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「喫茶」と「ランドリー」なんて面白くない!「コンテンツ脳」を捨てて「本質脳」になろう.

喫茶ランドリーというお店を運営して3年が経ちました。

2018年1月のグランドオープンと同時にたくさんの反応をいただきましたが、その反応は思いのほかに「喫茶」と「ランドリー」の組み合わせで「地域」に「コミュニティ」なんて面白い!といった内容ばかり。

誤解を解かなくてはと、慌てて書いたのが下のnote記事でした。

この記事は、多くの方に理解いただけるきっかけとなりました。

しかし……

その後も、「喫茶」と「ランドリー」「面白い組合せですね!」とだけ感想を持たれている方々が、後を経ちません。

はー。。ですよねー。。ありがとうございます。。

と、返しながら、いつもモヤモヤとしてきました。というのも本当に「喫茶」と「ランドリー」というものは、プロジェクトの核ではないですし、ましてやランドリーカフェなんて地球の裏に行ったって昔からあるわけですから。(因みに在り方のベンチマークとして観察している大好きなランドリーカフェは、コロンビアにあったりします)

しかし、そんな日が続いていくと、そう自然と口にしてしまう人と私とは何が違うのだろう?と興味が沸いてきました。

すると、だんだんこういう方々の思考のクセが見えはじめたのです。

「何を目指す」本質脳 vs 「何をつくる」コンテンツ脳

まず、ひとつ目は「デザイン」について、基本的に私が考えるものとは、全く異なる捉え方をされているということでした。

「デザイン思考」的なものの影響でしょうか? 例えば、何かと何かを組み合わせれば、時に奇跡的なジャンプアップした良きものが生まれるなどと、本気で信じられていたりします。

んなぁこたない。あるモノを事後的にそう分析できることがあっても、実際のデザインプロセスはそんな単純であることはありえません。

2つ目は、「何を目指す」ために「何をつくる」という構造があったとき、前者「何を目指す」という本質的問いを考え続ける「本質脳」がほとんどないんだな思いました。

むしろ、後者の「何をつくる」にしか興味が沸かない。いわば完全な「コンテンツ脳」になっているのです。

コンテンツ脳の人は、とにかく「面白さ」というものに無意識の正義を感じられる傾向にあるようです。面白さには求心力が生まれ、購買へとつながるので、それはひとつの正義にもなりうる。だから、その考えはわかります。

でも、その考え方に偏りすぎた結果、臨界点に達しているのが「現代」です。となると、その気づきにも至っていないことはまずいですよね。今の時代に、本質的なことを置いておいて、もっともっととコンテンツを求める姿勢の危うさは、語らずもがな。

言い方がきついかもしれませんが、私はコンテンツ脳になりがちな人は、モノをデザインしたり、創造する仕事にはつくべきではないと思います。

何故なら、「何を目指す」をきちんと考えずに生み出されたものは、いくら目先に恩恵を与えようとも、長期的には臨界点に達することに加担してしまうからです。

その先によりよい社会などあり得ないですし、世界平和は、より遠くへ行ってしまいます。

因みに、昨今のSDGsブームが非常にまずいのは、「何を目指す」かをきちんと考えてこなかった人たちが、あたかもその目標を掴んだぞ!という感覚を安易に得てしまうことが最大の問題なんですよね。

SDGsそのものが悪いわけではありません。そこをきっかけに、どれほど本気で、企業が組織が個人が「何を目指す」かをどう考え抜いたかが大切で、その先にこそ、世界や社会を大きく変えうる発明がきっと生まれるのだと思います。

「本質脳」と「コンテンツ脳」の見分け方

さて、あなたは、本質脳とコンテンツ脳、どちらの傾向にあるでしょうか。

下に3枚写真を並べてみました。例えば旅先で、こんなシーンに出会ったと想像しながら、どんな感想を持つか、どんなところを観察しがちか、ゆっくり見てくださいね。

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(photo=Wallygva)

ベンチそのものが可愛いなとか、ベンチがある光景がいいなとか、可愛いインテリアのカフェだなとか、グッゲンハイム美術館の中はすばらしい空間だなとか、そんな風に思いますよね。それはまっとうな感覚だと思います。

でもそれに合わせて、ベンチに座っている人々、カフェでくつろぐ人々、美術館で過ごす人々、一人ひとりの表情やモード(気持ち)に思いを巡らせることができなかった方ほど、コンテンツ脳の傾向が強いと思います。

上の写真には写り込んでいない、例えば、サービスやモノ(商品)、制度や手法といったものに惹かれがちな人も、言わばコンテンツ脳です。そのコンテンツの先に、解像度高く個々の「人」の幸福がどう起きているか。そこにはあまり興味がわかない脳みそになっちゃってる。

本質脳を鍛えて行こう!

