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【ライブ感想文】JOINALIVE 2023 2023.7.15(土)
こんばんは。シリアスファイターです。
今回は北海道毎年恒例の夏フェス、JOINALIVE(以下、ジョイン)のライブ感想文です。
3年振りの開催となった昨年は、9月早々に2日間開催。
声出し禁止などの制限がありつつも、2日間天気に恵まれ、岩見沢の清々しい気候(むしろ暑かった!🔥)の中で、たくさんの音楽を浴びることができました。
今年は例年通り、7月の3連休のうち、土日2日間を利用しての開催に戻り、前方エリアの事前抽選はそのままであるものの、1日の開催時間も伸び、声出しが解禁され、人との距離もなくなり、ほぼ例年に近い状態での開催となりました。
私が参加したのは2日間のうちの初日。
ジョインといえば、幅広い年代の方が気軽に楽しめるジャンルレスなラインナップが魅力ですが、私がこの日見たのは、気付けば愛すべきロックバンドばかりでした。
というわけで以下、岩見沢の素晴らしい気候の中で、大好きなロックバンドがどんな魅力を放っていたのか、私の主観で感想をまとめましたので、お時間許す方は是非お付き合いください。
以下、とっても長い文章になったのでバンド毎に目次を付けています。
興味のある部分だけでもご覧になっていただければ幸いです。
それでは。
①フレデリック(11:00〜)
リハから「KITAKU BEATS」で、「遊びきってから帰れ」というダンスロックを受け取り、「リリリピート」では、前方エリアの入場待機列でステージが見えない観客にひょこっと顔を覗かせてくれた赤頭さんが可愛かったりと、早くも楽しかったフレデリック。
開演直前、恒例の山本さんによる主催者挨拶で、実に6年振りに、ローズステージのトップバッターとして同イベントに帰ってきてくれたことと共に力強く紹介されると、いよいよ2023年のジョイン、火蓋が切って落とされました。
登場からお立ち台に立ち、「そんなもんか?」と言わんばかりに手をぐるぐると煽る健司さんに、待ちに待った観客のボルテージはみるみると高まっていきます。
「始めます。」
深々とお辞儀をして一言、雪崩れ込むセッションから一曲目は「スパークルダンサー」…!
今年出たばかりの新曲ですが、「それを待っていた!」と言わんばかりに、上がる歓声!挙がる拳!アガる気持ち!
6年ぶりだろうが、今日が雨だろうが、常に今が最高であること証明し続けるロックバンドが輝きすぎていて、早くも目頭が熱くなります…!
「このステージ、(前方のエリアと芝生エリア)内と外で分かれてるように見えるけど、そんなの関係なしに、俺らの音が届いてる範囲の人たちは全員楽しませて帰ります!」
力強い健司さんの宣言から、会場中に目覚まし替わりの「Wake Me Up」。
楽器隊3人は時折、何度も笑顔を見せながらキレッキレのフレーズを気持ち良くピンポイントで決めまくり、サビに入るたび、ぴょーんぴょーんと飛び跳ねる赤頭さんはとにかくかわわいらしく楽しそう…!
曲の後半では音量を落としたり上げたり、突然激しくなったりと縦横無尽に駆け回るセッションに振り落とされそうになります…!
昨年ライジングサンで見た時より、さらに進化してませんか!?
「…トップバッターですよ。
イベントのトップバッターのライブって、みんな覚えてる…?
今日が終わって帰る時に、「あれ?なんかフレデリックの曲が頭から離れないな…?」と思わせられたら、俺らの勝ちです。」
最後の2曲にいく前のMCで語っていた健司さんですが、これを書いている今、特に印象的だったのが、エンジン音が聞こえてきてからの「midnight creative drive」→「ナイトステップ」という、バンド初見の方も多いフェス会場でやるにはとてもディープな選曲。
特に後者は、高橋さんと康司さんによる淡々と鼓動を刻むようなドラムとベースのセッションをたっぷり挟んでから、最終的には歪んだギターの音色を先頭に、ぐわんぐわんと夜の世界に入り込んでしまうかのようなセッション…!
