[三遠戦_前編] +/-指標はチームトップ。宇都が果たした正PGの仕事 -第8節-
第8節。富山vs三遠。
富山はGAME1では92-77と快勝し、続くGAME2でも90-89と辛くも逃げ切り今季初のホーム2連勝を飾った。
今節の試合には課題が残る部分はあったものの、それらを上回る好材料があった。
体調不良から戻ってきた宇都直輝である。
少ない出場時間ながら彼はチームに大きな効果をもたらした。
GAME1 PT 18:42
11得点(FG3/5)4アシスト、4FD、0TO
GAME2 PT 19:35
6得点(FG2/3)7アシスト、5FD、2TO
これだけの好成績を残した彼の得失点(+/-指標)は2日間で+20であり、これはチームで最も高い数字である。
今回の記事では彼が果たした正PGの仕事について解説していく。
※
こちらの前編はほぼ宇都回です。
後編ではちゃんと“三遠戦の”解説をします。
ご了承ください。
宇都直輝が担った正PGの仕事
富山の平均得点は現在78.1でありリーグ全体14位だが、一試合通じてのオフェンスが形になってきた琉球戦以降の8試合では85.9得点である。
(天皇杯も含めると87.9得点)
富山の得点力は昨シーズンに迫るレベルまで来ているが、そのきっかけとなったのは上澤選手のスタメン起用である。
彼がスタートから出場し、各チームのスミス対策の裏をかく形でスリーを決めることで富山は飛躍的に得点が伸びるようになった。
富山のシューターの3P%
(11月15日現在、天皇杯は除く)
上澤 13/27(48.3%)
松井 28/60(46.7%)
晴山 18/45(40.0%)
※上澤の確率はリーグ全体3位だが、試投数が足りないためランクインはしていない
しかし今節では彼のスタート起用が不発となり、GAME1では最初の4分間で5-11と久々に相手に先行される出だしとなった。
これはルーキーながら上澤が警戒され始めたことと、三遠がボールマンへハードにDFをするチームであるためだ。
上澤は3Pシュートこそ脅威だが、富樫選手や斎藤選手のようにペイントアタック後のフローターやキックアウトを持っていない。
故に三遠のハードなDFが彼の3Pを潰し、スミスへもパスを出させず、時には2点ゾーンへのドリブルへ追い込む効果を生んでいた。
他方で富山には、むしろこういったDFで躍動する選手がいる。
宇都直輝だ。
インサイドが主戦場のスミスとの併用が難しかった宇都だが、こういったDFならば話は別だ。
プレッシャーを掛けられるとはいえ、宇都にとってはDFが抜ける間合いまで詰めてきてくれることは好都合だ。
試合後の記者会見でも浜口HCが話していたが、これによって宇都の出場時間が伸びることになる。
1、課題のシュートを克服
前回の記事でも少し触れたが、富山の面々にはそれぞれ乗り越えなければならないものがあった。
そのうちの一つに宇都選手はアウトサイドシュートを決める必要があると解説した。
宇都選手は元々スリーは不得意であり、今シーズンの試投は3本で成功数は0。
それでも彼の高さやクイックネスを考えたとき、ミドルシュートだけでもスミスとの併用は可能だ。
しかし今シーズンはそのミドルシュートも絶不調であり、浜口HCも彼を中々コートに送り出せなくなっていた。
宇都のシーズン毎のミドルシュート%
(前節の京都戦まで)
2016-17 15/74(20.3%)
2017-18 123/305(40.3%)
2018-19 46/150(30.7%)
2019-20 22/67(32.8%)
2020-21 18/51(35.3%)
2021-22 3/17(17.6%)
※2019-20はシーズン中断のため33試合分の試投数
シュートは下半身の屈伸運動で得られた床反力を最終的にボールへ伝えていく動作だ。
このジャンプ動作の途中でバランスが崩れると、床反力が分散してしまいボールに十分な力が伝わらない。
今シーズンの彼のジャンプシュートはまさしくこれであり、ほとんどのシュートが飛距離が足らずにリングの手前に当たって外れていた。
(入った3本に関してもアーチを下げることで飛距離を伸ばし、帳尻を合わせた根本の解決になっていない決め方だった)
三遠のDFは他チームとは違い、初めから宇都の外を露骨に放置したりはしない。
が、ローテーションの中でどうしても誰かが空いてしまう場面ではやはり最終的に彼のミドルシュートを"捨て"にする場面があった。
全員を止める試みをした上で、いざという時に成功率17.6%の彼のミドルシュートを捨てる判断は理にかなっている。
しかし今節の宇都は別人のようにシュート動作が改善され、この2日間で放った5本のミドルシュートのうち4本を成功させた。
(配信で見ていても打った瞬間に入ったとわかるシュートだった)
前述の理由に加え、このこともあって宇都はコートに立ち続けることができた。
そして次第に彼の持ち味が顕在化していく。
2、ボールを移動させること
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