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【感想】Disney+ STARドラマ『マーダーズ・イン・ビルディング』

2021/10/27(水)にリニューアルしたDisney+

これまで日本版Disney+はお世辞にも品揃えや使い勝手が良いとは言い難かったが、謎のドコモ抱き合わせ仕様の撤廃をはじめリニューアルというより真のサービス開始と言っていいだろう。

中でも最大の目玉はスターという新ブランド。
FXなどディズニー傘下のオリジナル作品が配信されていくらしい。
正直まだ世間的には「スターって結局何?」みたいな雰囲気かもしれないが、これは非常に重要な変更。
いくつかの海外ドラマが日本ではいくら金を積んでも見られないという文化格差を通り越して迫害とすら思える事態がこれで少しずつ解消に向かうことを期待したいところである。

目玉はやはり『ウォーキング・デッド』シーズン11の日本最速独占配信かなと思うが、完全新作の目玉は『マーダーズ・イン・ビルディング』
製作・脚本・主演にスティーブ・マーティン、ダブル主演に盟友のマーティン・ショート、トリプル主演にセレーナ・ゴメス。
米コメディ界のレジェンド2人&ティーンのカリスマ(死語)という豪華かつ新鮮な座組み。

ポッドキャストの犯罪ドキュメンタリー番組のファンという共通点を持つ3人が、自宅アパート(3人とも同じアパートに住んでいる設定)で起きた殺人事件を興味本位で勝手に捜査し、その過程を自分たちもポッドキャストの新番組を立ち上げて配信していくというストーリーのサスペンスコメディ。

今夏のテレ東ドラマ『お耳に合いましたら。』のミステリー版といえば伝わるだろうか?

うむ、自分で言っておいて何だが全く伝わらない気がするw

この3人の人物設定は
・落ち目の俳優のチャールズ(スティーブ・マーティン)
・すっかり仕事が無い舞台監督のオリバー(マーティン・ショート)
・たまたまエレベーターに乗り合わせた(?)若い女性のメイベル(セレーナ・ゴメス)

まず、この3人のコミカルな会話劇がとにかく面白い。
(3人の会話劇という構成も『お耳』との共通点)
興味本位で勝手に捜査を始めている時点で少々ヤバいわけだが、そうでなくても世間から微妙にずれているw
このズレ具合がまた絶妙。
さらに3人の間でも2対1でジェネレーションギャップが効いている。
特定の台詞が良いとかじゃなくて間やテンポも含めて会話劇全体が最高なんだよな。
何だろう、テイストは違うけど坂元裕二作品や『マスター・オブ・ゼロ』みたいな感じ。
ずっと見ていたくなるし、絶対にこのトリオを好きになる。
ちょっと僕の文章力ではこれ以上は言い表せないです。すみません。

じゃあ会話がどんどん脱線してコメディになっていくのかというと、本筋のミステリーも1話30分で全10話という尺も手伝って実にテンポよく話が進んでいく。
中身もなかなかどうして侮れないクオリティで、毎週放送だったら考察が盛り上がりそうなタイプの作品。
改めて見返すと序盤からちゃんと手がかりは提示されている。
ポッドキャスト番組として配信しているという設定によって説明的な台詞も気になりづらい(リスナーのために説明しているという体裁になる)というのもニクい。
スティングが本人役で登場して疑われたり、警察官やまさかの番組ファンなど語り手が各話変わったりと飽きさせない仕掛けも抜かりなし。

さらに序盤でメイベル(セレーナ・ゴメス)がどうやらある秘密を抱えているということが示唆される。
彼女は単なる興味本位で捜査に参加していたわけではなかった。
そのことを残り2人には隠している。
メイベルの真の目的とは…?
この信頼できない語り手によるサスペンスコメディというフォーマットはHBO Max(日本ではU-NEXT)で配信中の『フライト・アテンダント』を思い出した。

こちらも編集と劇伴が素晴らしくてテンポよい作劇のドラマ。
妄想世界で被害者(死体)と会話するという演出が年に2本見れるとはw
オープニングアニメが用意されていて、しかもクオリティが最高という点も被ってますね。
これ両作品とも好きだから年間トップ10に被るけど両方入れたいw

他にも演出面では回想シーンに入る際の編集が面白かった。
特に第2話の、タブレット画面に映された白黒の絵に色が付いて実写に変わっていく演出!
その後に出てくる鏡を使って回想シーンに入るという手法は既視感あるけど、これは新鮮だった。
あと第3話のオーディションを使った飛躍w
後半もああいう演出もっと見たかったなー
早くも製作が決定したシーズン2に期待。

『マーダーズ・イン・ビルディング』はDisney+の新ブランド、スターで配信中。
30分×10話なのでサクッと見れます。

ツイッターだと何かOGPが上手く展開されなかったんだよな。
今はもう改善されてるだろうか?

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