えたライブを行っていた時期で、この日のサポートは田渕ひさ子さん。




 ザラついた響きをギャンギャンに轟かすジャズマスターの影響もあってか、いつにも増して攻撃的で攻めたグルーヴがガツンとくるこの日のベボベ。



 一番のサプライズは、このライジングサンで、まさかの田渕さんご本人による「あの」イントロのギターフレーズから演奏されたNUMBER GIRL「透明少女」のカバー…!
 これは本当に沸いた…!本物だあ!!




 NUMBER GIRLのライブ映像を初めて見たのは、紛れもないこの曲をライジングサンで演奏しているYouTubeの動画(多分違法動画?)で、それを本人のギターを交え、NUMBER GIRLの影響も公言しているBase Ball Bearが演奏している。



 私とベボベの間の時空が、ぐにゃりと歪んで混り合った先に、未知の興奮が身体中に加速するような音楽体験に一気に楽しいゲージは加速。



 その後の攻めに攻め続けた演奏も含め、大満足すぎるステージだった。



 楽しかったあ…という余韻を大いに引き摺りながら、そのままEARTH TENTに待機し、お次はCocco。



 私はベボベからそのまま前方で待機していたけど、開演時間の遙か前から明らかに人口密度がぎゅっと高まっているのを感じる…ステージが狭すぎないか…!?




 そんな中でも今日もふらりと現れた本人は、ライブが始まると何かが憑依したように身体を前後に大きく揺らしながら、歌に没頭するいつものスタイル。




 内に秘めた狂気も優しさも華やかさも、この歌を聞いていれば、仮に歌詞が聞き取れなかったとしても伝わる歌の説得力は、逆にこの規模のステージだからこそ、より密度が濃い形で体感できたのだと思う。
 贅沢すぎるステージだった。



 RED STAR FIELDへ移動。
 すっかり満足した気持ちとは裏腹に、空腹に耐えかねて晩ご飯を食べていると、同ステージでエレファントカシマシのライブが始まった。




 ライジングで、夕闇時の涼しい風に吹かれながら聞く「風に吹かれて」はやはり絶品で、ご飯は何倍にも美味しくなる。
 とても大好きな「友達がいるのさ」も聞くことができた。


 (飲んでなかったけど)暖かいコーヒーから湯気と香りがふわあっと立ちこめるような味わい深いグルーヴと、宮本さんの激情が混ざり合う様を心ゆくまで味わった。



 この日のラストはSUN STAGEで電気グルーヴ。
 1時間、ひたすらテクノなトラックをシームレスに演奏し続け、ひたすらに踊らせるというストロングスタイルで、すっかり巨大ディスコと化したSUN STAGEには、巨大なミラーボール(誇大妄想)がギラギラと輝き続けていた。




 終盤ではゲストにKenKenさんも現れ、そのスーパーベースプレイとコラボして鳴らされる「富士山」


 「ふっ!じっ!さーん!」
 どこまでも夜空を突き抜けそうな興奮とコールアンドレスポンスで楽しみ、未だかつて無い丁度よすぎる疲労感とともに初日を終えた。



 2日目。この日も快晴。



 この日はトップバッターに対する私の思い入れと被り具合がひどく、当日ギリギリまで決めることができなかった。



 今はほとんどやらなくなったけど、当時は結果的に捨てきれない2組をはしごする形に落ち着き、まずはSUN STAGEでUNISON SQUARE GARDEN。
 2024年現在の思い入れで考えると、ユニゾンを途中で抜けるなんてあり得ないけど、当時としては結果的にこれがベストな選択だったと胸を張って言える。




 私自身はまだユニゾンに片足突っ込みたての時期で、どんなライブをしているのかちょっと気になる程度の知識しか無かった。


 ライブ直前には、ステージ裏からメンバーによる威勢のいい気合いの号令が聞こえ、いよいよライブスタート。
 一曲目は「クローバー」
 当時は知らない曲だった。
 でもゆったりとしたメロディとグルーヴが澄み渡るように広がる様が、晴れた空によく映えてとっても気持ちいいスタート。




 そこから「桜のあと(all qualtets lead to the…?)」「オリオンをなぞる」と畳みかけるように演奏し、暴れるようにベースを弾き倒す田淵さんと初遭遇したところで、私の初ユニゾンは終了。



 正直3曲だけでどうだったか判断するには難しかったけど、たった3曲でも不思議と忘れられないファーストコンタクトになった。
 この後、ユニゾン沼にどっぷり浸かるようになるのはまだ少し先の話。