あまりの没入感にクラクラしてしまいます…。
これを時間の限られたフェスでガッツリと聞かせてくれるあたり、今自分たちがやりたい、自信のある音を聞かせたいという攻めの姿勢が感じられて…もう…すごく好きでした!!
「今日、人生で1番最高の日にしろよ!」
最後は2曲、イベントとしてもしっかり盛り上げる、音楽大好きな我々へのダンスの贈り物「ジャンキー」…!
高橋さんの力強いカウントコールからセッションに雪崩れ込み、ラストは「オドループ」…!
「今日は1日最後まで楽しんでってね…なんて言うか!今、最高に楽しんでいけ!行くぞ!」
最後の曲にしてこの日1番暑すぎる健司さん。
赤頭さんは途中、先日のファーストテイクを意識したのか(?)、カメラを探し、両手をグルグルと回すアピールをしてから、間奏では身体を後ろに剃り返したまま見事なギターソロを披露します…!
にこにこ楽しそうにしながら、正確かつグルーヴィなベースを奏でる康司さん。
そしてこの日1番熱量のこもったドラムで、時折シャウトしながら終盤のテンポアップをグイグイ引っ張っていた高橋さん。
最後深々とお辞儀をして去って行った4人は、今日も40分、フェスでライブをするロックバンドとして、真っ当な闘いぶりを見せてくれました。
これだからフレデリックと踊っていたい夜も昼もいつまでも気にいってたいですよ!!
セットリスト
リハーサル
1.KITAKU BEATS
2.リリリピート
本番
1.スパークルダンサー
2.YONA YONA DANCE
3.Wake Me Up
4.midnight creative drive
5.ナイトステップ
6.ジャンキー
7.オドループ
②打首獄門同好会(12:30〜)
ここまで順を追って読んできた方は既にお気付きかと思いますが、この日は、雨☔️
「岩見沢の素晴らしい気候」云々言いましたが、ガッツリと降りしきる雨。
それでも今日の開場前には少し雨足が弱まっていたため、「降っててもいいからこのくらいでキープしてほしいな…」と思っていたら、各ステージで鳴り始めた音楽に気持ちが抑えきれなくなったのか、お空さんもテンション高めで雨を撒き散らしてきます。
そんな状況に対して抱くやるせなさを、この生活密着型ラウドロックバンドが鳴らしてくれない訳はありません。
おそらくこの時間、このステージにいた同好会員全員が熱望する(と同時に絶望した笑)一曲目は「なぜ今日天気が悪い」。
ライブの時は、日々の中で感じる自分の気持ちを吐き出しながら楽しむのが常ではありますが、こんなにリアルタイムで心情に寄り添った曲をまさかこの前日にリリースし、早速ライブ初披露となったこの瞬間。
「なーぜっ!」「晴れろっ!」
こんなに気持ちが拳と声に乗ることがあるのか!?という気持ちで精一杯の祈りを音にぶつけます。(この後もライブ中に晴れることはなかったものの、ちょっと空が明るくなっていたのは私の気のせい?)
「雨なんかに負けてられるか!」という大澤会長のお言葉から、身体を動かすスクワットタイム「筋肉マイフレンド」。
ローズステージ中で始まるスクワットはあまりにシュールすぎましたが、3人が奏でるのはあくまで重厚骨太なラウドロックというこのギャップ…癖になります…!
会長のお言葉通り、今週は10週間ぶりの3連休(祝日がある)。
これまでの労働を労い、これからの労働を憂う「はたらきたくない」。
最後の転調後、妙に明るく解放されたサビ。
聞くたびに若返ってるんじゃないかというjunkoさん、そのドラムを叩きながら何でそんなに力強い声が出るか不思議で仕方ない河本さんの歌声に、また労働するための力を貰います…!
