The Christmas Guest by Peter Swansonよむよむ
季節外れとかどうでもいい。最新作なら読むしかない。装幀はHolly Ovenden いつもと違う方だ。出版社はハーパーコリンズで同じ。この本が他の本とちょっと違うのはクリスマスもの、季節ものとして書かれていることと、中編に分類されるであろう、あまり長くないこと。きっとプレゼントに最適に作られたものなのだと思う。エピグラフだってディケンズのクリスマス・キャロルである。最後まで読んでクリスマス・キャロルのことを思い出すとなるほど、と思うようなお話なっているのだ。(なるほどな!)
献辞はクリスマスがきらいだったパール・テイラー・モイ二ハン叔母とそんなに好きでもなかったスー・エリス・スワージー叔母の二人の叔母様に捧げられていました。実はこの本には後書きがあり、自分はクリスマスが大好きだけど、クリスマスが好きじゃない人がたくさんいるのも知っている。そういう人のためにも書きました。と書いてあります。だからクリスマスが好きじゃない人でも読めます。
クリスマスといえばミステリーだ!というもちろんクリスマスのミステリ本ベストリストも発表しているスワンソン。この本はもちろんスリラーではあるけど、私は、こう思った『ブリジットジョーンズの日記』みたいじゃない?と。なのでそれが好きな人は楽しめると思います。
スワンソン作品はたぶん必ず出て来る本棚に注目してみた。今回はアシュリーがアダムの部屋に忍び込み、アダムの本棚を眺めるシーンが出て来る。アダムの本棚にあるのはたくさんの子供の本、例えば、タンタン、ロアルド・ダール、アステリックスとオベリックス。それからいくつかの、イアンフレミングの小説、スティーブンキング、マーティン・エイミスの本がある。アシュリーはその中から『香水 ある人殺しの物語』(たぶんパトリック・ジュースキント)を選んで拝借し、アダムもこの本のページをめくったのだを読んだのだということを嬉しく思いながら読むことになる。
タンタンは、日本でも翻訳がたくさんあるし、ロアルド・ダールは『チャーリーとチョコレート工場』の人だから知っていたけど、アステリックスとオベリックスは知らなかった。有名なフランスのコミックらしい。スティーブン・キングはさすがに私でも知っているが、イアン・フレンミングは『ジェームズ・ボンド』の作者なんだ。マーティン・エイミスは最近映画化された『関心領域』の作家だった。アダムは将来地方議員にまでなるから、この本のセレクションには、それほど読書家ってわけではないけど、名誉欲の強さそして、殺人への興味みたいなものが現れているのかもしれない。
ちなみにこの本の舞台はイギリス(回想部分)とニューヨークなのだけど、ニューイングランド地方についての記述もやっぱり出て来る。ニューヨークにいればクリスマスは避けられない、でもメーン州のペノブスコット・ベイまで行けば呪われたクリスマスの思い出を忘れられたっていうところでした。
最後に例の、スワンソンのクリスマスおすすめミステリ本のリスト。ガーディアンの記事だけど、見られなくならないといいな。
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