田附正甫 from ブラジル「地球の裏側から見た日本」

たづけまさほ。ブラジルサンパウロ州。モジ・ダス・クルーゼス市、通称モジ。私の住む街。移住して50年を過ぎました。(生まれは千葉の匝瑳市) 私は現在78歳の元日本語教師。地球の裏側から日本を観察するうちに、日本人の特異性に気づいた者であります。YouTubeはよく観ています。

田附正甫 from ブラジル「地球の裏側から見た日本」

たづけまさほ。ブラジルサンパウロ州。モジ・ダス・クルーゼス市、通称モジ。私の住む街。移住して50年を過ぎました。(生まれは千葉の匝瑳市) 私は現在78歳の元日本語教師。地球の裏側から日本を観察するうちに、日本人の特異性に気づいた者であります。YouTubeはよく観ています。

最近の記事

言葉は争いの元 / 葦原の瑞穂の国は神ながら言挙げせぬ国

日本では自然を神とするので八百万の神々がいます。 ですから日本人にとって神が自然以外の別の場所にいるとは到底考えられません。 神道には聖書のような聖典(教義・教理)がありません。 自然はものを言いませんから文字化できません。 でも聖書のヨハネの福音書は、初めに言(ことば)があった。言は神であった、で始まっています。 別の聖書には「みことば」と仮名で記してあります。 いずれにしても、キリスト教の神は人間の創作だから言葉を尽くして教理の説明が必要なのでしょう。 この教理は人

    • 「いひおほせて何かある」言葉では表現し尽くせないこの混迷する世界

      およそ一万年前、牧畜と農耕を始める者が現れ富を蓄えるたとたん、人類は隣接する部族と戦争を始めたといわれています。 しかし、日本のような島国は逃げ場がないこともあり「正義よりも和を優先させる」という、大陸とは反対の原理で、文明を進化させてきたのではないかと思います。 なぜ、縄文時代が1万年もの間、争いのない平和な社会を維持できたのか? 日本と大陸では、争いに対する考え方が違いますが、そもそも両者は宗教からして違っています。 西洋の神様は、白い髭のお爺さんが杖を持って立っ

      • 初期ブラジル移民の人々(長野県出身だった義父と義母)

        私は今年の6月で82歳になる者ですので、だいぶ体も頭もヨボヨボしてきましたが、さらにもっと昔の話をいたしましょう(脳トレの一環として 笑) 私の義母がブラジルに来たのは大正7年(1918年)、第一次世界大戦の終わった年でした。 ブラジルに来た最初の移民船は1908年の笠戸丸ですから、義母は初期の移民となります。 義父は大正10年、1921年3月に移民船パナマ丸で、27歳の時に渡って来たそうで、二人とも長野県の東北にある中野市の近くの出身でした。 昔は若い移民が結婚すると

        • 娘の幸・不幸は母親の心がけで決まる(実母を好きになれない人へ)

          今回は少し長くなりますが、私(今年82歳・ブラジル、サンパウロ州モジ在住の元日本語教師)の義母について書かせて頂きたいと思います。 私の義母は6歳ぐらいの時に母親を亡くして、その後にやってきた継母には なつかず、15歳の時に実兄夫婦と共にブラジルへ渡ってきました。 そして同じ出身県の長野県生まれの青年と結婚して、五男四女を産みましたが、一人も亡くさずに無事成長、ブラジル生活ではすべてが順調に行ったようです。 私はそこの末っ子と結婚しましたが、当時の義母はすでに長男嫁と不

          子育ては長期の時間軸で、問題解決。

          この頃の日本では子どもがうまく育たなくなっているようで、マザコンとか毒親、モンペア、ガチャ親、などという、昔は聞かなかった新語が聞かれるようになりました。  若い人たちも、結婚はしたいが子供は要らない、という人も増えて、少子化は予想以上のペースで進んでいます。 子がうまく育たなければ国は衰退するだけですが、このごろその原因が戦後の母親にあるように思えてきました。 〜とあるブラジルの爺さんの一場面〜 三年前に妻を亡くして嫁(息子の妻)の世話になっている老人が、縁側で一人

          子どもの問題は、人工的な環境のせい

          日本では小中学生の不登校は年々増える一方で、2023年の統計では前年より二割増えて約30万人だそうです。 しかしこのようなストレス耐性のない子は、何とか社会へ出ても転職を繰り返したり、うつになったり、再度引きこもりになる例が多いともいわれています。 内閣府による引きこもりの推計は146万人ですが、若い人がこれほど引きこもっていては、ただでさえ少子化の日本は人手不足になりますから、移民を入れて補おうと考える人たちがいます。 移民元の外国人のほとんどは陸続きの国の出身ですか

          農耕民族と移民は女性で成り立っている

          農耕民は女性の役割がきわめて重要ですが、日本では特に、養蚕や潜水漁の海女(あま)は女性が働き手の主体となります。 農耕民のなりゆきとして、家庭の実権は主婦が握ります。 そんなことから「上州のかかあ天下」などという言葉もあるのでしょう。 ※上州(群馬県)は養蚕がさかん ブラジルに来た農業移民のほとんどは、若夫婦二人でのスタートになりますから、そんな場合も妻の協力がなければ生活が成り立ちません。 また、街に出て商売を始めるにしても、一般的に外国語習得は女性の方が得意なので

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          人はなぜ争うのか?自然に善悪や正邪は無い

