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セミリンガルと大和言葉
日系人に多い二言語話者をバイリンガルといいますが、若い人の中には日伯英のマルチリンガルもいれば、今時はポ語しかできないモノリンガルも多いです。
モジ市で日本の講師による健康講話がある、というので年寄りが会館に集まりました。
世話係の人が紙を最初に配って、講師が「レジュメが足らない人は隣の人とシェアして下さい」と言いましたが、日系人はカタカナ語が解かりません。
「本日のテーマは転倒予防と有酸素運動です。日本語の解らない方はポ語で翻訳してありますから…」と何度も言うのですが、日系の老人の多くはポ語が不得意です。
一世移民の子に生まれた初期の二世は、みな学校にも行かずに畑で働いた年代です。
ブラジルは日本の23倍広いので人口密度が低く、田舎には少ししか学校がありません。あってもポツポツと遠くに離れているので、子供の足では通えない所もありました。今は家に車もあるし市のスクールバスが通って便利になりましたが、昔は馬で学校へ行ったり、途中でカヌーに乗ったりした子もいたそうです。
聞く話すは家庭で覚えますが、読み書きは学校で習います。
学校へ行けなかった人は、日伯両語はバイリンガルだけれども両言語の抽象的な語彙数も少なく、読み書きも不自由な文盲になってしまいました。
そんな二世は一世移民の犠牲となった人たちで、セミリンガルといいます。
家族と出稼ぎに行ったが、日本の学校に適応できなかった子供も同じです。
ですから講師は、転倒予防だ、有酸素運動だ、という漢語ではなく、大和言葉で、転ばないため、息を止めない運動、と言えばよいのです。
これと同じことは日本人が外国人と日本語で話すときも同じです。
なるべく大和言葉を使った方が通じやすいと思います。
<今日の名言>
「目には目を」では世界が盲目になる。
マハトマ・ガンジー
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