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【アメリカ旅行記🇺🇸】フィラデルフィア編 かつての首都にそびえる館

Hello World! 世界遺産マイスターのマサムネです!

今回は2024/3/28〜3/30に行ったワシントン&フィラデルフィアの、フィラデルフィア編です!世界遺産の『独立記念館』、アメリカ屈指の美術館『フィラデルフィア美術館』に向かいます。

↓ワシントン編はこちら↓

【世界遺産】独立記念館について

独立記念館(Independence Hall, インディペンデンス・ホール)は、1979年に世界文化遺産として登録されている。アメリカは国立公園などの自然遺産が多く、独立記念館は数少ない文化遺産(=建物など)として登録されている。

独立記念館、初代大統領ジョージ・ワシントンの銅像が建っている

独立記念館はジョージ・ワシントンやトマス・ジェファーソンなどのアメリカのリーダー達によって1776年7月4日にアメリカ独立宣言が採択された場所。その後、1787年に合衆国憲法(文章化されている世界最古の成文憲法)もここで採択される。

このようにアメリカの自由と独立の象徴となっている。アメリカでは7月4日は祝日となっている。

建物自体の保存価値だけでなく、これらの歴史的出来事が世界中の民主主義や人権の発展に対して与えた大きな影響が評価され登録に至った。

フィラデルフィアはワシントンとニューヨークの間に位置する

またらフィラデルフィアは、現在の首都がワシントンD.Cに決定される以前1790年から1800年までの10年間首都として機能していた場所。

独立戦争後は東海岸沿いの13州(下記の赤色エリア)が独立。一時的にニューヨークが首都として採択されたが、その後の議論で「首都は南北の中心部に置くのがよいだろう」との元、現在のワシントンに首都を建設することとなった。

その建設が終わるまでの間、暫定的に首都として置かれたのがフィラデルフィアである。

画像引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/13%E6%A4%8D%E6%B0%91%E5%9C%B0
独立記念館の頭には立派な時計台が設置されている

1. ワシントンからフィラデルフィアへ

8:00、起床。ホテル前にあったカフェでコーヒーを購入。フィラデルフィアに向かうため、ワシントンのユニオンステーションへ歩いて向かう。

ポップなワシントンD.C.のユニオンステーション看板
画像にもあるようにワシントンでは意外と桜が咲く。

8:30、ユニオンステーションへ到着。フィラデルフィアまでは鉄道で2時間ほどかかるためDUNKINでドーナツを購入し、鉄道(Amtrak)へ乗り込む。

DUNKINは日本でいうミスタードーナツ。
販売されているドーナツはほぼミスドと同じで見分けがつかない

8:50、ワシントンを出発。運賃は1人80ドル。Amtrackでは”ダイナミックプライシング”という制度を導入しているため運賃が時間単位で変動する。

乗客の需要や予約状況に応じて運賃を調整しているらしく、ピークや需要に合わせて運賃が上下するため、買った数時間後に安く販売されるということも起きる。株と似たようなシステムでドキドキである。

この日の席は比較的空いており、シートは革製でシートピッチは広め。

10:30、フィラデルフィア駅に到着。ニューヨークの駅やワシントンのユニオンステーションよりも広く感じた。天井が高いからだろうか。

窓が大きく配置されているため、かなりの量の光が入り込んでくる
フィラデルフィア駅の外観、曲がってしまった信号機もむしろ雰囲気があっていい感じ

ここから地下鉄に乗り換え「独立記念館」へ向かう。この大きなフィラデルフィア駅はAmtrackなどの高速鉄道専用のようで、地下鉄に乗るには別の駅を利用する必要がある。

フィラデルフィアの地下鉄はニューヨークよりもやや荒れており治安悪い感じがした…。

電車で20分ほどの距離、京都の様に街の区画がキレイに分けられている

2. 独立を宣言せよ!世界遺産『独立記念館』

11:00、独立記念館に到着。すでに予約者で行列ができており、30分ほど並ぶ。

入場は無料だが、独立記念館はツアーでしか入ることができず、ツアーは完全予約制で先着順。前日には売り切れている。ツアー時間は20分ほど。

遠くから独立記念館がこちらを覗いている

手荷物検査でカバンに入っていたハンコが引っかかってしまう。「What's this?」と怒ったような口調で言われ「use for signing」と言うも首を傾げられる。アメリカはハンコ文化がないので説明にかなり手間取った。

