【感想】Nintendo Switch『鳥類弁護士の事件簿』
大学受験を控えた2005年にゲームを一旦辞め、一旦のつもりだったのがそのまま本格的に再開することなく今に至る。
現在はテレビや映画が趣味の中心にあるのだが、中高生の頃はゲームがそれ。
余談だが、当時はインターネットの日本語ニュースは今ほど充実しておらず、E3の最新情報をいち早く仕入れるためには英語の記事を読む必要があった。
それが遠因となって英語力が向上→10年後ぐらいに仕事で海外の企業と協業するプロジェクトに関わるのだから人生何が役に立つか分からないw
そんな自分が高校生の頃に遊んだソフトの1つがカプコンの『逆転裁判』シリーズ。
第1作を発売からしばらく経った頃に知り、そこでハマって2と3は発売日に近所のヨドバシカメラに走って買いに行ったw
(今と違ってダウンロード販売なんて無くて発売日に店頭で物理的にゲットする必要があった時代の話)
4は2007年発売なので僕は既にゲームから離れてしまっていて、しかも主人公が変わったと知って一層興味を取り戻さず。
とはいえシリーズへの愛着が薄れたわけではなく、懐かしさノスタルジー消費的ではあったけど実写映画とテレビアニメは観た。
今まさに『エルピス -希望、あるいは災い-』の演出家として株価急上昇中の大根仁監督が手がけたドラマ『ハロー張りネズミ』の感想ツイートでも参照している。
ここでも瑛太!
そして昨年10月に放送されたNHKの番組『ゲームゲノム』
ここでまた懐かしくなっていた矢先、気になるインディーゲームを見つける。
ん?これは…パ◯リでは?w
と思ったら作り手も影響を受けていることを公言。
ゲームシステムは踏襲してリスペクトを捧げた作品ということか。
ゲーム初心者でも遊べる作り
そんなわけでゲームシステムは『逆転裁判』同様とてもシンプル。
探偵パートで証拠を集め、裁判パートで証言の矛盾を追及する。
押すボタンはAボタンとBボタンと十字キーのみ。
複雑な操作は要求されないのでゲームから離れている自分でも問題なく遊べた。
捜査の日数制限
ただ、自分は「逆転裁判の新作に近いソフトが遊べて嬉しいな」と思う一方で「中身は焼き直しの範疇なんだろう」とナメてもいた。
もちろん自分が本作を購入した動機はノスタルジー消費だからそれでいいのだけど。
それに応えてくれる、あ!これは逆転裁判の…ニヤニヤ的な小ネタも確かにある。
ところがどっこい(本作をプレイした後だとこういう言葉遣いを思わずしたくなるw)本作には『逆転裁判』シリーズには無かった制約が設けられており、それが上手く効いている。
その制約とは捜査日数の制限。
裁判の日時が予め決められており、それに向けて様々な場所を調べるわけだが、基本的に1日で1つの場所しか訪れられないようになっている。
序盤のストーリーはそれで問題ない難易度なのだが、後半になると日数よりも場所が多くなる。
つまり、全ての場所をしらみつぶしに調べることは出来ない。
証拠が手に入る確率が高そうな場所を考える必要があるし、いざそこに賭けたイベントが何の証拠にも繋がらなかった時のがっかり感w
進め方によっては証拠を揃えられないまま裁判に挑むことになり、それがマルチエンディングに分岐。
「このままロクに捜査が進展しないまま裁判に突入したらどうなるんだろ?」という悪い好奇心にも応えてくれる。
あくまで一本道のシナリオが用意されていた『逆転裁判』と異なり何周も遊べる余地があって嬉しい裏切りだった。
意外に深いシナリオ
ところで、本作の舞台はなぜか19世紀のフランス。
当初は「足で捜査する感を出すためにインターネットを排除できる時代設定にしたかったのかな?」と思ったのだが、クリアしてみればテーマ的に必然性のある設定だった。
物語の始まりは1848年1月1日。
非常に具体的な日時指定。
ここから約1ヶ月半後のフランス革命(二月革命)までが描かれる。
正義とは何か?
司法とは何か?
自由とは何か?
平等とは何か?
可愛い見た目とコミカルな会話劇に似合わず社会派。
決して説教くさくはないが油断してると考えさせる台詞を放り込んでくる。
この度日本語版がローンチされたのは海外での発売から7年が経っているそうだが、時代性を何ら問題なくキャプチャーできているのは何とも皮肉。
『逆転裁判』っぽいゲームがまた遊べるなら程度の気持ちで買った自分はお釣りが来るぐらい楽しませてもらえました。
海の向こうのゲームクリエイターに感謝です。