この後の「地味な生活」演奏中に会長が、「(美味しいもの)いっぱい食べたけどね笑」なんて替え歌していましたが笑、この日は7月当初からバンドが廻っていた北海道ツアーの最終目的地。
「今日の出演者で1番、北海道のグルーヴが高まってる!」
と自信を覗かせた会長は、MC最小限で、北海道の思い出を「牛乳」→「海の幸」→「肉」→「米」と、まつわる曲になぞらえて次々と畳みかけていきます…!
「海の幸」=その荒っぽいギターリフが大好きな「島国DNA」では、ビニール製のマグロが前方エリアにいる観客目がけて次々と投下され、私のところに何度も襲いかかってきます!笑
「きゃー!」「うわー!」と、飛び交うマグロと嬉々として戯れる、私を含めた観客の皆さん。
よくよく考えたらこの光景も、コロナが流行り始めてからは初めて見たので、一見シュールに見えるこの光景すら、相当愛おしく感じました…!
「雨が降ってるフェスは「田植えフェス」とよく言われるが、その田んぼはむしろ、「コンディションがいい田んぼ」と考えるんだ…!」
会長の名MCも飛び出した、「日本の米は世界一」で、とびっきりの「世界一!」コールを巻き起こし、最後は北海道が誇るローカル番組「水曜どうでしょう」のエンディングテーマ「1/6の夢旅人2002」のカバーで締めくくり。
壇上には北海道テレビ、HTBのマスコットキャラクターONちゃんも登場し、巨大な2頭身ボディから渾身のヘドバンを繰り出します…!
世界じゅうを僕らの涙で埋め尽くして
やりきれないこんな思いが今日の雨を降らせても
新しいこの朝がいつものように始まる
そんな風にそんな風に僕は生きたいんだ
生きていきたいんだ
…あれ?…なんだか感極まってきた…。
北海道ツアーを総括するグランドフィナーレに参加できて、すっかり感無量です。
セットリスト
リハーサル
1.私を二郎に連れてって
2.きのこたけのこ戦争
3.死亡フラグを立てないで
4.なつのうた
本番
1.なぜ今日天気が悪い
2.筋肉マイフレンド
3.はたらきたくない
4.地味な生活
5.カンガルーはどこに行ったのか
6.牛乳推奨月間
7.島国DNA
8.ニクタベイコウ!
9.日本の米は世界一
10.1/6の夢旅人2002
③ヤバイTシャツ屋さん(14:00〜)
「帰りたくない!やだ!」
スタッフさんに、早く袖に履けるように促されながらも駄々をこね続ける、ありぼぼさんとこやまさん笑
「俺はこっち(スタッフ)側の人間やから。」と言って、これまた履けようとしないもりもとさん笑
そんな3人がリハから曲を畳みかけ続けてくれた段階から既にサービス精神の塊だったヤバT。
無事出番前にスタッフに連行されていった3人は笑、時間通り「はじまるよ〜🎵」といつもの陽気で朗らかなSEとともに登場し、もりもとさんは早速声を聞きたいとばかりにお客さんを煽ります…!
一曲目からいきなりフルスロットル、「あつまれ!パーティーピーポー」から始まったライブ。
この日朝一からローズステージにずっといる私は、雨のせいか思いの外、お客さんが大人しいなと思い込み、それなりに前の方で見ていたのですが、曲が始まった途端、
「おいで〜、もっと前においで〜。」
と穏やかな口調で挑発するこやまさんに乗せられるかのように、モッシュピットはいきり立つ顧客の皆さんでどんどんぎゅうぎゅう詰めに…!
ぐわっ…!久しぶりにきた…!!
サビではとうとうダイバーまで登場し、コロナ禍以降のローズステージに、ヤバTの3人がとうとうライブハウスの熱狂を取り戻しにやってきました…!
(と言いつつ、私はちょっと怖いのでタイミング見計らってするすると後ろの方へ笑)
続く「喜志駅周辺なんにもない」では恒例のコールアンドレスポンスで、ジョインのスタッフに媚びを売りまくるところまではいつも通りでしたが、ここでこやまさんの提案により、何故か中央エリアでウォールオブデスが繰り広げられることに…!!
