【論文メモ3】組織から大切にされていると感じた人は組織に何をもたらすのか?
とりあえず、今年はいろいろな論文に接していきたい。
まずは、至近で調べている組織コミットメントや知覚された組織的支援(POS)に関するものを中心に。
「社員を大切にする経営」というのは、日本的経営の象徴するような言葉であるが、それによって、会社にどんなメリットがあるのか?
POS(知覚された組織的支援)による効果(成果)について書かれた論文を取り上げたい。
取り上げる論文
著者:Robert Eisenberger, Steven Armeli, Barbara Rexwinkel, Patrick D. Lynch and Linda Rhoades
タイトル Reciprocation of perceived organizational support.
(知覚された組織的支援の互恵性)
ジャーナル :Journal of Applied Psychology, 86(1), pp. 42-51, 2001
概要
413人の郵便従業員を対象に、知覚された組織的支援(POS)が義務感およびポジティブな気分を媒介して従業員の情緒的コミットメント、組織的自発性、役割遂行能力、および引きこもり行動に及ぼす影響を調査しました。
関連する概念
知覚された組織的支援(Perceived Organization Support)
組織がどの程度自分たちの貢献を評価しているか、自分たちのwell-beingにどの程度配慮しているかについての従業員の知覚
交換イデオロギー(Exchange Ideology)
従業員が職場での互恵性をどの程度重視するかを示す価値観や信念を指します。この概念は、組織支援理論において、従業員と組織の間の相互作用や関係性を理解するために重要な要素とされています。
引きこもり行動(Withdrawal Behavior)
従業員が職場や業務から物理的または心理的に距離を取ろうとする行動を指します。この行動は、仕事への不満やストレス、組織への低いコミットメントなどが原因となり、個人が組織からの離脱を試みる兆候と見なされます
変数
(a) 説明変数 知覚された組織的支援(POS)
(b) 調整変数 交換イデオロギー
(c) 媒介変数 義務感 ポジティブな気分
(d) 成果変数 情緒的コミットメント 組織的自発性 役割遂行能力 引きこもり行動
方法
413人の郵便従業員を対象に、POS、義務感、交換イデオロギー、ポジティブな気分、情緒的コミットメントなどを測定しました。アンケート調査を実施し、構造方程式モデリングを用いて分析している。
わかったこと
POSは義務感とポジティブな気分を通じて情緒的コミットメント・組織的自発性・役割遂行能力に正の影響を与えている。
互恵性(交換イデオロギー)が強い場合、POSと義務感の関連が強化されることが確認された。
感想
上司や会社から大切にされているという意識は、会社に何をもたらすのだろうか?
感覚的にすごくわかる結果であったが、義務感やポジティブな感情を媒介にしているといわれると説得力は増すように思う。あとやっぱり互恵性を感じるかどうかというのも人によるというのもわかる。
大切にされているという感覚を持ってもらえるようにどうやって働きかけていくかを考えていくのは大切だと再確認。