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縁とは何か?

縁はどこから生まれて、どこに向かうのか?
今から約120年前に宇宙とつながり、自然を愛しネイチャーに50本以上の論文を投稿する南方熊楠。彼が描く南方マンダラに惹かれ、和歌山県にある南方熊楠記念館を訪れた記念に。


南方 マンダラ ー夏の社会見学ー

ウェルビーイングを追求する中で、「つながりとは何か?」を疑問に抱き
西田幾多郎先生の純粋経験を「100分de名著」からスタートしたのはこの春のこと。次第に「縁」に惹かれ南方マンダラと遭遇しました。

「つながり」や「縁」に興味を持った理由のひとつは、約5年前に前野先生のご著書「脳はなぜ「心」を作ったのか「私」の謎を解く受動意識仮説」を拝読してから。
そもそも、人間の意思決定は脳が仰々しく思考する前に「ほぼ直感」によって実行すると知り、ただならぬ衝撃を受けました。そして私は『頭の中でやみくもに迷う』ことをやめました。

もうひとつは、ウェルビーイングと死生感を探求するうちに。

記念館を知ったきっかけも、たまたま和歌山県の観光情報欄に目が止まったこと。「南方熊楠記念館」パンフレットにどこかで聞き覚えがあるような。まさかこの土地で南方マンダラ誕生に触れられるとは。

博物学者は宇宙とつながる

うっそうと囲まれる 異国っぽさ

南方マンダラを描いた南方熊楠さんはどんな人だったんだろう?
テキスト年表や個々の情報を追っただけでは感覚が掴めませんでしたが、現地では体感と共に言語化できない「気持ち」が浮かんできました。共感というには程遠いですが知識と感情が歩み寄る感覚ですね。
これが西田哲学でいう思惟かも知れません。

異国を思わせる大木。周りは森林
南方熊楠記念館へ続く森

駐車場から続く細い急勾配の湾曲した道。葉のひとつ一つが大きく、異国情緒を感じる木々に囲まれた空間でした。久しぶりに息を上げて汗をたくさんかき、なんとかたどり着き一息。

南方熊楠記念館に続く長い階段。左右は大きな木々に囲まれている
南方熊楠記念館へ続く階段

とどめに長めの登り階段。登りきると広くひらけた場所で、大きな石碑が見えました。昭和天皇が読まれた歌が彫られています。
ただ文字が彫られているだけだったこの「歌」に対する感情は、施設を回る前と後で全く感情が変わりました。

純粋経験の前にあふれる未知

訪れるまでは、パンフレットを見て、全く心惹かれませんでした。薄緑色のデザインに、フロックコートやキャラメル箱が掲載されており、それらの静物的情報から感情や人間味が伝わってこなかったからです。

しかし、登りきる途中で「ああ、」と納得しました。施設までの道のりは森の一部。ひょっとして誰も知らない生き物がまだいるかも知れないと高揚しました。

南方マンダラの作者が、なぜ博物学者と呼ばれるのか。
なぜ博物学者がマンダラを描くのか。

誰かに教えられることなく手当たり次第の未知を「観察」し、自分の意識に刻むように描写していったのか、幼少期の純粋経験を抱き生きたのでしょうか。植物、菌類、森に隠れて子ども同士の鬼ごっこのような体験だったのかもしれません。

熊楠さんは、無垢な探究心に従い、東京大学予備門半ばで海外に向き、5カ所も移動しながら19歳から33歳までの約24年近くを植物採取や論文執筆、資料の筆写を続けたのでしょう。
記念館の施設に入ると最初に観るよう勧められた動画があります。その中でも大英博物館での出来事が紹介されています。今から100年以上前に科学雑誌「ネイチャー」に論文を寄稿していたとか。

すべての物事はつながって

1869年の秋に設立されたネイチャー。年譜によると熊楠が寄稿したのは26歳、1893年。ちょうど明治時代中盤でした。スカラーで検索すると、南方熊楠の論文の一つを読むことができました。(文末に参考として)

そして、私の無知ゆえに、様々な標本が詰められたキャラメル箱に幼さを感じていましたが、これは異国の品であり当時の日本の方にとって驚くべき逸品だったのでしょう。あるいは、森に入るための手軽な食料だったのかも。

ここまできて、レオナルド・ダ・ビンチを思い出しました。人体、建築、様々な領域で叡智を示しています。と、よく表現されています。しかしそもそも、当時は領域なんてなかったのか。
例えば1つの軸を起点に広がりを持つ点を捉えればHCD(人間中心設計)も同様です。レオナルドさんが構造という点を軸に探求したのと同様に、熊楠さんが持つ軸をもとに広がったのかも知れません。

南方マンダラ 出典)https://www.minakata.org/facility/collections/minakatamandala/


前半はここまで。次回後編は、また。
●つながりが多いからこそ
●全ては森、自然の中にある
でつづる予定です。


参考)

前野隆司先生の「受動意識仮説」冒頭淡々と記述されていて、後半はグッと感情を乗せていらっしゃるところが私は好きです。

私のような初学者はここから。Youtubeもありました!

南方熊楠さんの論文1 星座の話。
MINAKATA, K. The Constellations of the Far East.Nature 48, 541-543 (1893).  https://rdcu.be/diDzO

南方熊楠さんについて書かれた立ち読み文庫


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