NO&TからMNTSQのCSに ~キャリアの転換点にMNTSQを選んだ理由
こんばんは。2022年2月に、長島大野常松法律事務所(以下「NO&T」といいます)からMNTSQ(モンテスキュー)にjoinした河瀬です。
2018年12月にNO&Tに入所してからは、幅広い案件を担当させていただきました。NO&Tは最高のリーガルサービスを提供することをモットーとしており、所属弁護士は忙しい日々の中、一ミリもqualityに妥協することなく、まさに最高のリーガルサービスを提供しています。その知性、研ぎ澄まされたプロフェッショナル意識には驚かされ、日々学びが多く、仕事のやりがいもある職場でした。
では、なぜいまリーガルテックの会社であるMNTSQにjoinしたのかの話の前に、私の経歴を、以下ざっくりと説明します。
Background
福岡県北九州市で生まれ、その後、数度に渡る親の転勤によって日本全国を引っ越し続けるという幼少期を経ました(どこどこ出身という概念があまりないです(笑))。小学校4年生の時、いわゆる原体験とも呼べるべき経験を経て、(暴力ではなく)知性によって正義を実現する弁護士という職業は面白そうだなと思って、それ以来、弁護士を志すようになりました。
東京大学に入学後、同級生・社会人と議論し、本を読みながら、様々なことを検討し、本当に自分がやりたいこと(社会正義を実現すること、言い換えると、世の中を良くすること)を実現するために、弁護士になる手段が適切かどうか悩むことになりました。例えば、以下のような点を検討しました。
①正義の実現方法は幾通りもあること
②正義は一義に決まるものではなく、多角的に検討する必要があること
③個別最適(正義)を実現しようとすると全体最適(正義)を損なうことがあること
④弁護士はクライアントの利益を最大化することを職責としており、必ずしも全体正義を実現する仕事とはいえない側面があること
そのような中、とりあえず予備試験という試験を突破して大学在学中に司法試験に受かって早く弁護士になることができれば、”post 弁護士”又は”with 弁護士”というキャリアも開かれるのではないかと考えて、大学2年時から真剣に勉強を開始し、大学在学中に司法試験に合格することができました。司法試験合格後も、自分のなかのキャリアに対する靄みたいなものは晴れず、もっと世の中のことを知りたいと考えて、政治、経済、哲学など幅広く学問を勉強するようになりました。
NO&T時代
とはいいつつ、なんやかんやでいったん弁護士になることを決定し、1年間の司法修習を経て2018年12月にNO&Tに入所後は、事業再生、買収ファイナンス、プロジェクトファイナンス、訴訟、国際紛争・国際訴訟、競争法ファイリング…等様々な案件を担当しました。本来クオリティ担保の観点からは、特定の案件にアソシエイトをアサインして育てた方が、事務所経営ないしアソシエイトのマネジメントとしては簡単であるにもかかわらず、私のわがままをたくさん聞き入れてくださり、やりたい案件にアサインしてくださったパートナーの方々には本当に感謝しております。様々な業務分野を担当する中で、法務業務一般に関する様々な気づき・疑問がありました。その中でも、3つの気づきを以下に記載します。
気づき①:ベストプラクティスがclosedであること
私のように様々な業務分野を担当していると、毎回案件開始時にcatch-upしなければならないことが多く、先輩アソシエイト、パートナーに多くの質問をしましたが、彼らは長年の知恵の蓄積のようなもの(我々はこれを「ベストプラクティス」といいます)を経験から習得しており、彼らからそのベストプラクティスを学びました。毎回新たな学びを得る度に、「すごいなぁ、かなわない。」と思う一方で、ベストプラクティスは暗黙知であるべきではなく、openで学びやすくあるべきではないか、と思うようにもなりました。
気づき②:契約交渉にかかる時間的コスト、リーガルコストが高すぎること
ある案件では、取引相手方の代理人弁護士が、(我々からすると)理不尽な条件を契約書に盛り込むということが頻発しており、それに対して我々が喧々諤々交渉して、fairな状態(すわりのよい状態)に契約書をもっていくという経験もしましたが、私からすれば、「相手方代理人は、到底我々が飲むことができないことを理解しながら、ハイボール(※お酒ではありません)を投げている」と思わせるようなもので、無用な取引交渉によって交渉が長引き、時間的コスト、リーガルコストを高める結果になっているのではないか、と考えさせされました。
気づき③:契約書のスタンダードが定量化されていないこと
私がある依頼者(以下「A」といいます)の案件を個人受任していた際には、相手方代理人は、相手方(以下「B」といいます)が取引上Aに対して優位の立場にあることから、Aに著しく不利益で、しかも類似案件では到底見たことのない条項を契約書に入れてきたことがあります。その条項を文献及びインターネットで探したりしましたが、やはり存在せず、私からは「このような条項はこの種の取引では見たことがなく、著しくAに不利益な条件であることから受け入れることはできません。」とコメントしたところ、「Bが一般的に使用している契約書ひな形にはすべてこの条項が入っているため、譲歩できません。」というコメントが返ってきました。定量的なデータがなかったので、水掛け論にならざるを得ず、この条項をめぐる交渉はヒートアップし長期化しました。
