【読書感想文】図書館で出会った『ぶたぶたさんシリーズ』最新刊〜《ぶたぶたの湯治場》
図書館が好きだ。
というとカシコぶって聞こえるかもしれないが、先に宣言しておくが私はカシコではない。
新刊が並ぶ書店も、それはそれで好きなんだけど、図書館って最新刊も並ぶけど旧作も並ぶやん?
ざぁーっと書架を眺めて、題名や著者名、表紙を見て選べる。
【自分で買う】となると手を出さなくても、【貸出】ならいつもは読まないジャンルの作品、知らなかった著者の作品、可愛い表紙の作品にも気軽に手を出せる。
そんな感じで出会った、矢崎存美さんの《ぶたぶたさんシリーズ》。
☆☆☆☆☆
主人公はピンクの豚のぬいぐるみ『山崎ぶたぶた』さん。
いい声の中年男性の中身。
お料理が得意で、食べることも満喫している。
でも、豚のぬいぐるみ。
ジャンルとしてはファンタジー?
☆☆☆☆☆
シリーズでは料理人だったりお医者さんだったり、海の家を経営したり、書店を経営したり、カウンセラーだったり。
最新刊では湯治場の宿の主人。
相対する誰の話も、まずじっくりと聴くぶたぶたさん。
気負いなく、相手の警戒心を解き(そりゃまず初対面の人間は警戒するだろ)、気がつけば、自分でも気づいていなかった心のひだの隙間にこびりついていた事までぶたぶたさんに聴いてもらってたり。
そして、押し付けがましくなく、新しい一歩を踏み出せるようにそっと背中を押してくれるぶたぶたさん。
☆☆☆☆☆
【生身の中年男性】ではないところが、すごく大きい魅力だと思う。
そのあたりは、読んだ方なら『うんうん、ほんまそれ!』だろう。
いろいろな意味で生臭くないのだ。
【中年男性】なので世の中の事は心得ているが【ぬいぐるみである】というマイノリティの視点を持っている。
なので、女性・若者・高齢者といった【現代の日本社会ではマイノリティ扱いされ力を持たない側】に、自然に共感でき伴走できるぶたぶたさん。
『ぶたぶたさん』という稀有なキャラクターを創り出した矢崎存美さんを、ひたすら讃えたい。
☆☆☆☆☆
まず第1作を読んだら、もうあとは次々と借りてシリーズ全制覇。
シリーズのどの作品も[ファンタジー×ヒーリング]で、読んだあとはふんわり暖かい気持ちになる。
何かと慌ただしかったり気持ちがささくれたら、ぶたぶたさんに癒してもらいましょう。
☆☆☆☆☆
同じく矢崎存美さんの《NNN(ねこねこネットワーク)》シリーズもお勧めです。
ではまた。
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