本人曰く謎のタイミングでしたが笑、文字通り恐ろしい完成度の高さでぶつかり合う顧客の皆さん…!とてつもないフィジカルに驚愕…!
その後も畳みかけるようにコールアンドレスポンスや合いの手、ジャンプなど、気持ち良すぎるほどバッチリハマったうるさくてクソ早いパンクロックに乗せて、心も身体も鰻登りで調子を上げていきます。
ありぼぼさん
「「JOIN ALIVE」の反対は「SEPARATE DEATH」やろ。」
こやまさん
「怖っ!「南陸穴」でそんな…」
ありぼぼさん
「「北海道」の反対!?「道」の反対って「穴」なん!?」
何の話を聞かされているんだ笑と思いながら、中々ウケたことがないというMCでもほっこりさせてくれるヤバT。
ここでありぼぼさんの提案により、芝生エリアも含めて顧客全員でしゃがんだ後、1番後ろの顧客から牛さんになって、牛乳をステージまで届けられたら(ウェーブが綺麗に決まったら)次の曲に行こうということで、牛乳運搬大作戦が決行されます…!
案の定、綺麗に決まったウェーブ後に演奏された「ちらばれ!サマーピーポー」に、とってもグッときてしまいました…!
それもそのはず、サークルモッシュができたら楽しいという願いがこもっていた間奏部、前方エリアにとうとうおっきなサークルができあがり、楽しそうに走り回る顧客の皆さん…!
この40分間で、ライブハウスで遊ぶことの全てを、ヤバTの3人がこのステージに蘇らせてくれました…!
とはいえ途中のMCで尺を使ったせいか時間が押していた模様…!
それでも曲を減らすことはなく、最後の「ハッピーウェディング前ソング」、「かわE」の2曲は、曲中にテンポをどんどん上げて演奏します…!
とくに後者は、「後○分」と逐一こやまさんがカウントダウンしながら、どんなに速度が上がっても力強いバンドのアンサンブルは一切ブレずに、やり切ろうとする切迫感と楽しませようというサービス精神が手を取り合って突き進む様に、興奮を抑えきれませんでした…!
結果、40分ジャストでライブ終了。
駆け足で去っていく3人の姿は、生き急ぐパンクロックバンドとして、あまりにも潔すぎました…!
セットリスト
リハーサル
1.Tank-top of the world
2.げんきもりもり!モーリーファンタジー
3.鬼POP激キャッチー最強ハイパーウルトラミュージック
4.KOKYAKU満足度1位
5.ダックスフンドにシンパシー
6.ヤバみ
本編
1.あつまれ!パーティーピーポー
2.喜志駅周辺なんもない
3.NO MONEY DANCE
4.無線LANばり便利
5.ちらばれ!サマーピーポー
6.ウェイウェイ大学生
7.癒着☆NIGHT
8.Blooming the Tank-top
9.メロコアバンドのアルバムの3曲目ぐらいによく収録されている感じの曲
10.ハッピーウェディング前ソング
11.かわE
④羊文学(17:00〜)
本当はGalileo Galileiを見たかったのですが、入場規制ということで断念しここで休憩。腹ごしらえをした上で、ジョインは早くも後半戦へ。
この時期もし晴れていれば、丁度涼しくなって夕焼けが綺麗な時間帯ですが、相変わらず降り続ける雨。
1日中屋外で、雨を凌げる場所も多くはないため、それなりの武装をしていたつもりの私も流石に寒くて震えてきた時間帯でしたが、リハーサルで「パーティはすぐそこ」が演奏されると、とてつもない爆音に身体の芯から暖まるような心地にさせられます。
とうとうライブを見ることが叶った羊文学、ローズステージに立つ。
ということで早々に前方エリアで待機し、眼前に焼き付けようとその時を待ちます。
SEもなくふらっと現れた3人。
手をひらひらとこちらに向けて振り続ける塩塚さん。
ステージ中央で大きく手を広げお辞儀する河西さん。
真っ直ぐドラムセットに向かい、淡々と準備を整えるフクダさん。
日常の延長線上を歩いてきたかのように自然体の空気を纏った3人がステージに揃います。
「雨だね〜笑 元気?笑
元気なやつからやろっか…!」
塩塚さんの挨拶から、3人が中央で向き合って鳴らし始めたのは「あいまいでいいよ」…!