一弁護士としてクライアントの利益を最大化しているという実感は持ちつつも、上記のような気づき・疑問を持ちつつ、私が行っている仕事で世の中は果たしてよくなっているのだろうか?と疑問を持つようになりました(もともと個別最適より全体最適が気になる性格だったのもあります)。20代もあと3年くらいだしどうすべきかという気持ちもあり、様々な業界で働いている友人・先輩等にたくさん話を聞いていましたが、その内の一人がMNTSQ代表でありNO&Tの先輩でもある板谷弁護士です。板谷弁護士は、私が大学3年生で予備試験に受かった際にたまたまお話させていただき、それ以後ご縁があります。私がNO&Tに入所した頃には、MNTSQを創業しており、面白そうなことをやっているなと思って注目していた先輩でもあります。
私から板谷弁護士にコンタクトして、「法務には●●の問題点があるように感じていて法務の限界を感じるところもある。20代もあとわずかだし、キャリアについて悩んでいる。ビジネスサイドを知ることは、弁護士として真に効果的なアドバイスを提供する上で極めて重要だと思うし、ベンチャーで働くことにも興味がある。」と伝えたところ、「それだったら、MNTSQしかない!!!」と言われました。最初はポジショントークがかなり入ってるのかなぁ、と思って話半分に聞いてましたが、板谷弁護士は私よりもはるかに解像度高く現在の法務実務の問題点を理解しており、それを解決する施策としてどのようなプロジェクトが現在走っているか/将来行う予定なのか、を熱量たっぷりで話したうえで、私のキャリアにとってMNTSQで働くことが如何に意味があるかを話してくださいました。その結果、コンサルタントとして、弁護士時代に感じていたpainを顧客と共に解決しながら、他方で将来あるべきリーガル業務の姿を想像・創造するというBizdevの役割を果たしつつ、個人のスキルセットとして、ビジネススキル、ITスキルを伸ばしていくのは面白そうだと思って、MNTSQにjoinすることを決定しました。
現在
現在、私はMNTSQでコンサルタントとして導入企業の支援(いわゆるカスタマーサクセス=CS)を担当しています。
①「CSって何?美味しいの?」という状態から始まったため、CSについてたくさん学ぶべきことがある上に、
②MNTSQ社員はエンジニアに限らず社員全員がGitHubを日常的に利用しておりGitHubの使い方をcatch-upする等、IT文化になじむ必要がある上、
③CSとして顧客のpainを正確に理解し解決するために幅広くIT知識のcatch-upをしていかなければならない、
という三重苦の状況で日々もがきながらも楽しんでいます
※ とある契約書の自動ドラフティングシステムのプロトタイプを1か月弱の期間でコーディングするmissionも授かっているので4重苦でしょうか(コーディングスキルのみならず、条件分岐がどの点で起きるか、どのような質問を投げかけることが効果的か等を検討するため、法的思考も要求されます)。
求められるスキルセットの変化のみならず、大きなマインドセットの変化も求められます。NO&T時代は、パートナー弁護士から仕事がアサインされて、その仕事を高いクオリティで期限内に終わらせることが業務の大半でしたが、MNTSQでは、自分で何がイシューかに気づいてそれを適切な人的リソースを割り振りながら解決していく自律駆動が求められます。人一倍忘れることが得意な私でも、アンラーニングはなかなか大変です。
MNTSQでは、capabilityとwillに応じて仕事を取っていくことができるので、できることを増やしながら、クライアントの課題解決(個別最適)と法務にとってのあるべき姿(全体最適)を実現することができるようになりたいと思います。MNTSQの職場のメンバーは、それぞれの分野で圧倒的なspecialityを誇っており、にもかかわらず自らの専門外の分野を理解するために、日々、分野横断的に議論・雑談が活発になされています(雑談かと思ったら急にセレンディピティ的にideaが生まれる様子も何度もみました)。世間ではリモートワークが広まっていますが、職場に行って彼らの話に耳を傾けることがとても楽しいです。
将来
私は世の中の仕組みに興味があり、とりわけ、世の中の余剰資源を最適に活用することや無駄を減らすこと、全体最適を実現することに興味があります。
①MNTSQで抽象を具体に落とし込む、具体から抽象に思考をめぐらす(この抽象、具体の往復は法律に通ずるところがあるなぁと思います)
②ITに対する解像度を上げる
③システム導入時にいかなる問題が発生するかを理解し解決する
④新プロジェクト導入時における企業内部の力学を学ぶ
等の経験を積んで、将来的には、(1)ビジネスに片足を突っ込んで世の中の課題解決を実現しながら、(2)もう片足で、社会を良くするビジネスアイディアをもった起業家、経営者に寄り添った効果的な法的アドバイスができる人材になれればなと思っています。
MNTSQに少しでも興味を持ってくださった方々へ
ここまで長文をお読みいただきありがとうございます。
MNTSQでは上記のようなエキサイティングな環境があり、チャレンジを一緒にしていくメンバーを募集しています。
少しでもご興味がある方は、DM・カジュアル面談等でご一報ください!