
【論文メモ4】社員はどんなことで会社に大切にされていると感じ、それはどんな良いことを会社にもたすのか?
前回は認知された組織的サポート(POS)から情緒的コミットメント(AC)へのパスについての論文を取り上げたが、今回は、POSの規定要因からPOS→ACへのパスを論じた論文。
取り上げる論文
著者名: Linda Rhoades, Robert Eisenberger, Steven Armeli
タイトル: Affective Commitment to the Organization: The Contribution of Perceived Organizational Support
タイトル(日本語): 知覚された組織的支援の寄与
ジャーナル: Journal of Applied Psychology 2001 Vol 86 No.5, 825–836
概要
3つの研究を通じて、職務経験、知覚された組織的支援(POS)、情緒的コミットメント(AC)、従業員の離職率の相互関係を調査している。
研究1では、様々な組織から抽出した367人の従業員からなる多様なサンプルを用いて、POSが組織報酬、手続き的公正、上司の支援とACとの正の関連を媒介することを明らかにした。
研究2では、2年間(N = 333 )と3年間(N = 226 )の小売業従業員におけるPOSとAC の変化を調べた。POSはACの時間的変化と正の相関があり、POSがACにつながることが示唆された。
研究3では、小売業従業員(N = 1,124 )、家禽・飼料加工労働者(N = 262 )において、POSとその後の従業員の離職率との間に負の関係があることがわかった。これらの結果は、良好な労働条件がPOSを介してACを増加させ、その結果、従業員の離脱行動を減少させることを示唆している。
背景
従業員の情緒的コミットメント(AC)は、離職や欠勤の低減、業績向上に寄与する重要な要因とされている。組織支援理論(POS)は、従業員が職務経験をどのように評価し、それがACや行動にどのように影響するかを説明するフレームワークを提供する。
関連する理論・概念
組織支援理論(Perceived Organizational Support; POS): 組織が従業員をどれだけ支援し、貢献を評価し、福祉に関心を示しているかの認識。
情緒的コミットメント(Affective Commitment; AC): 従業員が組織に対して抱く情緒的な絆や帰属意識。
手続き的公正(Procedural Justice)
意思決定プロセスにおける従業員の意見意思決定 実施前の十分な通知、正確な情報の受領や従業員に尊厳と敬意を もって接することや、結果がどのように決定されるかに 関する情報を提供することが含まれる。
変数
(a) 説明変数: 職務経験(組織的報酬、手続き的公正、上司の支援)
(b) 媒介変数: 知覚された組織的支援(POS)
(c) 成果変数: 情緒的コミットメント(AC)、離職率
方法
研究1: 367名の多様な職種の従業員を対象に、POSが職務経験とACの間を媒介するかを検証
研究2: 小売業従業員を2年および3年スパンで追跡し、POSがACに及ぼす因果関係を分析。
研究3: POSと離職率の関係をACが媒介するかを検討し、小売業および鶏肉加工業従業員を対象に6か月間の離職データを収集

わかったこと
・POSは職務経験、手続き的公正、上司のサポートを媒介して情緒的コミットメントに寄与している
・ POSがACに影響を与えるが、逆は確認されなかった。
・ ACはPOSと離職率の間の負の関係を媒介。

感想
会社から大事にしてもらっていると思ってもらう(組織的サポートを認知してもらう)には、どうすればよいか?またそのことでどんな良いことがあるか?についてその流れを整理してくれている。
何に手を付ければよいか施策を考えるヒントになる。
また手続き的公正のところは、尺度を見ると、社員の意思決定への参画や説明責任のことを言っているように感じた。上司のサポートや説明責任を果たすことはやっぱり大切というのがわかる。