「武器としての資本論」 白井聡 を読んで

「資本論」を読んでもらいたい

現在の様々な矛盾は資本制が要因であるのは間違いない

このままでは将来の人類の存続までも危惧される。そこで生き延びるための知恵を資本論から得る

この「商品による商品の生産」が登場して初めて、物質代謝の「大半」が商品によって担われるようになったと言える。そしてこの「大半」の度合が際限なく高まり続けるのが、資本主義社会特有の傾向であり、宿命なのです
白井 聡. 武器としての「資本論」 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.543-545). Kindle 版.

キャッシュレス化は「商品の世界に入れば自由になれる」という資本主義の大前提がくずれるというとんでもない出来事

 人間の感性までもが資本に包摂されてしまう事態をもたらしたのは、とりあえずは「新自由主義」(ネオリベラリズムもしくはネオリベ)である、と言えるでしょう。
白井 聡. 武器としての「資本論」 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.804-805). Kindle 版.

家族的で半共同体的企業体質だった日本の形は、経済のパフォーマンスが悪くなるに連れ、元凶化し、新自由主義化し、非正規労働者を生み出した。その事により再び階級が生まれ、格差が生まれた。さらに新自由主義は小さな政府を目指し、民営化することによる競争原理を利用し、コストを下げさせてきた。その原理は働く人間の間にも作用し、人間間の競争が起こり、スキルのせめぎあいとなり、人間の根源的な生存価値が否定され、資本に奉仕する道具と化した。

 それはすなわち資本による労働者の魂の「包摂」が広がっているということです。
白井 聡. 武器としての「資本論」 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.863-864). Kindle 版.

大事なところを繰り返し述べているので分かりやすいのか

断面的に見聞きしていた社会問題が、資本論で一本化される感覚

剰余価値をさらに作るためには、労働者を搾取するだけではだめで、労働者を消費者に変え、富裕化して自動車を買えるようにする、フォード考案の「フォーディズム」が生まれた。資本が労働者を取り組んだ体制を作った。しかしオイルショック以降は資本家の満足する剰余価値が生まれなくなり、フォーディズムは終焉し、

 そこで新自由主義が目指したのが、過去に与えた労働者の既得権益の剝奪です。さまざまな規制緩和などを通じて労働者の権益を取り上げ、労働分配率を下げることで、新たな剰余価値を生み出そうとしたのです。
白井 聡. 武器としての「資本論」 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1848-1850). Kindle 版.
ですから「独立するまで一五年」と固定していたのは、寿司職人が増えすぎないようにするための工夫であったと考えられます。要するに生産の統制です。寿司の生産力が野放図に向上してしまうことに対して、寿司業界全体として統制をかけていたということです。
白井 聡. 武器としての「資本論」 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1938-1941). Kindle 版.

資本制(本源的蓄積)に関する文学の紹介

 資本主義の発展の肝は結局、安い労働力にしかないのです。
白井 聡. 武器としての「資本論」 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.2521). Kindle 版.
格差の拡大、中間層の没落から来る需要不足を、資本はどう解決するのか。おそらく一つの答えは戦争でしょう。
白井 聡. 武器としての「資本論」 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.2578-2580). Kindle 版.

戦争によって恐慌を脱し、世界経済の支配者になるという成功体験

米中の角逐が高まっていると言われますが、最悪のシナリオは、覇権国の地位をめぐる闘争と資本の要求が合わさって大戦争に発展することです。
白井 聡. 武器としての「資本論」 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.2598-2599). Kindle 版.

 資本制のシステムからの脱却、資本制の包摂から自分自身を剥がすのは、自分自身が主体となるように、感性に素直になり、基本的な尊厳を獲得すること。

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