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[ネタバレあり ライブレポ]2022年14本目 a flood of circle × WOMCADOLE “Tour 伝説の夜を君と”@札幌ペニーレーン24 2022.5.15(日)


 こんにちは。シリアスファイターです。

 今回はa flood of circleのアルバムツアー、札幌公演のライブレポです。

 場所によって、数曲は日替わりで曲を変えている様子ですが、演奏曲にガッツリ触れたレポートですので、少しでも気になる方はブラウザバック推奨です。

 それでは。

 前置き

 「かっこいい」という形容詞が、この世界で一番似合うロックバンドが、私にとってのa flood of circleです。


 シンプル極まりない4人編成による「かっこいい」バンド演奏と、
 「かっこいい」ギターリフと、
 泥にまみれながらも「本当のこと」だけ歌っていることがよく分かる「かっこいい」歌詞etc…、
 たくさんの「かっこいい」を当たり前のように積み重ねて、毎年のように「かっこいい」アルバムを出して「かっこいい」ライブをやりまくって転がり続ける姿は、いつ見ても自分の襟を正されるし、ロックンロールって最高だよな!というシンプルな想いを呼び起こさせてくれます。


 そんなフラッドが昨年末に出したアルバムは「伝説の夜を君と」という、一見言葉にすると恥ずかしくなってしまうような大胆なタイトルで、でもそのタイトルが似合いまくってしまうほど「かっこいい」ことを続けているバンドの、赤裸々で誠実な言葉と音だけが詰まった、純粋なロックアルバムでした。


 そのアルバムを引っ提げたライブが、伝説の夜にならないわけがないということで、ペニーレーンへ繰り出したのでした。

 本編

 半年前のペニーレーンでのライブ時は、お客さんはお酒を飲めなかった(佐々木さんはステージ上で飲んでましたが笑)ですが、この日はお酒を飲んでいる方も多くいました。

 少しずつライブハウスに自由な雰囲気が戻ってきている光景で、既に楽しいです。
(私はお酒苦手なので、雰囲気で楽しむけど笑)


 ポップでファンキーな曲からゴリゴリのロックまで多種多様な洋楽がBGMとしてかかる会場は、満杯とまではいかないないものの、席は概ね埋まっていました。

 そんな席の埋まり具合と反比例するかのように期待をパンパンに膨らませているところで、ほぼ定刻通り会場が暗転します。

1.WOMCADOLE


 完全に初見、かつ曲も一曲も知らない状態だったため、ワクワク100%の私の前に現れたのは、全身黒コーデでまとめ上げた男性4人組ロックバンド、WOMCADOLEです。

「かかってこいよ!」


「君に会いにきたんだ!」


「何があんたを悩ませんだ!頭がおかしくなるのはロックンロールだけでいいのに!
 ふざけんじゃねえ!ふざけんじゃねえ!ふざけんじゃねえええ!」


 まさしく激情のロックンローラー、ボーカル樋口さん。


 テクニカルなフレーズばかりなのに、一音一音が骨太なギターを弾くマツムラさん。


 一番クールな出立ながら、心は熱く、確かに屋台骨を支えるベース、黒野さん。


 頭を振り乱しながら、でもリズムは決してブレずに確かなロックのグルーヴを叩くドラム、安田さん。


 ストレートなロックンロールですが、メロディは徹底してポップという、フラッドが好きな私、というかこの会場にいた初見のフラッドファンは確実に胸ぐら掴まれてハマりこんだことは間違いありません。

 「明けてほしい夜と、明けてほしくない夜がある。

 こんな暗闇から連れ去ってほしいこともあるけど、なんだか月が綺麗で、君に会いたくて、ロックをいつまでも鳴らしていたいこんな夜もある。」

 ほぼMCらしいMCを挟まずに、前のめりに曲を連打するあまり、急遽一曲増やすという展開も含めて、この瞬間だけは明けてほしくない夜になっていてほしいロックだけが詰まった無敵の40分間で、確実にフラッドを食いにかかるロックショーでした…!

