see you writer.

あの頃より書けなくなった
浮かばなくなった
見えるものは全て目を開いた時だけ
瞼を閉じれば眠りがあるだけで
ビジョンが映写されることはない

住む街が変わったこと
それは体を巡る空気が変わること
頭を満たす海の成分が変わること

家族が増えたこと
それは心が満たされること
意識の薪を愛情に焚べること

不安の一酸化炭素は
空気清浄機で未来の水素へ置換され
渇望の滝は
ダムで無期限の凪を命ぜられたよう

追っていた幸せが
勢いで洗い流してしまったの？
必要な油分
簡単には保てない

それでも大丈夫と言い聞かせる
魂が抜けたようでも
指先は動いているから
イップスでも劣化でもない
これは過程なのさ

あの頃ペンが走っていた僕は
一足お先に旅に出ただけ
帰ってくるのか
旅先で待っているのかは知らない
手紙を出したって
届きやしないけど
唇を噛んだって
よっこらしょっと筆を取る

Ya-Ya-yah
僕の世界
Ya-Ya-yah
パラレルで膨らめ