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【読書録64】『ご機嫌おじさん』でいるために~小林弘幸「リセットの習慣」を読んで~

 最近、「不機嫌なおじさん」が多いと言われる。
たしかにやたらと機嫌が悪く、しかめっ面で何に対しても不平不満を言う中年男性と出くわすことが多い。
 また中年男性は、ただたんに黙っているだけでも、怖いと思われがちなのも事実である。

 「人間最大の罪は不機嫌である」と言ったのはゲーテであるというが、本当に格言である。

 とにかく、不機嫌さを表さず、常にご機嫌でいたい。そんな風に思っているときに、本書と出会った。

 著者の、小林弘幸氏は、医師であり、自律神経研究の第一人者。自律神経の観点から見て心と体の状態を保ちイキイキと生きる方法を伝授してくれる。

その原則が、「リセット」であると言う。


リセットとは?

 
 人の体は「流れに乗る」のは、得意だが「流れを変える」のは苦手であり、人間にとって、心と体を保つ上で、もっとも大事な意識が、「リセット」であると言う。

 リセットというと、ファミコンのリセットボタンを思い出し、「元に戻す」というイメージであった。しかし著者は、リセットとは、「新たにはじめる」「思い切って変えてみる」そんな希望をもった言葉であると言う。
 
 コロナ禍でメンタル不調を抱える人にとっての処方箋となるヒントが満載であるが、「ご機嫌おじさん」を目指す私にとっても非常に生き方のヒントになることが多かった。

 著者は、リセットの習慣として、【リセット1~99】と銘打ち、99の行動術を挙げるが、その中で、私が、取り入れたいと思った習慣を中心に振り返っていきたい。

【リセット70】「感じのいい人」の特徴を言語化する

 
 自律神経は伝播していくものなので、自律神経を整えようと思ったら、自分にとって「感じのいい人」と付き合うのが一番であるという。また自分にとって、「感じのいい人」を言語化すると、知らず知らずに自分でも意識するようになるという。

 私にとって、「感じのいい人」、目指したい人とはどんな人だろうか?
改めて考えてみる。 

 ・いつも笑顔で生き生きとしている
 ・話しかけやすい雰囲気を持っている
 ・それでいていざという時に的確なアドバイスをしてくれる

 そんな人だろうか。

 そんな特徴をもつ人を「ご機嫌おじさん」と呼びたい。そして、そんな人を目指していきたい。

 そう不機嫌は人間最大の罪なのだ。そんな人になるには、この本で取り上げる「リセットの習慣」の中から自分に合うものを取り入れると良いのではないか。 

【リセット55】「心・技・体」の「心」にアプローチしない

 
 心・技・体で最初に整えるべきは、「体」であるという。まずは、ベースとなるのは自分のコンディション
 その通りだと思う。そして、コンディションを整えるのに、私は睡眠をとても大事にしているが、本書でも自律神経を整える基本として睡眠を挙げている。

 そして、メンタルを強くするという「心」にアプローチするよりも、「心」は「技」でカバーするという。

 100回練習しても本番でミスをしてしまうなら、1000回は練習する

 名言である。技術を整えることで、「心の余裕」を生む。
なんとなく、自分の心に余裕がないときは、自分に自信がないときなのではないか。イライラして人に強くでてしまう。それは、自分の自信の無さであり、「体」(コンディション)と「技術」(事前準備)に問題がある。そんな風に思う。

 【リセット59】では、ひとりに責任を負わせすぎないとして、サッカーのPK戦の例をあげる。

 PK戦のときのミスの減らし方を聞かれた著者は、「監督が蹴る方向を決めてしまう」と答えたという。
 たしかに、自信の無い人には、迷いが生じて、不安になってしまい、普段通りの実力も発揮できない。
 
 考えることを減らして、責任がないことを明確にすることで、少なくとも普段通りに実力を発揮してもらう。心に負荷をかけないことで、技を本来の力で発揮してもらう。これも、心にアプローチしないということだと捉えた。

【リセット36】「イヤなこと」の対処法は「結論を出す」と「それ以上考えない」

 
 これも良いなと思ったリセットの習慣。イヤなことを抱えたまま放置していることは、自律神経にとって良くないと言う。

 ではどうするか?

問題を棚上げせずに、しっかりと向き合って、自分なりの「結論を出す」ことと、それ以上考えない事だという。自分なりに「結論を出した」という感覚があることで、一旦気分がリセットされ、自律神経が整うという。

例として挙げられていたのが、なかなか共感を持てることである。

「もう上司の機嫌をとることはやめる」
「メールは1日に1回しか返信しない」
「この問題は週明けに対処する」
「仕事だと割り切って、何の反論もしないで手を付ける」

【リセット19】で取り上げられていた、「軸を持てば自律神経は整う」というのとほぼ同義かなと思った。軸が定まる事で自分の判断や行動に納得感が出る

【リセット30】では、「軸を持つ」とは何かを捨てることという。こちらも心に響いた一節。

 すべてを握りつづけていると、結局は「大事なものをつかめない」

 時間は、有限である。自分にとっての軸を持つことで有意義でご機嫌に生きていきたいものである。

【リセット13】「ゴール」でなく「スタート」を目指す


 「リセット」という言葉にも象徴されるように、「ゴールではなく、スタートを目指して生きる」は、本書を貫くテーマでもある。

 定年まであと1年は、「あと1年で終わる」のではなく、新たなスタートの瞬間であると捉える。あと1年で終わるなら、そこから何をはじめるのか。そのために今からどんな準備をするのか?

 そのような思考法そのものがリセットである。

 その為の具体的な方法として、【リセット14】では、「今から何ができるか」を常に考えるという。

 過去を振り返ってうじうじ悔やむよりも、「今から何ができるか」。これもご機嫌でいるための秘訣なのではないだろうか。

【リセット8】気になったときは「行動するほう」を選ぶ


  行動すること。 これは私にとり1大テーマである。

たいていの人は「そう思って終わり」。実際に行動しない人が多いのではないでしょうか。

そう言われるとドキリとする。

 自律神経を整える上で大切なのは、「自分からいい流れをつくる」ことだという。
 行動することは面倒であるが、行動しないとわからないことはたくさんある。達成感も得られるだろう。

 とにもかくにも、気になったことは「行動する」方を選ぼう。

 今まで取り上げた以外にも取り入れたい習慣が多い。具体的には以下のような習慣である。

 【リセット45】夜8時移行はスマホを見ない
 【リセット73】「期待しない」と決めておく
 【リセット89】寝る前に3分「呼吸の時間をつくる」
 【リセット94】「発酵食品」「野菜」「きのこ」で腸内を整える
 【リセット99】「猫背をやめる」ただそれだけ

 まずは、これらの習慣を取り入れるという行動を起こして行きたい。

目指すのは、常にご機嫌な「ご機嫌おじさん」である。



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