2.a flood of circle

 20分程の転換を経て、満を持しての登場。

 お馴染みのSEに載せて、ギラギラの赤い照明が光るステージに、颯爽と片手を上げて登場するドラム渡邊さん。

 続けてベースHISAYOさん、ギターテツさんがクールに登場。

 最後は勿論、今日もお酒の缶片手にふらっと登場したボーカル佐々木さんは、今日は黒い革ジャンで、先ほどのWOMCADOLE同様、ほぼ黒コーデでまとまった4人がステージに揃いました。

 「おはようございます。a flood of circleです。」

 お馴染みの口上から、赤い証明が輝く中、空気を切り裂くようなテツさんのギターから一曲目は「A」

 先のサウンドチェックでドラムの音を聞いていた時から予感していましたが、相変わらずの爆音ぶりで、スタンディングフルキャパで600人前後のライブハウスを、一音目からロックンロールのみで満たしていきます。

 淡々と熱を帯びていく始まりの「A」から、

「行こうぜ!」

 と佐々木さんのかけ声から続く「Dancing Zombiez」で一気にギアチェンジ…!

 声は出せずとも、ただ目の前のロックンロールを貪り尽くしたい衝動に駆られまくった会場(無論私含む)は、手を叩き、掲げ、自由に身体を揺らします。

 まだまだ攻撃の手を緩めないフラッド。

 再び伝説のニューアルバムから「クレイジー・ギャンブラーズ」をお見舞いします。

 1番のサビのフレーズ、

 あるだけ全部 賭けてくれ

 で、目をガッ!と見開き歌う獰猛な佐々木さんの熱に浮かされた私は、暑くもあり楽しくもあるこの空間で既に爆笑を通り越して、頭おかしくなるくらいの興奮と爆音、そして原曲以上に爆発力のあるサビのメロディに、早くもKO寸前…!


「ロックンロールの準備はできてるか?」
「オンベースHISAYO!」

 ロックンロールは止まることを知りません。

 今度はHISAYOさんの必殺ベースフレーズの出番、「Blood Red Shoes」で、更に血の通った…というか通いすぎて今にも血が噴き出しそうな勢いは加速していきます。

 先のWOMCADOLEが言った、頭がおかしくなるロックンロールという言葉が、今日は活きに活きまくっていて、フラッドはいつも通りの王道のロックンロールをしているだけのはずなのに、選曲も相まって、すっかり狂乱の宴と化して…と思っていたら…!

 佐々木さんがハンドマイクに持ち替えて、文字通りの「狂乱天国」へ…!

 佐々木さんは時に腰をくねらせ、よろめきながら歌いまくり、歌詞通りのダブルピースを決め、最後のサビではお酒の缶片手に歌うという、フラッドを知らない人からするとヤバイバンドのボーカルとしか思えない字面で、ただそれを様になるロックンロールに昇華する佐々木亮介という男の好調振りに、こちらも楽しくなるに決まっています…!

ふざけろよBaby

 WOMCADOLEの予言めいた言葉の伏線を勝手に回収したと勝手に私が思い込むという、対バンライブの楽しみ方をしている間に、佐々木さんは曲終わり、酒を高々と掲げてご機嫌フィニッシュ!