          相も変わらず、今も世界ではあちこちで、戦いが繰り広げられています。 これは正義の戦いだ、聖戦だ、反政府だ、独裁だ、不正だ……とそれぞれが善だ悪だと主張していますが、「善悪」は人間が創り出したものであって、もともと自然界に「善悪」はありません。 ライオンや狼が獲物(草食動物)を追いかけると、まず子どもの動物が逃げ遅れて食べられてしまいます。 人間に言わせれば幼児虐待です。 年老いた弱った者を倒したら敬老の精神に反するし、病気や怪我で動けない者を餌食にしたら弱い者いじめに

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          熊とヤクザと凶暴な外国人

          ある日の日本のニュースに……<<警察官は4人がかりでクマと対峙し、警笛を鳴らしたり、クマ撃退スプレーを使うなどして、敷地内からクマを追い払いました。>> とありました。 昨今は熊が住宅街にまで出没するそうですが、駆け付けた警察官たちは倉庫を荒らしている熊のそばまで行ったのだから、4人でピストルの一斉射撃を加えて処分するべきだったと思います。 そんな住宅地で採食する都市化した熊は見たらすぐに殺さないと、また戻って来て手間と経費と被害が膨らむばかりです。 私も昔、猟に興味が

          地域共同体と個人主義(ブラジル移民が見る景色)

          日本からブラジルに来た農業移民のほとんどは、農村の出身者だといわれていますが、何家族かでまとまって開拓地に入ると、周辺の日本人も自然と集まってきます。 彼らは「日本人会」を作り、そして、「会館」を作りました。 日本に帰るつもりだった戦前の移民の皆さんは、その会館で日本語学校を開き、新年会や天長節、入植祭や結婚式、時にはのど自慢や演芸会もやりました。 毎年、農閑期には運動会を開き、そんな日本人村がブラジルに出来上がりました。 日本人会には、婦人会や青年会もあり、農事部・

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          殺し合いをやめない狂暴で愚かな一神教の三兄弟に法然の精神を。

          新年が明けました。 ウクライナ戦争はいつまでやるのだろう……と思っていたら、 イスラエルで紛争が始まってしまいました。(2023年10月7日) アフリカのスーダンではもう何年も前からずっと内戦が続いています。 そろそろ日本人も気付いていい頃だと思いますが、島国の日本と違って、大陸の国々は大昔から、隣接する異部族・異民族とサバイバル戦を繰り返して今日まできました。 ですから日本以外の文明は、“力と闘争の文明”と言われています。 一方の、海という城壁に囲まれた日本には、

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          第2外国語で変わる性格。日本語は和の言葉。

          あるブラジル人の女子大学生が、日本語講座を選択科目に選び、だいぶ上達したと思ったある日、街中で昔の友人と出会ったそうです。 久しぶりだったので色々と話が弾んだところ、ふとその旧友は「あんたはシスターにでもなったのか?」と聞いてきた。 昔よりもだいぶ大人しいし、しとやかな感じになった、と言うのである。 どうやら、毎日熱心に日本語を勉強してるうちに、日本語の魂が学習者に影響してきたらしい。 たしかに、第二外国語が上達してくると、その言葉が使われている国の文化習慣、もっと言

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          国際政治の公用語を日本語にしたら、争い事は減るだろう(やまとことばの力)

          私が住むブラジルには、日本から視察や調査でさまざまな訪問客が来ますが、接待する日系人の日本語能力も時代とともに弱くなっていますから、難しい言いまわしは避けるべきでしょう。 これまでに聞いた最もひどい例を挙げれば……養蜂の専門家がブラジルに来て、日系二世もいる席で、ミツバチは“ホーカセーコンチュウ”だと言ったのです。 「訪花性昆虫」 こんな和製漢語は普通の日本人でもピンときませんが、特に二世に話すときは「花に来る虫」とやさしく言うべきでしょう。 また例えば、農業技師が「砂

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          表土流失と農地開発のあれこれ(畑を耕さない不耕起栽培は有効か?)

          裁判はまだ続いていますが、大きな被害を出した熱海の土石流災害(2021年7月3日 ※詳細下記)では、「太陽光発電用地の盛り土が大雨で崩れたからだ」と報道されました。 雨が降ると必ず少しの土は流されるものですが、大地が緑に覆われている所であれば、大雨が降っても、表面の土が大規模に流されることはめったにありません。 人間が手を加えたところ、つまり作物を植えるために、木を伐り草を除いて土地を裸にし、そこを耕して種を蒔くと、ちょっとした雨でも表土流失が起きます。 雨が降るたびに

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          人間は狂った猿か否か (進化 or 退化?)

          北京原人、ジャワ原人たちは滅び、20万年ぐらい前から脳が大きくなったホモ・サピエンスが増え始めました。 そして、ネアンデルタール人や、沖縄の港川人(みなとがわじん)たちが滅び(2万年前)、現代人=ホモ・サピエンスになったと説明されています。 ある学者が「人間は狂った猿である」と言いましたが、たしかに人間は他の動物に比べても、高知能、狂暴、残酷、強欲だと思います。 そんな遺伝子を持った人間は、たちまち地球の隅々まで広がり繁栄してきましたが、人の遺伝子には特別に高い繁殖力を

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          日本の学校、ブラジルの学校。〜小中の全人教育〜

          最近の日本では、小中学校の教員のなり手が減って教員不足が起きているようですが、ブラジルの学校に比べると日本の教員は雑用が多すぎます。 ブラジルの初等学校はどこも午前と午後の二部授業ですが、午前と午後で同じ教室か同じ先生かどうかは決まっていません。 こちらの学校には部活とかPTA、学芸会や発表会、遠足や修学旅行、運動会もないし教頭先生もいません。 校歌も同窓会も、上級生・同級生・下級生とか、恩師、教え子という語彙もありません。 それに生活指導や連絡帳などの仕事まで先生は

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