 というわけで、def garageに移動してこちらはフルで見た黒木渚さんのライブ。
 私のフェイバリットすぎるソングである「ふざけんな世界、ふざけろよ」が出た直後ということもあり、それも含めてロックすぎる音像と孤高の歌声を存分に魅せてくれた30分のステージ。



 特に当該曲をライブで聞けた歓びはひとしおで、「ちくしょーちくしょー!!」と言いながら、「全力でこの音楽で遊んでやるんだ!!」という強い意志とカラッとした空気をまとったこの曲は、屋根のあるステージといえどもこの青空の下で聞くにはたまらない開放感に満ちていた。



 ただ少し喉の調子が悪そうな場面も見られた黒木さん。
 このライブの少し後に活動休止となるけど、そんな中でも見せてくれた渾身のステージ。
 これ以来、ライブを見る機会に預かれていないこともあり、この日にライブを見ることができて本当によかった。




 2日目はまだまだこれから。
 お次はRAINBOW-SHANGLILAに移動し、スガシカオさんの濃厚ファンクネスワールドにねっとりと浸かる昼間。



 前半はその世界そのままに、中盤の「真夜中の虹」にグッときつつ、「午後のパレード」のようなポップな曲で華やかさも魅せる変幻自在のステージ。
 最後には正直言ってとても聞きたかった「Progress」
 足取りを一歩一歩着実に確かめるように刻まれる旋律をグッと胸に握りしめたまま、次のステージへ。



 先ほどのdef garageに戻って、Charisma.com。
 正直ほとんど曲は知らなかったけど、トラックはとてもかっこよかったし、自然と身体が動くような楽しいライブで、たくさんの手が上がって、ジャンプでフロアが揺れていたのは覚えている。


 そんなHIP HOPの余韻を引き摺るように、この後はRED STAR FIELDでRIP SLYMEだったわけだけど、よくよく考えたらこの年、私にしてはロックバンドのライブ率が低い。(いや、この後バンドが続くのだけど。)


 だからなんだという話だけど、趣味趣向がロックバンドに異常に偏っていた時期もあった私にとっては、根本に流れている精神に少なからず共鳴できて、かつ、心に、身体に気持ちいい音がなっていれば、どんな音楽も好きなんだということを、無意識レベルで実感し続ける1日になっているような気がした。




 というのは完全に余談。
 とにかくこの夕暮れ時に「黄昏サラウンド」を聞かせてくれたRIP SLYMEには感謝しかない。
 あまりにも最高すぎた。



 すっかり疲れてきたので、お次のMANNISH BOYSはステージ後方で座りながら聞いていた(少し寝てた。)。


 今思うとレアな現場なのだが、やっぱり身体的な疲れには勝てない。
 勝てずとも、聞こえてくるキレキレのドラムとギターがかっこいいことは、本能でしっかりキャッチできた。



 このまま、レジャーシートの上で少し仮眠を取りつつ、深夜帯に入るまで特に見たいミュージシャンもいなかったので休憩タイムだったが、この日は放射冷却が凄まじい。
 ライジングの深夜は上着が必要なほど冷えることも多いけど、この年は特に寒かった印象。


 朝が暑いと、夜がめっぽう寒くなるのはライジングサンでは恒例行事と身体では理解していたものの、この日は例年と比べても結構な寒さ。
 テントもないので、風を防げる場所がない。 
 でも、休みたい。
 困った困った。


 いい加減寒さが肌に厳しくなってきたところで、いよいよ深夜帯のライブ。
 この場において、私にとって一番の暖の取り方は、「人が密集したスタンディングゾーンでライブを見ること」、それに尽きる。



 かくしてSUN STAGEに現れるのはゲスの極み乙女。。
 早速「キラーボール」の華やかなビートで踊らせてくれる…ありがたい…!
 中盤にはアダルトver.で同曲を披露したり、フェスならではの盛り上がる曲だけでなく、しっとりと深夜に聞くにはもってこいの、少し実験的な場面もあったような気がする。
 1時間のステージは相当見応えがあった。



 お次はSiMだが、これまた待機時間は寒い!
 そして、深夜帯になるとライブとライブの間の転換時間が長くなるため、必然的に待機時間も延びる…!




 すっかり耐えかねて、思わず屋台に走った。
 暖かい豚汁がある。
 考えるまでもなく、本能で購入。



 「深夜の食事」という背徳感が味わえるのがこの時間のライジングサンならではの1つの魅力だと勝手に思っているが、この時はとにかく「暖かいことへの感謝」で頭がいっぱいだった。
 暖かい。ありがたい。この上ない。
 深夜までお疲れ様です…!



