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ロードバイク小景(前夜?)【エッセイ】二〇〇〇字

 脊柱管狭窄症を患い、左下肢に強い痛みが発生。15年以上続けていた8000歩ウォーキングができなくなった。その道すがらの光景を『ウォーキング小景』として、シリーズで書いて来たのだが、それもできなくなった。これまで、自宅から3000歩の辺りにある神宮外苑を周回し戻ると8000歩のルートだったのだが・・・。近所のスーパーまでの700歩さえも、びっこ(あ、放送禁止用語 💦)、もとい、左下肢を引きずって、やっとの状態なのだ。
 かかりつけ医によれば、太腿、背中、腹の筋肉をつけることが、痛みの緩和に効果がある(かも)、という話。さっそく、ジムに通い始める(4週間通ったが、ご利益がありそうなので、その内容については、いずれ書きます)。さらに、遠出用にと、自転車を購入することにした。大腿筋や腹筋を強化するにもいい。いわゆるチャリンコでは、往年のスポーツマンにふさわしくなかろうと、ロードバイクを選ぶ。コロナ騒ぎが、(いちおう)落ち着いたので、車に積んで旅先で乗ることを企み、折り畳み式を。そんなときに、ワタクシの悪い癖は、形にこだわること。ロードバイク専門店で、店員さんのアドバイス通りに従順に、ブロンプトン社製を選ぶ。折り畳み易さでも、車体の軽さでも、有名らしい。そしてもちろん、ヘルメットと膝パッド。頑丈なチェーンロック、空気入れ、クリーニング用具、ハンドルに固定できる専用バッグ、肩にかけて運べるストラップなるものまで合わせて、購入。しかし、そのまま慣れないバイクを乗って帰るのは、あまりにも危険。自宅までタクシーを利用したのだが、後部座席にも簡単に収まった(店員さんの介助はあったけど・・・)。
 今年は梅雨らしい梅雨で、長雨。室内に置き、眺めている日が続く。その間、ユーチューブを観ながら、折り畳みと展開作業を室内で繰り返し、他人様の前ではトロつかない(もたつかない)ようにと、準備だけは万端。
 ところが事件が、勃発。重さは10kgと軽く、購入の日は、手で持って、よろけながらも集合住宅のわが部屋まで運び入れることができた。だが、運び出す際にてこずってはスマートじゃない。しかも、脚が不自由な状態で、はたして外まで運べるのか。ストラップを装着し肩にかけて外までの距離を室内で歩いてみることにした。なんとかできそうと思ったのだが、その後がいけない。左下肢が急に痛み始めたのだ。夜になるとさらに悪化。しまいには、(一時的だったが)クイックルワイパーを杖代わりにしないと歩けない。こりゃあ、外に出すことも容易じゃない。ハタと考えた。そこで、折り畳み式のキャリーカートで運ぶことを思いつく。カートに載せると軽く動く。スムーズに外まで出すことができる。梅雨の晴れ間に、いよいよデビューの日を迎えた、と思ったのだが・・・。
 搬出は軽やかにできた。が、予行訓練をやっていたはずなのに、展開がスムーズにできない。スマホのユーチューブを観ながら、汗を流し取っ組み合いし、子どもたちの奇異なものを見るような視線を浴びながらも、ようやくセットできた。が、20分はかかっただろうか。こんなんでは、他人様の目が気になってカッコつけるどころじゃない。それと、問題がもうひとつ。運んできたカートをどこに置くかである。外に置きっぱなしにできない。なので、ハンドルの前の専用バックに無理やり縛り付けることに。が、運転すると、ハンドルの前が重く、制御できない。結局その日は、わずか100m走らせて、終了となった。
 このままでは、部屋の装飾品になりかねない。なんとしたものかと困っていたのだが、カートほどスムーズには動かないが、本体についている小さい車2個(折り畳んだあとに下になるように設計されている)を転がして運ぶしかなさそう、と意を決する。手で持って、またクイックルワイパーのお世話になるのも避けたい。しかし、小さい車でもなんとか転がすことができ、難儀であったが、ようやく外まで搬出できた。
 この間、開閉作業のコツもようやくわかってきた。サドルのパイプが、折り畳む際のロックになっているのだ。閉じるときはシャドルを最下部近くまで下げるとロックされ、展開のときは長くすることで解除されるようだ(この点だけをユーチューブで強調してくれれば、こんなに七転八倒しなくても済んだのに・・・)。

大日本印刷本社周辺のトレーニングコース

 しかし、交通量の多い道路を走るには、まだ危険を感じる。そこで、近くに大日本印刷本社があり、その敷地を囲む(けっこう幅広の)歩道をトレーニングコースにする。一辺150m。一周すると600m。南北の歩道が坂道でアップダウン走行の訓練にもなる。10周すると、6km。トレーニングとして、格好。ギアチェンジの要領もわかってきた(この車種は、右に「1・2・3の3段」、左に「+・-の2段」のギアを組み合わせて6段切り替え)。さらに、ほどほどのスピードを出せれば、ハンドルも安定してくる。なんとか安全に乗れそうな感触だけはつかみつつある。ではあるが、エッセイ『ロードバイク小景』をシリーズ化するのは、もうしばし時間が必要のようだ。
 この長雨が過ぎて、神宮外苑を周回するコースをさっそうと何周も走る姿を思い描いて、部屋にたたずむ小柄な愛車くんを眺めている。

デビューを待つ、小柄な愛車くん(後輪を畳むとスタンドになる)

(おまけ)

定番、新聞コラムの比較です。昨日は、「沖縄慰霊の日」。東京新聞と朝日新聞の二紙の紹介です。

東京新聞朝刊(6月23日)
朝日新聞朝刊(6月23日)

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