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シンプルという選択 〜物と音楽に宿る本質的な価値を探して〜

私たちの暮らしには、必要以上のものが溢れています。服飾、音楽、そして様々な商品群。華やかで魅力的な商品が次々と市場に投入される中で、本当に自分に必要なものは何なのか。今回は、アパレルと音楽という二つの分野から、シンプルであることの価値、そして本質的な豊かさについて考えてみたいと思います。既存の価値観に一石を投じる内容かもしれませんが、きっとあなたの暮らしを見直すきっかけになるはずです。そして、この気づきは、より豊かで持続可能な生活様式への第一歩となるかもしれません。


服飾における本質的な選択

最近、私は一つの重要な気づきを得ました。それは服装についてです。実は私の服装は極めてシンプルで、ユニクロや無印良品を中心に、余計な装飾のない基本的なアイテムで構成しています。特に色使いにこだわりがあり、紺色や白を基調としながら、時にはオーガニックブルーのような落ち着いた色合いを取り入れることもあります。

実は、このシンプルな選択には深い意味があるのです。必要最小限の色とデザインで構成された服装は、長く着用でき、様々な場面で活用できる強みがあります。さらに、この選択は心の安定にもつながっているのです。

アパレル業界では、常に新しいデザインや派手な柄物を提案し続けています。鮮やかな赤やオレンジ、ストライプやチェックなど、様々なデザインが店頭を彩ります。確かに、個性的な服装を楽しむことは素晴らしいことですし、それを否定するつもりは全くありません。センスのある人であれば、そうした個性的なアイテムを上手くコーディネートして、素晴らしい着こなしを実現できるでしょう。

しかし、多くの人々が経験しているように、衝動買いした派手な服が、結局タンスの肥やしになってしまうことも少なくありません。購入時の高揚感は一時的なものであり、実際の着用機会はごくわずかになってしまうのです。これは単なる経済的な損失だけでなく、環境負荷の観点からも考えさせられる問題です。

商業主義がもたらす過剰な選択

現代の資本主義社会では、常に新しい商品を生み出し、消費を促進する必要があります。これは経済を回すために必要な仕組みかもしれません。企業は売上を維持・向上させるために、次々と新商品を投入し、消費者の購買意欲を刺激し続けます。その結果として私たちは必要以上の選択肢に囲まれ、時として本当に必要なものを見失ってしまうのではないでしょうか。

店頭では魅力的な商品が並び、つい手に取ってしまいます。「これ、いい色だな」「このデザイン、面白いな」という感覚で購入を決めてしまうことも多いのではないでしょうか。しかし、帰宅後に「なぜこれを買ったのだろう」と後悔することも少なくありません。この現象は、商業主義による過剰な選択肢の提供が、私たちの本質的な欲求や必要性とミスマッチを起こしている証かもしれません。むしろ、選択肢が少ないほうが、私たちの生活は豊かになる可能性があるのです。

音楽における本質の追求

この考えは音楽制作にも通じます。私は音楽家として、ピアノ一台でシンプルな演奏を続けています。確かに、様々な楽器を組み合わせた華やかなアレンジも魅力的です。オーケストレーションやバンドアレンジメントによって、音楽は確かに豊かな表現を獲得することができます。しかし、シンプルなピアノ演奏には特別な価値があると考えています。

それは聴き手の想像力を刺激し、個々の感性に寄り添える余白を持っているからです。シンプルな音楽には、聴き手自身の感情や解釈を投影する余地があり、それこそが音楽の本質的な魅力なのかもしれません。

商業音楽では、数ヶ月〜半年ごとに新作を発表し、常に新しい刺激を提供することが求められます。しかし、実はそこには似たようなメロディーラインやコード進行が繰り返し使われており、本質的な新しさに欠けることが多いのです。これは音楽の本質的な価値を見失わせる要因となっているのではないでしょうか。

持続可能な音楽制作の在り方

現代のストリーミング配信では、1曲の再生で得られる収入は極めて少額です。例えば、Spotifyでは1回の再生でわずか0.05円程度の収入しか得られません。そのため、多くのアーティストは量産的な作品作りを余儀なくされています。新曲をコンスタントにリリースし、常に話題を提供し続けることが求められる現状があります。

しかし、本当に心に残る音楽とは、何度聴いても新しい発見があり、時間とともに深みを増していくものではないでしょうか。シンプルなピアノ演奏であっても、そこに込められた感情や表現の微細なニュアンスは、聴くたびに新たな発見をもたらします。これこそが、音楽の本質的な価値ではないでしょうか。

シンプルさが持つ普遍的な価値

このような考え方は、服飾についても同じことが言えます。トレンドに左右されない、シンプルで質の良いアイテムは、長く愛用することができ、結果として環境にも優しい選択となります。また、シンプルな服装は、着る人の個性や魅力を引き立てる「キャンバス」として機能し、その人らしさを最大限に表現することができます。

シンプルな選択は、実は最も洗練された選択かもしれません。余計なものを削ぎ落とし、本質的な価値に焦点を当てることで、私たちの生活はより豊かなものとなるのです。

現代社会における本質の追求

私たちの生活において、シンプルさを追求することは、単なる省略や簡素化ではありません。それは本質的な価値を見極め、真に必要なものを選び取る賢明な判断なのです。常に新しいものを追い求める現代社会において、シンプルさという選択は、むしろ革新的な生き方かもしれません。

このような生活様式は、一見すると経済活動を抑制するように見えるかもしれません。しかし、長期的な視点で見れば、持続可能な消費行動こそが、健全な経済システムを支える基盤となるはずです。質の高い商品を長く使い続けることは、結果として製造・廃棄に伴う環境負荷を低減し、より持続可能な社会の実現につながります。

より良い未来に向けて

生活の中で本当に必要なものは何か。それを見極める目を持つことで、私たちの暮らしはより豊かになっていくはずです。華やかさや複雑さに惑わされることなく、本質的な価値を追求する。それこそが、現代を生きる私たちに求められている選択なのかもしれません。

このような考え方は、一見すると業界にとって都合の悪い話かもしれません。しかし、長期的に見れば、本質的な価値を追求する姿勢こそが、持続可能な社会を作り出す原動力になるのではないでしょうか。私たちは今一度、自分の選択の基準を見直し、本当の豊かさとは何かを考える必要があるのです。

このようなシンプルな選択は、必ずしも簡単なものではありません。むしろ、余分なものを削ぎ落とし、本質を見極めることは、より多くの知恵と勇気を必要とする選択かもしれません。しかし、その選択は確実に、より豊かで持続可能な未来への扉を開くことでしょう。

私たちは今、大きな転換点に立っています。物質的な豊かさを追求してきた時代から、本質的な価値を重視する時代への転換です。その中で、シンプルさを追求する生き方は、新しい時代における一つの指針となるのではないでしょうか。

これからの時代を生きていく上で、私たちには「選択する勇気」が必要です。それは、必ずしも多くを持つことではなく、本当に必要なものを見極め、大切にしていく勇気です。そして、その選択こそが、私たちの生活をより豊かで持続可能なものにしていくのだと信じています。

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