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「BucketheadはKFCのバケツをとっても変態だった」 (サージ・タンキアン)

歴史上、Buckethead ほど正真正銘の謎めいたギタリストはいないでしょう。バケツをかぶったこのギターの名手は、GUNS' N ROSES に短期間在籍していたことはもちろん、イギー・ポップからレス・クレイプールまで、あらゆるジャンルの伝説とコラボレーションしてきました。中でも、2005年にリリースした "Enter the Chicken" は、SYSTEM OF A DOWN のサージ・タンキアンとのコラボレーションから生まれた名作です。

この作品が Buckethead の640枚のアルバムの中でも異彩を放つのは、ボーカルが入っているから。インストの専門家 Buckethead にとっては異端ですが、誰もが彼のギターに宿る歌心をボーカルで聴いてみたいと思っていたのです。つまり Buckethead にとってはチキンクリスピーでも、リスナーにとってはフライドチキンだといえるでしょう。

タンキアンは、10時間に及ぶ新しいオーディオブックで、このアルバムの壮大な裏話と、Buckethead と高校のバンド・バトルで共演することになった経緯を明かしました。

「Buckethead が GUNS N' ROSES でギターを弾いていた頃、前衛的なベーシストでプロデューサーのビル・ラズウェルを通して彼と知り合ったんだ。
僕たちはお互いに好きな音楽や本を送り合った。時々一緒にいて、音楽の話をした。するとある日、バケットから電話があって、お金が必要だと言われたんだ」

タンキアンはすぐに、喜んで金を渡そうと言いました。しかし、Buckethead には別の計画があったのです。

「彼は "君のためにレコードを作らせてくれ" と言ったんだ」

ちょうどそのころ、タンキアンは自宅のすぐ隣に800平方フィートのスタジオを建てていました。そうして Buckethead の新作に対するビジョンに興味を持ったタンキアンは、Saul Williams, Bad Acid Trip, Deli Creep's Maximum Bob など、多様なアーティストを招き、一緒に仕事をすることにしたのです。多様性と寛容さが当たり前となった20年代モダン・メタルの世界。しかし20年前から彼らは、メタルで文化や人種の壁を取り払おうと企てていました。

「バケットと一緒に何曲か書いて、演奏して歌い、アルバム全体を共同プロデュースした。バケットはいつもたくさんのレコードを作っているし、いろいろなタイプの音楽をやっていて、いろいろな人たちと仕事をしている。バケットがこれまでやってきたさまざまなことを1枚のレコードにまとめたら、どんなサウンドになるんだろう......バケットのコンピレーションみたいなものかな......とずっと思っていたんだけど、トーンやヴァイブス、カラー、クリエイティビティが異なるたくさんのシンガーたちと一緒にやったら、どんなサウンドになるんだろうとずっと考えていた。幸運なことに、この作品に参加したいという友人たちに恵まれ、とても幸運だった。」

そうしてタンキアンは自身のレーベル、サージカル・ストライクからもアルバム "Enter the Chiken" をリリースしたのです。

「バケットとの仕事は、端的に言えば、とても素晴らしい経験だった。彼がKFCのバケツを頭から外し、マスクをしまっても、到底普通の男とは思えない。いや、彼は間違いなく普通の男ではないよ。
朝の4時に電話をかけてきて、留守電に15分のギターソロを残していくことさえあった。彼はエキセントリックで、鋭敏な感受性を持っていたよ。特異な創造的精神を持っていたんだ」

タンキアンの Buckethead 体験には、剥製にインスパイアされたミュージック・ビデオも含まれていて、これは "Enter the Chicken" の政治的なエスプリを完璧に要約しています。

「"We Are One"(アルバムからのシングル)では、バケットは剥製師を演じていて、たくさん路上で殺された動物を拾ってきて、そのパーツをフランケンシュタインのように組み合わせて、ある種の怪物のようなスーパーアニマルを作るんだ」

Buckehead との芸術的仲間意識はそれだけにとどまりません。

「彼はまた電話をかけてきて、彼の出身高校で一緒にライヴをやらないかと誘ってきたんだ。私の記憶が正しければ、そのイベントはバンド・バトルだった」

そして高校のバンド・バトルに PRIMUS のドラマー、ブライアン・"ブレイン"・マンティアとともに、タンキアンもサプライズで登場したのです。生徒たちを喜ばせたのは、Buckehead、タンキアン、マンティア、そして Buckethead のベーシスト、アンソニー・"バットハウス"・チャバが、"Enter the Dragon" のテーマ曲を演奏したことでした。

「学校の体育館にセットアップして、僕がボーカルを作りながらジャムったんだ。純粋な意識の流れ。学校の子供たちは熱狂したよ!そして僕もね!SOAD で何年も規則正しく物事をこなしてきた後では、このような緩やかなアプローチは信じられないほど新鮮だったんだ!そしてこのアルバムは、あのころ最も多様性に富んだロックの1枚と言える。ロック・レコードと呼べるのであればね」


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