ブリッジ運動を再考する
今回はブリッジ運動について書いていきます。
ブリッジといえば簡単な運動のため、高齢者〜若年者まで汎用性が高く普段からよく行われる運動の1つではないでしょうか。
しかし、ただお尻を上げて下ろしてだけではもったいない。
よく行うからこそ、ちょっとした工夫をすることで運動のバリエーションを増やすことができます。
今回の内容を読んで、自分の筋トレや臨床などに活かしていきましょう。
それではどーぞ!
ブリッジ運動の効果
主な効果として
・大殿筋やハムストリングス、脊柱起立筋など背面の筋活動を促す
・脊柱の分節的な運動を誘導
・間接的な股関節伸展可動域の向上
(大殿筋収縮に伴い股関節前面筋を相反抑制することができる)
・股関節内転位にすることで大腿筋膜張筋のストレッチ
(主に膝OAの方に対して)
・下肢伸展共同運動からの分離運動
(主に片麻痺の方に対して)
などがあります。
これだけでもブリッジ運動の汎用性の高さが分かりますよね。
ブリッジ運動の注意点
さて、ブリッジ運動を行う際にはどういったことを注意していかないといけないでしょうか?
①頭部の屈曲は起きないか
②肩が挙上してこないか
③骨盤が回旋してこないか
④膝が開いてこないか
⑤肩・腰・膝を一直線に上げられるか
⑥呼吸を止めない
以上のようなことが考えられます。
ちなみに呼吸を止めないと書きましたが、臨床では呼吸を意識していても出来ない方を多く経験します。
そんなときは
脊柱の伸展時に吸気(息を吸う)
脊柱の屈曲時に呼気(息を吐く)
のように指導をすると上手くいきやすいです。
お尻を上げる際に息を吸って、お尻を下げる際に息を吐くといったような感じですね。
ブリッジ運動における代償動作
代償動作として
例えば膝OAで腸脛靱帯が硬い方は
・お尻を上げたときに膝が開く(大腿筋膜張筋、外側広筋の硬さに対する代償)
・お尻が下がったまま(大殿筋の弱化と骨盤後傾の代償)
・膝と爪先の向きが揃っていない(下腿外旋の代償)
などがみられます。
そのほかには
・膝の伸展や屈曲を過度に使う
・腰椎伸展
などでの代償動作もみられやすいため注意が必要です。
ちなみに腰椎伸展での代償動作に関しては、下図のように促通したい側と反対の膝を抱えることで代償を防ぐことができます(片膝を抱えることで股関節が屈曲し、運動連鎖で腰椎屈曲が入るから)。
バリエーション
ブリッジ運動だけではないですが、運動療法を行う際はその人に合わせた難易度調整をしていかなければなりません。
ここはセラピストとしての強みの1つではないでしょうか。
難易度調整として簡単に行えるのが、支持基底面の大きさを変えることです。
つまり
支持基底面が大きいほど難易度が低く、小さいほど難易度が高い
ということになります。
例として
支持基底面(大)→支持基底面(小)
・両足をつける→片足のみ
・手を地面につける→手を組む
・足をつける(中間位)→背屈位
などがあります。
筋活動においても、骨盤や股関節伸展角度、膝関節屈曲角度や足関節角度によってそれぞれ変わります。
(骨盤)
後傾させることで脊柱起立筋に比べて大殿筋の筋活動が有意に作用する
(股関節角度)
・大殿筋→伸展域にて有意に作用する
・ハムストリングス→股関節屈曲30-40°から伸展で作用する
(膝関節屈曲角度)
・大殿筋→屈曲域にて有意に作用する
・ハムストリングス→伸展域(浅い屈曲)にて有意に作用する
(足関節角度)
背屈位にてハムストリングスの活動が抑制される
ほかには
・課題数の調整(両手をついて殿部挙上→両手を上げたまま殿部挙上etc)
・回数の調整
・速度の調整(速く→ゆっくり)
を行うことでバリエーションを増やすことができます。
応用編にはなりますが、道具(ストレッチポール)を使用することでさらに難易度調整を行いやすくすることができます。
ストレッチポールを使用するメリットとして
・足部からの感覚情報を入れやすい。
・代償動作をより見分けやすくなる。
があります。
まずは若年者やアスリートの方に対して使用してみましょう。
まとめ
今回はブリッジ運動について書いていきました。
運動療法のポイント
・支持基底面
・課題数
・回数
・速度
「代償動作が起きるのであれば簡単に
簡単にできるのであれば難しく」
たかがブリッジ、されどブリッジ。
汎用性が高い動作だからこそ
代償動作を見極め、難易度調整をしながらその人にあわせた方法を考えていきましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。