「…歌える?」
塩塚さんの呼びかけで、サビではまさかの大合唱が起き、塩塚さんも楽しそうに笑みを浮かべます。
今この音楽に浸ってる時間だけは、考えすぎずに音楽が好きという感情に浸っていたい…!
そんな想いが身体を満たすような感覚がとにかく心地よく感じられます。
曲終わりにそのままフクダさんの力強いドラムフレーズは続き、「永遠のブルー」→「FOOL」へと繋がります。
特に後者は是非ライブで聞きたかった曲。
原曲ではサビの浮遊感が印象的でしたが、ライブではフクダさんのドラミングに勢いと力強さが増し、塩塚さんの歌にも、とてつもない気迫が込められていて、全く違う印象に…!
怒りややるせなさといったネガティヴな側面を叩きつけるような攻撃的な印象で、ステージ上の真っ赤な照明も相まって、アグレッシブでかっこよすぎます…!
「みんな滝行?笑」
と、雨に濡れる観客を気遣う塩塚さん。
河西さん
「雨大変ですよね。」
塩塚さん
「(私は)結構打たれながら見るの好きだよ。」
河西さん
「じゃあ楽しんでください笑」
塩塚さん
「笑」
とても優しい時間が流れます笑
「ここにいる、みんなの幸せを願って。」の一言から「マヨイガ」。
今、そしてライブが終わった明日以降の幸せを願うような大きなアンサンブルが、会場いっっっぱいにじんわりと広がります。
圧巻だったのは続く「OOPARTS」の間奏部。
「ジョインアラーイブ!!!」
塩塚さんのかけ声とジャンプから、雪崩れのように襲いかかる、地球が割れるんじゃないかと錯覚したレベルの爆音…!
凄すぎる…!!
全く先行きが見えない人生でも、この爆音を浴びた瞬間に何か変わるんじゃないかと本気で思える圧倒的な音の塊でした…!!!
そうして地球が割れた隙間から微かに漏れ出すような灯りが見えた「光るとき」。
君たちは ありあまる奇跡を
駆け抜けて今をゆく
真っ直ぐ前を向いて、真剣な眼差しで歌を届ける塩塚さんの姿は、最高にかっこいいロックバンドのボーカリストそのものでした。
「夜を越えて」のラスト、グッシャグッシャにファズを聞かせたギター、ベース、ドラムを存分に掻き鳴らし、最後は塩塚さんと河西さんがステージ中央に向かって走り、盛大にジャンプしてフィニッシュ…!
去り際には塩塚さんの投げキッスまで…グハッ…。
日々の隙間からこぼれ落ちていた感情をしっかり掬い取って、あくまで本人たちがやりたい轟音を至極楽しそうに演奏する圧巻の40分。
9月のワンマン…本当に楽しみです…!!!
セットリスト
リハーサル
1.パーティーはすぐそこ
本番
1.あいまいでいいよ
2.永遠のブルー
3.FOOL
4.マヨイガ
5.OOPARTS
6.光るとき
7.夜を越えて
⑤女王蜂(19:10〜)
いよいよフェスも終盤戦。
自分は第一希望ですんなり前方エリアを取れていたので知りませんでしたが(そうなる予感はしていましたが)、ベルベットサーカスに集まっていた人の数は、雨で体力を削られ続けていたこの時間でも尋常ではありません。
そりゃあそうです。
あの怪しいサーカス小屋で、女王蜂がトリをつとめるとくれば…見たいに決まってるというか、見ないと一生後悔します。
なんて待機していたら、まさかの最前列の柵前ポジションをしっかりゲットしてしまい、始まる前から地獄行きが確定した私はむしろ、戦々恐々としていたのであります…。
怪しいSEとともに、今日はグレーのセットアップ衣装でお揃いの楽器隊の面々が登場すると、いきなり攻撃的なセッションへ突入…!
