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トイレの紙さま【エッセイ】一〇〇〇字

 山梨上野原にあるゴルフコースの売店のトイレに、このような貼り紙がある。「下着を用意しております。お声掛けください」と。
 まさかの際には、とても助かる。その売店のなじみの女性に、(救いを求めるような表情で)「下着・・・、いいですかぁ」と、冗談で言ってみた。少しびっくりしていたが、マジな顔して、出してきた。私のより良いのではというぐらいの品。まだ、今のところ利用したひとはいないみたいだが、気の利いた貼り紙、と感心した。
 その「下着の貼り紙」がきっかけで、トイレの貼り紙で面白いものがないだろうかと、利用するたびにチェックしていた。が、「きれいに使ってください」とのお願いや、昔から見かけるものばかり。
 1年半ほど前、鷲田清一さんの「折々のことば」(朝日新聞)に、こうあった(今年の2月2日付け掲載をもって、鷲田さんの休養を理由に休載中)。
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Where all the year one constant sunshine, we should have no flowers.

 宮城県のコンビニエンスストアでトイレに入ると、壁に、100円ショップで売っている英文ステッカーが貼ってあった。「年中、快晴の日ばかりだと花は咲かない」。調べると17世紀英国の詩人、ヘンリー・ヴォーンの詩「Affliction(苦悩)」の一説だった。湿りや陰りは、多すぎても少なすぎても人生をだめにする。用足しついでにしばしこうしたふり返りへと誘う個室、なかなか素敵だ。(朝日新聞朝刊2019年10月7日)
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 確かにお洒落な貼り紙だ。ただ、トイレの中で思索し、つい長くなるかも、とも思ったが。

 そこで、ネットで「トイレの貼り紙」のキーワードで画像を検索してみる。鷲田さんが紹介したような詩的な「作品」はなかったが、こんなものを見かけた。

 「トイレのかぎはしめないでください。こわれています。トイレからでられなくなります」
《なぜか、ひらがなとカタカナ・・・。ほんと? こんなことあるのだろうか???》

 「もし、成功することが100%約束されていたら・・・自分の人生の中で何をしたいですか?」
《しばらく考えてしまい、なかなかトイレから出られなくなるよー》

 「紙が無くなってもあわてないで!最終手段として、この貼紙があります!」
《おいおい、予備をしっかり置いてよー》

 「トイレには、トイレットペーパー(と涙)以外の物は流さないで下さい」
《カッコの部分はマジックで、誰かが挿入したようだ。これはなかなか》

 最後に、

 「よく来たな。まあ座れ」
《思わず笑ってしまい、漏れてしまう》

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