世界遺産とのこともありパンフレットも気合いが入っている

11:30、なんとか独立記念館の中庭のようなところに通してもらった。ここでツアー参加者が集まるまで数分待つ。

1グループ30人程度で英語で館内のルール説明を受ける。参加している年齢層は幅広く、高齢の方から小学生くらいの子どもも参加していた。

正面入り口側、初代大統領ワシントンの銅像

「中での飲食は厳禁で、もし今ガムを食べている人がいたら、このゴミ箱に貼り付けツアー終了後にもう一度食べてね」、とのアナウンス。

もちろんジョークであるが、アメリカのツアー開始時のアナウンスは大体ジョークを挟んでくる。

エントランス部分、階段を上がることはできない。

11:45、独立記念館に入館。入ることのできる部屋は、西と東にひとつずつで合計二つ。

入ることの出来るエリアが限られているからか館内は広いと言う感じではない。それぞれの部屋でガイドによる解説を聞く。まずは西側から。

当時は法廷として使用されていた部屋らしい

次は東側の「独立の間(Assembly Room)」に入る。ここは、独立宣言と合衆国憲法が議論され採択された場所らしい。

1776年7月4日に独立宣言が実際にここで採択。
当時の13州の代表が集まる場所で奥は初代大統領ワシントンの席
部屋の中に柵が置いてあり解説員の人が柵の中に入り解説をしてくれるスタイル

ツアーが終わると独立記念館のそぐそばにあるコングレス・ホール(Congress Hall)へと多くの人が並んでいた。

かなりの行列ができており、一応並んでみたものの、途中でトイレに行きたくなったため撤退。独立記念館内にはトイレはなく、一度出ると基本的には中に入ることができない。

前庭側にはジョン・バリーという独立戦争時の「アメリカ海軍の父」の銅像がある

3. あの鐘を鳴らすのは誰だ!『自由の鐘』

12:30、一旦外に出てしまっため向かいの建物Liberty Bell Centerにある『自由の鐘(Liberty Bell)を観に行ってみる。

この日は天気が良く、外まで行列ができていた。

『自由の鐘』はアメリカ独立宣言を知らせる際に鳴らされたもの。元々は、独立記念館の時計台に取り付けられていたが、ヒビ割れによる損傷や保存のため外されたらしい。

独立記念館を背景に自由の鐘が見られる。
独立記念館に帰りたいような表情ともとれる画角の鐘である。

鐘が大きくひび割れたのは1840年代で、奴隷制度廃止運動の記念行事で鳴らされたことがひび割れを悪化させたとされている。

「Proclaim LIBERTY Throughout all the Land unto all the Inhabitants Thereof」
「この地の全住民に自由を宣言せよ」

4. フィラデルフィア名物「チーズステーキ」

13:10、フィラデルフィアではチーズステーキが名物とのことで、食べられるお店を探す。

景観を乱さないためかレンガ調の建物が多い

昼時ということもあり、チーズステーキの店はどこも混んでいた。当初に行こうとしていたOh Brother Phillyはフィラデルフィア内でも有名なチーズステーキのお店で行ってみたが数時間待ちとのことで断念。

Oh Brother Philly前のストリート。
 この辺りのどこでもチーズステーキを食べられるような様子であった

13:30、近くにあったNational Mechanics Barが店内も広く少し空いていたため、ここでチーズステーキを食べてみることに。

飲食店とは思えない神殿のようなおしゃれな外観
RIBEYE CHEESESTEAK (17ドル)
チーズステーキは薄切りのビーフステーキと溶けたチーズをロールパンに挟んだサンドイッチでハイカロリーながらとても美味。

14:30、フィラデルフィア美術館へ向かうためバス停を目指す。

バス停で待っていると、近くで何やら人だかりができていた。覗いてみるとベッツィー・ロスの家という人の家らしく、どうやらアメリカ合衆国の最初の星条旗を縫った人物の家らしい。

個人の家が観光名所となることは日本ではあまり見かけないが、独立の象徴というビッグな出来事と密接に関わっているためこのように個人の家が歴史的建造物として残っているそう。このあたりは日本とアメリカの文化の違いである。

時間の関係で入れなかったが、中に入って当時の様子を見ることができるらしい

5. 現代アートの宝庫『フィラデルフィア美術館』

15:00、フィラデルフィア美術館付近のバス停に到着。バス停から車通りが少し多い大きな通りを歩くと、フィラデルフィア美術館が姿を現し始めた。

巨大な鉄のビームを組み合わせて作られたIroquois(イロコイ族)という作品。
街全体に銅像やアートが複数展示されており、活気もありながらも品のある街並み。

15:20、フィラデルフィア美術館前のロッキー関連オブジェ前に到着。

ロッキーについてはストーリーは知っているものの観たことはない。毎度このような有名映画のロケ地に行ては、帰ってから映画を観てみようと思うが見た試しは一度もない…。

映画の舞台のためロッキーの銅像が立っている。
写真を撮るために観光客が長い列をなしていた。
美術館に入る前までは美術館よりもロッキーの方が目立っている。
ロッキーが駆け上がることで有名な階段。
生卵を食べている人はいなかったが階段をダッシュで駆け上がっている人はちらほら

