【感想】火ドラ★イレブン『時をかけるな、恋人たち』第1話
遂に、遂にである。
主催である劇団のヨーロッパ企画を中心としながら近年はテレビドラマの脚本も数多く手がけてきた上田誠。
最近はDMM TVの『横道ドラゴン』で劇団ひとりのアドリブ芝居を繋ぐというもはや脚本家なのかどうかも怪しい仕事までw
もちろんあれはあれで面白かったけど。
しかし、やはり上田誠の本領が発揮される物語といえば「時間」を題材としたもの。
映画では何本か実現しているものの地上波のドラマにはなかなか降臨しなかった。
代表的なものといえば永山瑛太(当時の芸名は瑛太)も出演している『サマータイムマシン・ブルース』
ちなみに2022年には森見登美彦の小説をアニメ化した『四畳半神話大系』と悪魔合体。
これはとんでもないカオス作品だった…w
他にも外せないのが2020年公開の映画『ドロステのはてで僕ら』
これはマジで傑作。
個人的2020年の邦画No.1
翌2021年には時間を扱ったオムニバスドラマが地上波で。
今年6月には『リバー、流れないでよ』
これも良かったなぁ。
そして遂に連ドラで『時をかけるな、恋人たち』がスタート。
不朽の名作をパロディにしたタイトルなわけだが、タイムトラベルをやってくれると一発で分かって嬉しかった。
いざ第1話を観始めると序盤でいきなりこんな台詞が。
今作は正面からタイムパトロールをやるぞという宣言。
MCUの『ロキ』でも似た組織が描かれていたあれ。
奇しくもほぼ同時期にこちらもシーズン2が開始。
SFコメディらしく未来人やタイムパトロールについてはあっさり受け入れる主人公w
一方で「一線を越えられない」でメインと1話完結のサイドストーリーのドラマが直結する脚本はさすが。
バッドトラベラー(違法渡航者)の問題を解決するストーリーが主人公の変化・成長のドラマとしっかりリンクしている。
深夜枠ということを考えると恐らく潤沢とはいかないであろう予算の中で一点集中的に注力された基地の美術も良かった。
どことなくチープなガジェット類も良いし、個人的には未来に帰るあのゲートのデザインが好み。
中盤の見せ場は吉澤嘉代子の歌唱シーン。
これまたDisney+独占配信から地上波放送が始まった『すべて忘れてしまうから』にも通じる贅沢さ。
ここで永山瑛太の受けの芝居が歌唱の素晴らしさを引き立てつつ今後のストーリーへの布石になっている点も見逃せない。
永山瑛太といえば第1話は彼の目線の演技が肝になっていた。
事あるごとに廻(吉岡里帆)に送られている目線。
何かあるのか…?と思っていたらそれらの伏線は第1話の終盤ですぐさま回収。
なんと素晴らしいテンポの作劇。
そしてラストの「めぐー!」からの翔(永山瑛太)がキョロキョロして「いや、呼んだじゃん(笑)」の台詞・展開は完全に『サマータイムマシン・ブルース』のそれ。
次回以降も楽しみで仕方ない。