「何を目指す」かという本質脳 は、常に何よりも上位に、コンテンツより上位に「人の存在」や「人の気持ち」について興味がある状態です。

そして、本質脳を持てている人は、人への興味というものが、社会が良くなることや自分の生き方、発明的なビジネスに至るまで、すべてにつながっていることを無意識にでも理解されていると思います。

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さて。タイトルに「喫茶」と「ランドリー」なんて面白くないよ!と書きました。そうなんです。ここでは、「喫茶」と「ランドリー」があるというコンテンツよりも、その前段で、社会に、まちに、どのような場所を目指すことを紡ぎ出したかが大切なところなんです。

もちろん、全くコンテンツは意味がない、と言っているわけではありません。

たとえば目指す光景のひとつの指針として、喫茶ランドリーには「どんな人にも自由なくつろぎ」というコピーがある。

次にそれを実現させるために、どのようなコンテンツたちが支えうるのかを、いろんな人がそこで考え、実現していく。

たまたまあの場所では「喫茶」と「ランドリー」というコンテンツを前面に押し出し、可視化しましたが、実際は、ミシンやアイロンが借りられ、スペースもレンタルでき、犬もベビーカーも入れて、ギャラリー使用もできて、地域の人たちの手作り雑貨や、個人コレクションの中古レコードも売られていたりします。

というように、本質的な問いがあれば、そこからコンテンツは自然と孵化し続けていかせることができます。そうして日々変わり続ける無数のコンテンツが、目指す光景を創り上げているわけです。(本質的な問いそのもののデザインが難しいという側面はあります。)

● 例えば、高級マンショにライブラリー機能を持ったスペースがあったりします。あれらは本質的な問いから生まれたものではなく、魅力的なウリと機能を考えてつくられたもの。だから、実施はさほど利用頻度も低く、そこで自然とコミュニティが醸成することなどは起こりえません。
● ところが、同じ機能を持たせるとしても、本質的な問いから、マンションにライブラリー機能をつくろうとなると、目指すビジョンが明確担っている分、より人間の心に寄り添うことを目指して、さまざまなデザインのディテールが検討可能となっていきます。できあがるものは、目指す方向へ向けて常に変化していくものとなります。
● このように、全く同じ機能やサービスを持つモノであっても、本質脳とコンテンツ脳で考えるのでは、全く別物になってしまいます。一般的なランドリーカフェと「喫茶ランドリー」が全く異なるのも同じ理由です。

だから、ここで伝えたいことは、とにかくコンテンツ脳よりも本質脳を優位にさせていきましょう!ということ。

日本人のコンテンツ脳は、世界的にも相当に優れていると思います。でも、本質脳は世界ランクでいうと、かなりの下位クラスでしょう。だからこそ、もし本質脳が高まっていけば、21世紀の日本的ブレイクってまだあるとも思うんですよね。

「何を目指す」のか「なぜ目指す」のかを考え続ける本質脳と、「何をつくる」かというコンテンツ脳のバランス、これからの時代には、本当に大切になってくると思います。

だから、まずは本質脳を鍛えていきましょう!

最後に良いトレーニングがひとつ

街中で出会う光景の中で、ぜひ人を観察してみてください。そして、何をしているとか、行為だけではなく、どんな心のモードかな?と、もう少し解像度をあげて観察してみてください。その人の心を想像してみてください。

すると、例えばスマホを触っている人でも、みんな違うことが分かってきます。幸せそうな人から不安そうな人までさまざまです。やがて、笑っている人もいれば、涙を流している人だっていることに気づきはじめます。

そうやって、世界に生きる、社会に生きるの末端の人々のリアリティがよりつかめれば、私たちが生み出すものは、バージョンアップさせていけるはずです。

それでは、今日はこの辺で。

1階づくりはまちづくり。


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大西正紀(おおにしまさき)

ハード・ソフト・コミュニケーションを一体でデザインする「1階づくり」を軸に、さまざまな「建築」「施設」「まち」をスーパーアクティブに再生する株式会社グランドレベルのディレクター兼アーキテクト兼編集者。日々、グランドレベル、ベンチ、幸福について研究を行う。喫茶ランドリーオーナー。

*喫茶ランドリーの話、グランドレベルの話、まだまだ聞きたい方は、気軽にメッセージをください!

http://glevel.jp/http://kissalaundry.com/




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