 引き続きハンドマイクで、渡邊さんのバスドラに合わせて、

「札幌、ただいま。
 帯広、旭川と駆け抜けて、もう戻れない今日の札幌も最高の日にするしかない。」

 と札幌に戻ってきたフラッドが、今度はロックンロールの世界へご招待と言わんばかりに放つ「Welcome To Wonderland」で、佐々木亮介劇場は続きます。

 突然の左肩のみ、郷ひろみのようなジャケットプレイ状態になったり、よろめいてHISAYOさんにぶつかりそうになったりと、フラッドを知らない人からすると、いやいい加減ヤバイだろと思ってしまう字面ながら、肝心のボーカルは全くブレずにしゃがれたブルージーな旨味が出まくってるので、ただのかっこいいロックバンドになってしまうのです。

 Cメロで一時、マイクスタンドを客席に背を向けるように立てて、頭にフラッドのタオル掲げて歌う佐々木さん。

 文字通り、この札幌の地に、フラッドのロックが帰ってきたことを証明していました。


 天下無敵のロックショーもようやくブレイクタイム。


 「今回のツアーは、帯広→旭川→札幌と、アルコール度数高めでやってきたんだけど笑、その中でも覚えてることがあって…。」

 と、帯広の空港に着いた時からたくさん咲いていた、たんぽぽの話をし始める佐々木さん。

 ユーラシア大陸であれば、どこでも咲いているらしいたんぽぽに感銘を受けた佐々木さんは、

「国とか、どこでとか関係なく、ただそこに咲いて、どこまでも伸びていく。
 今日はみなさんを、どこまでも連れて行きますんで」

 そんな優しい言葉から、ギターをゆっくりと弾き始めた佐々木さんが歌い出したのは、今回のアルバムで私が1番聞いているであろう「白状」でした。

 先ほどまで酒を飲んで歌いまくっていた佐々木さんは、曲の1番を丸々マイクを通さず、これ以上ない綺麗な歌声と叫びを会場中に届けます。

 切実な思いを一心に受け止め、2番以降は、5本の白い光の照明に照らされるシンプルな演出の中、4人のアンサンブルが響き渡ります…!

 何もかも諦めそうで、最終列車も行ってしまって、もうどこにも行けないかと思うことがあっても、結局辿り着く、

これが生きる理由だ 行けるとこまで行こうぜ

 この言葉に、音楽が好きな自分の原点を何度も思い出しました。


 今、このライブが、目の前の光景が、私の生きる理由の一つでした…!


 ここから再び始まるんだと言わんばかりに続けて鳴らされた「伝説の夜を君と」は、ここからまたロックンロール始まるんだという、希望の歌にしか聞こえませんでした。


 ロックが好きで仕方ないことに、改めて気付いた今日、この夜の私は無敵なんだっ…!


 誰にも邪魔できない、ロックが再び鳴り始めました…!

 と、ここから再び佐々木さんのご機嫌MCタイム笑

 「最近は、るんるんを通り越して、るんるんるんって感じなんですけど笑。
 友達のウォンカを皆さんに紹介できて、ウォンカに皆さんを紹介できてうれしい。」


 とWOMCADOLEとの思い出と印象を語ります。

 ウォンカのメンバーに服買ってあげた!捨てんなよ!笑というくだりや、
 ウォンカとの出会い(ガッツリ絡むのは今回が初らしい)や、各メンバーの印象を語る佐々木さんは、本当に嬉しそうに、友達を紹介する気前の良い近所のお兄さんにしか見えませんでした笑

 「ここからは皆さんを、たんぽぽちゃんにしますんで。」

 との一言から始まった「バタフライソング」→ 「R.A.D.I.O」の流れは、これまで見てきたフラッドのライブ史上最高に、ポジティブでハッピーな、多幸感に包まれたものだったのではないでしょうか…!

 それまでクールな出立で、ブンブンとベースを鳴らしていたHISAYOさんのこぼれる笑顔も眩しかった「バタフライソング」は、ようやく春の暖かさが定着してきた北海道の大地を祝福してくれてるかの如く、今すぐ外に駆け出したくなったし、  
 全くブレない跳ねるリズムで、会場中が踊った「R.A.D.I.O」は、ラジオで曲を聞きまくるしかなかったド田舎出身の私に刺さりまくる歌詞とともに、そんな音楽好きな私が、今日ここに辿り着いたことを勝手に祝福されているように感じてしまいました…!

