【感想】MBSドラマ『初情事まであと1時間』第1・2話
自分の見ていた範囲だけでも坂元裕二、渡辺あや、金子茂樹、山戸結希が揃い踏みしていた4月クールに比べると申し訳ないが個人的にあまり見たいドラマが無い7月クール。
そういえば「夏の夜は若者が外で遊ぶから視聴率が伸びない」とか「五輪やサッカーW杯と被って編成が変則的になって話数が減る」とかで夏ドラマはそこまで力を入れてないとかって都市伝説を聞いたことがあるがあれは本当なんだろうか?
そんな風に過ごしていたら大阪はMBSから凄い球が飛んできた。
6月上旬に制作が発表された本作。
久々にネットニュースの見出しを二度見した。
監督は橋口亮輔
は?
え?
え!?
過去作がカンヌ国際映画祭やキネマ旬報ベスト・テンなど批評的に成功を収めているものの寡作で知られる(映画の前作が2015年)橋口亮輔監督を引っ張り出したというのか?
橋口亮輔監督からお声掛け頂き、これはやらないわけにはいかないと二つ返事でOKしましたが、
三浦大輔監督のこの言葉によるとまず橋口亮輔監督を口説き落としたらしく、プロデューサーが恐ろしく有能という結論に勝手に至る。
橋口亮輔監督だけでなく三浦大輔監督や大九明子監督など錚々たる映画監督を揃えており、自分の中で一気に注目作に。
どうでもいいがFilmarksの『何者』のあらすじ何だこれw
2016年2月17日~2016年4月15日、MV監督を務める、映画「何者」撮影、著書「実録山田」発売、猫を膝に乗せる山田孝之。
不勉強ながら谷口恒平監督は初めて知りました。すみません。
そんな橋口亮輔が監督・脚本を務めた第1話。
(全エピソードで監督が脚本を兼任しているのも地味に興味深い)
いきなり回想シーン中心の構成で「あと1時間」の枠に囚われないという変化球w
昨年、久しぶりに30分のドラマを撮ることになった。原作はあるが内容的な自由が許されたので、その『ドール』の世界を扱うことにした。
実に自由だw
確かにドールも原作には無かったエピソードだった。
あのオフ会の場を取り仕切ってるおじさんの話し方とか最高だったなw
ここでちょっと原作に触れておこう。
このドラマの原作はノッツの同名漫画。
タイトル通り初情事までの1時間の悲喜交々が描かれ、最後は結ばれる。
ストーリー自体は結ばれる直前で終わるというのが肝。
第1話の感想ツイートにも書いたがアーロン・ソーキン脚本&ダニー・ボイル監督の映画『スティーブ・ジョブズ』を思い出した。
本作はジョブズのプレゼン直前の40分×3という独特な構成。
その人の本質は事の最中ではなく事が始まる直前にこそ出る。
そんなわけで「あと1時間」の妙味は薄かったものの「でも情事に至る過程を30分ドラマで描こうとしたらこうせざるを得ないか」と思い直し、橋口亮輔監督の久々の新作を楽しんだ第1話。
今週放送された第2話は三浦大輔監督・脚本。
第1話が変化球だったのに対して「初体験まであと1時間」というド直球。
何か「オーソドックスな方は自分がやっときますんで!」的な三浦大輔監督と橋口亮輔監督の関係性を妄想してしまうw
そして『愛の渦』を作った人と同一人物とは思えないピュアな物語w
でもあのリアルな会話劇はまさに三浦作品。
不格好で切羽詰まっていて、でも愛おしい。
いずれも原作に忠実というよりは(谷口恒平監督の言葉を借りれば)二次創作。
原作はあくまでアイデアのベースという位置付け。
どう料理するかは橋口亮輔監督の「内容的な自由が許された」という発言から察するに各監督に委ねたということなのだろう。
原作もドラマもコメディなんだけど、笑いの種類が違う感じ。
いや、同じこと描いているんだけど漫画なら一定の抽象化が効いていたのが実写化されると妙にリアルで気まずさを伴うってことなんだろうか?
もう橋口亮輔監督の新作を世に送り出したという一点において本作の存在意義は十分お釣りが来ていますが、第3話以降も他の監督のエピソードや各監督の2本目が控えている。
『初情事まであと1時間』はMBS他で放送中。
(地域によって放送局や時間帯が異なるので見逃し配信が最もアクセスしやすいかも)
個人的にはクズ芸人として知られるラランド・ニシダが岡本玲を相手にどんな演技を見せるのかが楽しみすぎるw
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