ほどなくして、真っ直ぐ凛とした姿勢で、グレーのジャケットとミニスカート姿のアヴちゃんがモデル顔負けのウォーキングで登場すると、割れんばかりの歓声が上がります…!
セッションが止み、一瞬の静寂から「火炎」を歌い出した瞬間、更なる歓声…!
うわあ…かっこいい……
あれ?おかしいな…。
大体いつも、何となく所在が分かってることが多いんですが、この瞬間私の目から溢れてるものが何で溢れてるのか、そしてこの後最後の曲までほぼ止まることはなかったのか、未だによく分かっていません。
でも、本当に美味しいものを食べたとき笑顔しか出ないのと同じようなもので、本当に凄いものを見た時、私にはそれを出すことしかできなかったのかもしれません。
もし仮に初見の人が、全く女王蜂を知らない人があの場にいたとしても、全身全霊で舞い、歌い、届ける姿から、あの人たちは人生賭けて本気でこれをやってるってことが瞬時に伝わって、何かが溢れ出したんじゃないでしょうか?
かれこれ女王蜂のライブは3回目の私ですが、これは初めての感情でした…!
…すみません、肝心の中身にあまり触れてなかったですね。
そんな気持ちに浸食されているうちに気付けば一曲目は終わり、ここで少し冷静さを取り戻します。
「地獄へようこそ!!」
アヴちゃんの力強い宣誓から、「BL」の暗黒アンサンブルへ。
前述しましたがこの曲で改めて、このサーカス小屋が似合いすぎていることを実感します…!
イケない遊びに従事している背徳感がいつもの10億倍増しで、そんな中でもBメロで楽しそうに行進するやしちゃんはとても愛らしく映ります笑
続く選曲は「催眠術」。これは聞きたかった…!
冒頭のサビを歌い終えた瞬間、アヴちゃんがそれまで付けていたサングラスを颯爽を外し、御尊顔を顕にした瞬間、またライブが始まり直したのかというくらいの大歓声…!
間奏部ではアヴちゃんとやしちゃんが背中合わせになり、やしちゃんがファンキーなベースラインを奏でると力強い歓声が上がり、サポートのドラムの方も、間奏部で見事な力強いドラム捌きで沸かせてくれます…!!!
続く「KING BITCH」は、上に羽織っていたグレーのジャケットを半分はだけさせながら色気たっぷりにアヴちゃんが歌い上げます…。
汚い表現で大変恐縮ですが、心の中で鼻血出してました。
曲が終わるたびに歓声が巻き起こる会場の温度をさらに沸騰させたのは「デスコ」…!
「come on!!JOIN ALIVE!!」
アヴちゃんも曲中で煽りたてながら、凶暴なバンドサウンドとともに歌い狂います。
そのまま曲が終わると見せかけて、アヴちゃんのかけ声と共に後奏のロングver.のセッションまでたっぷり聞かせてくれます。
ボーイズ&ガールズ&ベイビーズへの呼びかけに、観客も全力で応えた「PRIDE」。
この曲に限った話ではないですが、この日のひばりくんのギターはいつにも増して攻撃的で鋭い響きを伴っていて、ライブver.で聞くのがすっかり好きなこの曲もまだまだ新しい魅力を放っているかのような印象を受けました。
このまま「バイオレンス」→「油」と続き、アヴちゃんの動きも更に激しさを増す中、ふとこの日初めて足下を見ると、青色の…ハイヒール…!!?👠
…えっ!?これまでの歌と踊り、全部これでやってたの…!?と驚愕…!
驚異の体幹と努力が如実に見え、改めてこのバンドの本気度の違いを思い知らされます。
そんな中でも、後者で、更に力強いステップを楽しそうに踏むやしちゃんとキーボードのながしまさんはとても愛らしく見えました(2回目)。
終盤、「ヴィーナス」→「introduction」と多幸感に満ちた曲が続き、サーカス小屋の興奮指数は天井知らずで上昇を続けます…!
