【超番外編】若旦那が伊豆の山奥の宗教施設で半日以上軟禁された話~その3~
こちらの続きです。
物語はついにクライマックスへ…。
『だ…大天狗様…!?』
『ああ…大天狗様だ…!!!』
『手を振ってくれた!?きゃああああ!!!』
若旦那を囲み執拗に勧誘してきた女友達含む十数人の信者たち。
執拗に入信を勧めていた若旦那の存在が一瞬にして消え去ったかのように全員が一気に立ち上がり、あるものは窓に張り付き、またあるものは扉から外に飛び出し、「大天狗様!」と叫びながら眼の前をゆっくりと走る黒塗りの高級車に向かい歓声や嬌声をあげ、全力で手を振ります。
中には泣き出しそうになってるおばさんもいて、まるでアイドルやロックスタアに夢中になってるコアなファン集団の中に紛れ込んでしまったかのような状況…。
「これはTRICK(ドラマ)の世界…?」
口々に大天狗様大天狗様と叫ぶ怪しげな集団に囲まれ、自分自身が上田次郎(巨●)にでもなったかのような気分で、ちょっと笑っちゃいました😅
そしてそんな信者たちの熱狂をよそに、スっと目の前を通り過ぎる黒塗りの高級車。
数分ほどのざわつきによるハーフタイムが終了し、再び全信者の視線と関心の全てが若旦那に注がれます。
「若旦那君、あの車に乗ってるのが大天狗様!初めてここに来ていきなり会えるなんて、すごくラッキーなことなんだよ!すごいことだよ!もう入るしかないよ!!」
興奮冷めやらぬ様子で、女友達は勧誘を再開します。
他の信者からも、「こうやって大天狗様にも会えたんだし、入信すれば絶対に仕事もうまくいくから!」「健康になれるよ!」「お金持ちになれるよ!」と口々に根拠のないお誘いのエンドレスリピート。(既に、喫茶スペース入りして3時間ほどが経過。)
大人数で囲み、長時間の勧誘で正常な判断力や気力を奪い抵抗を諦めさせる作戦なんでしょうが、若旦那的には大天狗様の登場によるインターバルでかなり息を吹き返してきた&笑っちゃうほど分かりやすいカルトなんだなと再認識できていたため、ギアを上げて強い気持ちで後半戦?に臨めました。
ぶっちゃけ、信者たちの稚拙かつ根拠のない言い分をことごとく論破して強制終了させるということもできそうな心境ではありましたが、前回書いたように足も通信手段も断たれており、万が一実力行使に出られたら神隠し()に遭ってこの世とオサラバ…というリスクも…。
ということで、若旦那のミッションは
『彼らの機嫌を損なわないようにしつつ入信を断る』
この一点に絞られました!
入信を迫る信者たち!山奥のカルトの巣窟から逃げ出したいが、足もなく携帯の電波も届かない!
様々な欲望に負け、宗教施設に軟禁された若旦那の運命やいかに…!!
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