BtoCビジネスの難しさ
BtoCビジネスは難しい。
BtoBより、確実に難しい。
私は何度もBtoCビジネスに挑んだが、今現在、残っているのは1社、扱うのは3種類の会員制サービスのみだ。(FC加盟の事業は除く)
今回はBtoCビジネスの難しさについて、書き綴っていく。
ちなみに、BtoCは個人に商品・サービスを売るビジネス。
BtoBは企業に商品・サービスを売るビジネスのこと。
金銭感覚の違い
BtoBとBtoCでは、圧倒的に金銭感覚が違う。
これがBtoCを難しくさせる一番の要因だ。
例えば、企業(会社の経費)として商品を買う時、10万程度だと躊躇しないかもしれない。
しかし、同じものを個人で買おうとした時、10万程度の支出に躊躇したりする。
簡単に言ってしまえば、個人の財布の紐は、とにかく堅い。
その堅い紐を解くのは、とにかく難しい。
逆に、会社員の多くは、会社の財布に興味がない。
数値上、成績上は気にかけていたとしても、所詮は他人の金だ。
必要だと思うものは、稟議を通す。
稟議が通れば、躊躇なく買うことができる。
スケールの違い
一般的に、BtoBは、高単価で顧客は少ない。
逆に、BtoCは、低単価で顧客が多い傾向がある。
一見、どちらも同じように思えるが、実際に両方をやってみると大きく違うことを痛感させられる。
BtoCは、多くの顧客と関わる必要がある。
顧客が多くなれば、トラブルの回数も増える。
敷居の低い低価格帯の商品を扱うと、さらにトラブルは増える。
この負担を想像できずにBtoCをはじめると痛い目に合う。
BtoCは、事業を運営するためのスタッフも多く必要とするケースが多い。
物理的に、一人二人の体では、運営ができない事業も多い。
スタートアップの小規模な段階から、経営者のマネジメント能力が問われることになる。
これは意外だと思われるかもしれないが、BtoBの方が「どんぶり勘定経営」が成り立ちやすい。
感情の違い
BtoCは、顧客の感情の影響を受けやすい。
論理的な考え方だけでは、通用しない。
例えば、会社で購入したものがイマイチな評価だったとしても「次はもっと良いものを探そう」で終わる。
しかし、個人で購入したものがイマイチな評価だと「SNSで怒りの投稿」をしたりする。
個人の購買には、感情が伴うことが多い。
逆に、企業の購買は、論理的な選択によって行われることが多い。
個人の購買意欲は、パッションから来る。
会社での購買検討時には、論理的に示された性能を求める。
――― 売るために必要となる努力が全く違う。
よくある失敗
例えば、BtoBの建設会社がBtoC事業として飲食店をはじめる。
よくあるケースだ。
しかし、その飲食店が3年続くケースは、かなり少ない。
下手をすると、1年すら持たない。
これはBtoCビジネスを甘く見ているからだ。
そこそこの商品を扱って、そこそこ洒落た店をつくって、そこそこの人材を雇って、そこそこ広告すれば儲かる。
そんな甘い考えだと、すぐに現実に疲弊する。
そして、閉店へ向かってまっしぐらだ。
BtoCビジネスに挑む場合、扱うのは「個人の心」だということを強く頭に入れておいた方が良い。
その上で、知恵を振り絞って、なお難しいのがBtoCビジネス。
――― 何度も失敗した私が言うのだから、間違いない。