そこから道沿いに少し歩くと美術館がハッキリと見えてくる。建物の外観はギリシャ風神殿のデザインで歴史的な重厚感が感じられる。

階段を上がった先、反対側にはフィラデルフィアの街が広がっている
黄色味がかかった建物、塗っているわけではなく建材の石が黄色のためらしい

料金は大人(18歳以上)1人30ドル。18歳以下は無料である。荷物はクロークに預けることができる。時間帯も遅かったためあまり混んではいなかった。

エントランス部分には弓を引いている大きな黄金像がお出迎え
館内は3階建てとかなり広いがMAPには必見作品と場所が書いてある親切設計。
スタンプラリーでも困らない。

ヨーロッパ絵画、アメリカ美術、アジア美術、彫刻などがメインで、24万点以上美術品が展示されている。1日ですべてきちんと見て回ることはかなり難しい。

日本人が大好き、ゴッホの「ひまわり」。
世界に7枚ある「ひまわり」うちのひとつ。ロンドンでも見たのでこれで2枚目である。
クロード・モネの「睡蓮、日本の橋」、日本がテーマの作品である。
東海道五十三次などと比較すると日本の絵の余白(ディテールを描かないベタな感じ)がなく印象派らしい表現
エドガー・ドガの彫刻「14歳の小さな踊り子」
美術の教科書に載っていたような記憶がある。

その他、現代アートゾーンには「現代アートの父」マルセル・デュシャンの作品が。個人的に学生時代にメディアアート制作活動をしていたこともあり、よく作品を調べていたので実際に見ることができてとても感動した。

現代アートゾーン、ここはかなりの抽象度の高い作品が並ぶ
デュシャンといえば有名な「泉(Fountain)」
ただの便器にサインを書いて展示するだけ、これはアートと言えるだろうか。というアート
ポップアートの巨匠アンディ・ウォーホルによる「マリリン・モンロー」。
大量生産され、再現性のあるものには価値がないのだろうか?コピーされたものに価値はないのだろうか?
新しいものが生まれにくくなっている現代において、まさに考えるべきテーマかもしれない。

他には常設展だけでなく企画展もしていた。民俗にフォーカスしたような作品が多かった。

フォークアートというジャンルの作品
芸術に対するアンチテーゼの様なものではなく伝統や民族に根差したアートらしい

17:00、各国を象徴する様な空間の展示も迫力があったが、閉館時間が来てしまい一番奥にある日本(アジア)エリアで突き返されてしまう…。

フィラデルフィアの街並み

18:30、お馴染みのAmtrackでフィラデルフィアを出発し帰宅(1人159ドル)。帰りの鉄道は駅員がとても元気で「Welcome to New York!Wooo!」といったお祭り騒ぎであった。

旅を終えて

アメリカの歴史

今回は弾丸でワシントンとフィラデルフィアへ向かった。リンカーン記念堂や独立記念館はアメリカの歴史を知る上で欠かせない存在であった。200年という歴史的にみると短い期間でここまでの大国に成長した背景には、激動の時代を生き抜いてきたことを改めて実感した。

次にワシントンに向かう機会があれば、ぜひとも今回行けなかったホワイトハウス、ワシントン記念塔、国会議事堂など予約をして現代のアメリカの姿を見てみたいと思う。

現代アートが持つ価値について考える

またフィラデルフィア美術館での現代アートについて考える中で、ふと思い出したのが、鳥取県立美術館に関するニュースだった。自分の地元の鳥取県では、2025年にオープン予定の鳥取県立美術館にアンディ・ウォーホルの作品(3億円)を購入されたことに対して、県教育委員会が疑問を呈したことがニュースとなった。

内容としては「ただのダンボール5個が3億円するのはおかしい」、ということであった。アートなので解釈は自由ではあるが、ただのダンボールがそれだけの価値を持ち得る可能性について考えるよいきっかけになるという部分でとてもよい取り組みなのではと思っている。

デュシャンやウォーホルのアートに対するメッセージを解釈するもよし、自分なりに答えを考えてみてもよし、何も感じなくても、アートはそれ自体が自由であることに価値があるのでは、と思う。

巷では、現代アートはよくわからないという話はよく聞くが、いろんな時代の変遷があっての”現代”アートなので、現代という点だけでは理解が難しいのかもしれない。

知らないということは何もマイナスではないが、何かしら知ろうとすることで作品や見えているものに奥行きが出てくるので、そういう面で美術館や世界遺産は価値がある、と個人的には思う。

それではまた!

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