「ありがとうございました。最後の曲です。」
真っ暗なステージの頭上、ミラーボールがゆっくりと回り始める中、ストリングスの音色とともに最後は「メフィスト」。
真剣な眼差しのアヴちゃんは、イントロが盛り上がり照明が明るくなった瞬間、きゃぴきゃぴと観客に満面の笑みを浮かべながら手を振り、踊り狂います。
地獄に帰ったはずのぁゔちさん、帰ってきたのか?、乗り移ったのか?、それとも…??
そんなことを考えるまでもなく、ただただこの曲を届けるために、裏声と地声を、天国と地獄を行き来するように歌い分ける常人には理解不能な歌声と、海の奥深くに沈められそうな感覚を表現するバンドサウンド。
「次は我々の単独公演でお会いしましょう。
女王蜂でした。」
ゴトン、とマイクを床に叩きつけ、颯爽と去っていったアヴちゃん…。
この続きは(真相は?)、11月の単独公演までお預けなのか…。
何とも待ち遠しいとともに、この時間に立ち会えたことを本気で誇りに思える全身全霊のパフォーマンスに、震えるほど力を貰いました。
セットリスト
リハーサル
犬姫
本番
1.火炎
2.BL
3.催眠術
4.KING BITCH
5.デスコ
6.PRIDE
7.バイオレンス
8.油
9.ヴィーナス
10.introduction
11.メフィスト
⑥sumika(20:20〜)
ここで終わると逆に現実に帰れなくなる恐れもありましたが、何とか気を取り直します。
今日はsumikaを見ないと帰れません。
今年早々、本当に色々あったsumikaを、去年の年末札幌で見れなかったことは悔やんでも悔やみきれませんが、それでもバンドを続ける決断をして進み続ける今のsumikaを、後悔なく焼き付けるため再びローズステージへ。
リハから好きすぎる「Porter」の、骨太で愉快なロックサウンドに早くもときめいていた中、
「雨も降ってて寒い中、残ってくれてありがとう!
風邪引かせないようなライブをします。」
という片岡さんの優しくも力強い宣誓に、今日のライブは素敵なものになる予感しかしませんでした。
そんな3人+たくさんのゲストメンバーで届けられたのは一曲目から「「伝言歌」」…!
1番は俺が歌います!と言って丁寧に歌メロを届けてくれた片岡さんに続き、2番はローズステージ中のお客さんからの大合唱が、sumikaに届けられます。
伝えたい 全部貴方に
全部伝えて この言葉よ 迷わないように
いつだって、後悔することもあるけど、できる限り後悔しないように、今届けたい思いは今届けなきゃいけない。
今この瞬間、これ以上なく自分事として思えるこの気持ちを、今のsumikaが全力で伝えてくるのであれば、こっちも全力で伝えるしかありませんでした…!
いきなりクライマックスかと思いきやそのまま「Lovers」でさらにトップギアまで持ってくると、今日1番の多幸感に包まれる会場…!
「最後まで残ってくれてありがとう!
まだまだ元気だね!でも、流石にちょっと疲れてるかな…?
こんな時、あなたを元気にするじゅもんがあったような…!?」
リハの荒井さんのドラムチェックの時点で、この曲がくるんじゃないかとフライングで悲鳴が上がっていましたが予想通り!
「ふっかつのじゅもん」を唱える準備は整いました…!
轟く骨太ロックサウンドに乗っていると、自然とやる気が湧いてくるこの曲。
原曲では黒田さんが見せていた渾身のギターソロを、片岡さんがお立ち台に立ち、その意志と共に完璧に熱く弾き倒してくれます…!
