聞く技術 聞いてもらう技術 東畑開人
なんだろう。不思議な読後感。ちょっとずれるかもだが、古代仏典で、ブッタが語っている、正しい生き方じついての問答を読んでいる感じ。
一言でいえば聞くこと、聞いてもらうこと、人には安心が必要なこと、安心する人のつながりが必要なことなど「ふつう」なことが書かれた本。
この「ふつう」を、手に取りやすい(?)HOWTO本の体を入り口にして、丁寧に振り返ることで、日常で忘れられている、この「ふつう(=息をするのと同じように生きるのに必要だが気づきにくい)」の大事さを読み手に気づかせる本。
人間(=人という動物)が健康(心の健康、幸せ)に生きるにはつながりが大事という極意がメッセージ。そこに至るための方法が聞く技術、聞いてもらう技術。仏教でいえば座禅か八正道かな。
内容は平易な語り口で、メッセージもシンプルだが、著者もいうように、深い知識と経験の末にいたった「シンプルさ」であり理解をしっかり自分の物にすることは遠く感じた。たとえば、諸行無常を知ることと理解することの遠さに似ているかもしれない。