 こうしてSiM。
 本当はスタンディングゾーンの前方の方に行った方が暖かいんだけど、それは体力的に危険すぎるので、少し寒いけど後ろの方で。



 ライブ自体は途中までしか見ていないけど、深夜のSiMはおそろしく映えすぎていた…。



 ステージ自体は光り輝いているのに、ステージに立つ4人の姿と発せられる音は真っ黒な翼を生やしているかのように、怪しくてかっこいい。
 文字通り「Dance In The Dark」し続ける真夜中のSUN STAGE…もうSUN STAGEというか…DARK STAGEというか…HELL STAGEというか…。



 当然巨大なフロアで鳴らされるには充分な迫力も兼ね備えているけれども、それ以上にやっぱり地下のライブハウスのような暗闇が似合うバンドだよな…と当時は感じていた。



 SiMを終盤で抜け、少しでもいいからとEARTH TENTに9mm Parabellum Bulletを見に来ると、丁度管原さんが弾き語りをやっていた。


 ギターの滝さんがちょうどライブ活動を制限(?)していて、まだ持ち時間いっぱいライブをやるのが難しい時期だった(うろ覚えの記憶だけどそんな経緯があったような…)こともあり、最初の3曲は世にも珍しい管原さんによる弾き語り。




 結果的に私が聞いたのはこの3曲のみ。
 それでも、そろそろ夜明けが近づく中、「黒い森の旅人」「カモメ」「The Revolutionaly」はどれも割とはっきり覚えているほど、この時間に浸るにはこれ以上ない選曲だった。



 真っ暗な夜を抜け出し、夜明けの革命を起こすまでのドラマチックすぎる流れと、少しセクシーで優しい管原さんの声に、いよいよ訪れる夜明けへの期待が高まる。



 こうしていよいよ迎える今年の大トリはBRAHMAN。
 この数ヶ月前にSiMのツアーで対バン出演していたライブを見た際、今年の大トリに決まっていることを、発表前なのにとても分かりやすく仄めかすMCがあり、その日からずっと楽しみにしていたこの瞬間。(なんならその前がSiMであることも何となく分かるような言い振りだったような…笑)


 北海道でのライブということもあってかアイヌ語で歌われる「kamui-pyrma」から、「満月の夕」のカバーへとつながる、激しいイメージが強いBRAHMANのライブの中でも、群を抜いて静かだけど、夜明けに似合いすぎる雄大な幕開け。


 じっくりと浸ったその後は、「賽の河原」を皮切りに、シームレスに激しい曲を畳みかけるいつもどおりのBRAHMANのライブ。


 一瞬でも目も、心も離したら振り落とされるようなライブに、この時間とは思えないほど覚醒させられっぱなしの時間。



 そんな中、大分空が明るくなってきた中で鳴らされたのは、まさにそんな瞬間に聞きたかった「A WHITE DEEP MORNING」


 静かに、でも確かに爆発しそうな心を抱えたまま迎え入れる朝の風景は、既にとんでもなく美しかった。



 そして明けた空は、おそらく私が参加したRISING SUNの中で一番文句なしに完璧な晴天。
 眩しすぎるほど大地を照らし出す朝日。
 あまりに綺麗すぎて、言葉を失いかけていたけど、そんな中で数十曲を休みなく駆け抜けたTOSHI-LOWさんが、最後の曲前のMCで、「これからとても大事なことを言う。」ととてもシリアスな雰囲気で語り、少しの沈黙の後放った一言で、私も大事な言葉を思い出した。



「…………………おはようございます。」



 元気いっぱい会場中に轟く朝の挨拶。
 平和そのものだけど、全く当たり前じゃないそんな「今日」は二度とやってこないからこそ、また全力で始めるんだと、最後はTOSHI-LOWさんがお客さんの上に乗ったまま歌われる「THE ONLY WAY」。(下の動画の5:50〜)



 たくさんのダイバーさんに囲まれ、1人闘うように歌うTOSHI-LOWさんを、眩しすぎる朝日が逆光で力強く照らし出す光景を見ながら、理由もなく、とてつもなく生きている実感を噛みしめ続けた。


 1時間と少しのステージで実に20曲近く、ワンマンライブかと思えるようなボリュームと熱量で全てを出し尽くすように駆け抜けたBRAHMAN。


 ここまで見事な朝日とともに、音楽を浴びることができた喜びとともに、生きていくために必要な覚悟を問われているかのような余韻を引き摺りつつ、また来年まで生きて朝日を浴びれるように頑張ろうと思えるような時間だった。


 …それでも終わった後はまだまだ寒かったし、全てが終わるとホッとして眠かったけど笑




 今回は以上です。



 最後まで読んでいただいたそこのあなた、本当にありがとうございました。

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