ゲストメンバーを入れつつも、この曲以外にも、小川さんによるキーボードのフレーズなどでアレンジを変えることで、黒田さんのギターフレーズとは違った魅力を模索しながら演奏し続けていたsumika。
決して黒田さんの代わりにはならないけど、あくまでも原曲の持つ大事な要素は活かし続けながら、新たな形でsumikaとしての音楽を模索し続ける、音楽にストイックな姿勢の一旦を垣間見た気がしました。
話を戻して、そんなふっかつのじゅもんを唱え続けていると、あれ?…ふやけた手が乾いてる…雨が上がっている…!!!
「…えっ!雨上がったの!?
今日の出演者の方すいません!
いただきます!笑」
(特に打首を見ている時)祈り続けていた願いはとうとう届き、ここからは爽やかな風とともに、バラエティが豊かすぎるゾーンへ。
片岡さんと小川さんが前面に出てタオルを振り回した(タオルを持ってない私は言われたとおり拳を振り回した)「マイリッチサマーブルース」。
お客さんはもちろんのこと、童心を剥き出しにするように楽しそうなメンバーの姿が印象的で、たくさん瞼のシャッターを切って保存したい瞬間ばかり…!
(この後、「振り回してたタオルは1日中雨を吸ってたはずだから重すぎて、隣の人に当たって首がもげていないか!?」と、唐突にグロテスクな心配をする片岡さんの優しさには笑ってしまいました笑笑)
個人的に印象深かったのは、ステージに片岡さんとゲストメンバー1人を残し、真っ暗な状態から演奏された「Babel」。
とてもブラックな曲ですが、打ち込み主体のトラックがとてもかっこいいこの曲。
それまでのハッピーが先行していた雰囲気から、ダークで憂いや怒りを静かに込めるような片岡さんの歌声に、思わず火傷してしまいそうなほど聞き惚れてしまいます…!
「リラックスして聞いて。」
こちらも歌詞は明るくないものの、少し諦めを帯びた落ち着いたサウンドで魅せる「Traveling」、スケールの大きなバラード「春夏秋冬」と、この3曲だけ切り取ると本当に同じバンドの曲とは思えない振り幅で、持ち時間をフルに活かして多方面からsumikaの魅力を放ち続けてくれます…!嬉しい…!
「今年は悲しいことがありました。
でも夢中になれる、熱中して、熱狂して、そういうことがある間は生きていけるって分かりました。
(今のsumikaには、)こんなに大好きなメンバーと、ゲストメンバーと、音楽と、ジョインアライブがある!
今日の記憶でまた生きていけそうです。
また会いにきてください。
sumikaでした!」
「音楽に夢中になれる今があるうちは生きていける。」と、今のsumikaが言って、真っ直ぐに音を鳴らしているんだから、そうとしか思えません。
この曲だけでも聞きたかった「Starting Over」。
今年の悲しかったことも、今日の記憶も、そうじゃないことも、全部持ってまたここから始まっていく決意を込めた大きなアンサンブルと真っ直ぐな歌声、ステージいっぱいに広がる眩しい景色は、フェスの最後に相応しすぎる景色でした…が!まだ時間が余っている!!
これはアンコールあるかと期待して拍手し続けていると…ありました!!
早々に登場して最後に演奏されたのは…大好きすぎる「フィクション」…うわあ!
再出発の決意のその先に、またページを巡り続ける日々をコミカルに、何だか愛おしくて寂しくて綴り続けるこの曲に終わりはありません。
さあ、「明日も」始めましょうか
そんな替え歌で締めくくった片岡さん。
生き続ける限り、また人生は続いていきます。
フェス終わりも続く人生へ、これからも続いていくsumikaへ、紡ぐ音楽の余韻はいつまでも残り続けています。
セットリスト
リハーサル
1.カルチャーショッカー
2.Porter
本番
1.「伝言歌」
2.Lovers
3.ふっかつのじゅもん
4.1.2.3.4.5.6
5.マイリッチサマーブルース
6.イコール
7.Babel
8.Traveling
9.春夏秋冬
10.Shake & Shake
11.Starting Over
アンコール
1.フィクション
今回は以上です。
最後まで読んでいただいたそこのあなた、一部分だけでも読んでくださったそこのあなたへ。
本当にありがとうございました!