第3回テーマ「VUCAの時代のマネジメン
VUCAの時代のマネジメント
コロナ禍により働き方が大きく変容した昨今、上司の役割も変わらなければなりません。
リモートワークは社員の心的距離を変え、会社と社員の関係を変容させました。これまでは会社への貢献度を評価する立場であった上司はそのポジションに力がありました。なぜなら、部下は自分の昇進や昇給を上司に委ねていたからです。つまり、自分の会社人生が幸せなものになるのか、日陰を歩むことになるのかの決定権は上司が握っていたわけです。しかし、リモートワークに象徴されるソーシャルディスタンスは会社を客観的に見つめ直す機会を創出しました。これまで当たり前と思っていた常識がもろくも崩れ、そこに隠れていた理不尽や不合理が立ち現れてきたのです。内なる声は「この会社は果たして人生を賭ける価値ある会社なのだろうか」と問いかけます。毎月の給与を得るという安心感のためだけに、ストレスに耐えている状態が果たして健全なのだろうかと。
コロナ禍により図らずもリモートワークが促進しました。往復の通勤時間は大幅に減り、無駄な会議やアフター5の付き合いも無くなりました。そして自分を見つめ直す機会が増えた結果、副業に精を出す人達が増えているのです。つまり会社は自分の人生を賭けて働く価値があるかどうかを見られる立場に逆転したということです。副業を通して上司よりも手取りが多い部下はこれから更に増えていくでしょう。これまでのように会社から給与をもらっているのだから、上司の指示には従うのは当然だという理屈はもう通用しなくなっているのです。もともと今の若手社員は給与や昇格は働くモチベーションも要因ではないと言われていました。
このような時代に直面し、それが若手特有の価値観ではないことに皆気づきはじめたのです。それでは一体、どのようなマネジメントを行えばよいのでしょうか。
これからの上司の役割は「部下たちの不安を取り除き、帰属意識を高め、モチベーションを向上させる人」とお伝えしました。その実現のヒントは従来のような上司と部下という縦の関係ではなく「フラット化」です。次回はこのキーワードについてさらに具体的に解説致します。
(日本食糧新聞 令和3年6月4日掲載)