輝きは君のせいだよ 途切れ途切れでも
見えない壁を突き抜けて メロディーは続く

 曲終わり、ギターノイズが響き渡る中、ドラムの渡邊さんに向き合うフロントの3人。

 渡邊さんのハイハットカウントから、居合い抜きのように始まったのは勿論「プシケ」

 半年前のライブで聴いた時よりも、テンポを落としてずっしりしたグルーヴをじっくり聞かせるような印象(完全に個人の主観ですが…)で、一人ひとりの楽器の音色を、心臓の奥深くに刻みつけます。

 曲の中盤、佐々木さんによるいつもの、メンバー紹介をしながら、ドラム→ベース→ギター→ギターと積み重なるバンドサウンドが全て揃った瞬間、

 「a flood of circle!!」

 佐々木さんの絶叫と共に、雪崩れ込む間奏は、このバンドが今日ここに存在していることの奇跡とかっこよさそのものでした。

 そこから一気にラストスパートへ!

 待ってました!ワクワクキラキラのギターイントロ!「北極星のメロディー」


 青と白の照明は、まさしく曲の雰囲気そのもので、サビの解放感は原曲の300倍増しで、再び、このロックンロールが私をどこまでも連れて行ってくれるんだという確信に満ちた名演でした…!

「ラスト!
 俺たちとあんたたちの明日に捧げます!」

 そこから間髪入れずに本編ラストは「シーガル」…!

 あっという間に始まる現実の明日、でも明日が来るって分かってるから手を伸ばすんだって、どこまでも行ける実感がこれ以上ない今日のライブで伸ばした手は、今まで以上に遠くに届いているような気がしてなりませんでした。

 あっという間に終わった本編から、赤くなるまで手をぶっ叩きながら待っているとアンコールへ。

 淡々と4人が現れてから、1秒も経たずに始まった「テンペスト」の潔さたるや…!


 テツさんの勇ましいイントロのギターフレーズ!そして間奏のギターソロ!と、文字通りのテツさん劇場のこの曲は、ギターの醍醐味だらけであることを改めて実感します。

 もう言葉はいりませんでした。

 ただロックンロールをやるだけという強い意志を感じさせる豪速球勝負に、改めてただのかっこいいロックバンドであるブラッドへの信頼感が高まります…!


「元気でね!」


 という佐々木さんの挨拶とともに、ここで「遊びに来た!」とウォンカの樋口さんがサッポロクラシック片手に乱入笑

 ラストは「I LOVE YOU」で文字通り大団円


 樋口さんはスマホで歌詞を見ながら頑張って歌ってるし、本日唯一(?)渡邊さんもめっちゃ笑ってるし、とにかく皆楽しそう…!というポジティブな空気のまま、樋口さんの大ジャンプとともにライブはフィニッシュ…!


 めちゃくちゃで、誠実で、シリアスで、チャーミングで、そして何よりかっこいい伝説の一夜は、いつまでも観ていたい、聞いていたいロックンロールしかありませんでした。


 物販にツアーファイナルである、渋谷のホール公演のチケットが売られていました(座席は1階席の物でした)。


 這ってでも行きたいですが、平日の東京は厳しい…でもどんな会場でもベストを尽くし続けるバンドであることを、今日改めて確認しましたので、行ける方は全員出席で、よろしくどうぞお願いします。


 最高に余計なお世話ですが!


 今回は以上です。


 ここまで読んでいただいたそこのあなた、本当にありがとうございました。

セットリスト(a flood of circle)
1.A
2.Dancing Zombiez
3.クレイジー・ギャンブラーズ
4.Blood Red Shoes
5.狂乱天国
6.Welcome To Wonderland
7.白状
8.伝説の夜を君と
9.バタフライソング
10.R.A.D.I.O
11.プシケ
12.北極星のメロディー
13.シーガル

アンコール
1.テンペスト
2.   I LOVE YOU(with 樋口侑希)

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