ミシュラン三つ星フレンチで、モルモットに出会ったあの日
ニューヨークのミシュラン三つ星フレンチ。
ずっと行きたかったお店に、会社の先輩たちと行って来ました。
シックでおしゃれな内装。いかにもお金持ちな、煌びやかな人たちで満席の中、ドキドキしながら席に着きます。
メニューは日替わりのコース一択で、追加料金を払うと内容を変えられますが、そのままのコースを出してもらうことに。
綺麗なお皿に乗った素敵な料理が、次々に出て来ます。
料理の内容は、サーブされた時に、説明を受けて初めて知ります。
前菜が終わり、お魚が終わり、さあメインのお肉が来た…!
色の薄い、柔らかそうなお肉。
はて、何だろう?と思い、ウェイターの彼の説明を待ちます。
ウェイターの彼「ギニアピッグのほにゃららら(※英語)」
…ほにゃらららの前、何って言った…?
ギニアピッグ…
Guinea pig…
モルモット…?
脳内で、生まれてから出会って来たモルモットたちが、走馬灯のように現れ、そして消えていく…
モル?この、何とも柔らかそうな、あなた、モルなの…?
蘇る、若かりし日の記憶。南米だと、モルモットって、わりとポピュラーだよね。丸焼きいっぱい売ってたよね、路上で…
蘇る、わりと最近の記憶。この間、妹が飼い始めたハムスター、わりとモルモルしてたな…あれかぁ…
もう、ミシュランも三つ星まで来ちゃうと、モルモットに至るんだ。高級モルモット牧場が、アメリカのどこかにあるのだろうか…
ものすごい勢いで、すん…と、落ち着く食欲。
かつてこれほどまでに、食事中に食欲を失ったことが、あっただろうか。
脳内で高級モルモット牧場まで思い浮かべ、ふと前を見ると
モルモットより白い、先輩の顔。
やばい、先輩、死んでる。
先輩「今、モルモットって、言った…?」
まるか「言ったかと…確かに、南米では、よく食べますよね、モル…」
先輩「…」
ようこそ、絶望の宴へ。
その後、モルモット(仮)を食べたり食べなかったりして、次に来たお肉のお皿がラムで、ラム苦手な先輩と私は更に、心肺停止し…
デザートで、なんとか蘇生し。
もう三つ星は、ちょっと我らが太刀打ち出来る相手ではなかった、と。肉と言えば、牛・豚・鶏の世界で生きている人間にとって、モルモットと羊は、ねじれの位置にある、と…
三つ星の恐ろしさを実感した帰り際、本日のメニューですって、紙渡されました。
Guinea pig(モルモット)に気を取られて、聞き取れなかったほにゃらららは、何なのだろうと、見てみました。
…Guinea pig(モルモット)、いない…
本日、2度目の衝撃。
モルモットじゃ、なかった、だと…?
Guinea henって、書いてある…
hen…めんどり…ギニアの、めんどり…?
ググりました。
Guinea hen…ホロホロチョウ。アフリカに住んでる鳥。
長い人生で、聞いたことはあった、ホロホロチョウ。
君、だったんだね…
正直、君の見た目も…
あんまり、食欲はそそられないけれど…
わざわざ、アフリカから来たんだぁ…と。それとも、高級ホロホロチョウ牧場が、アメリカのどこかにあるのか、何なのか。
家に帰って、友達に報告しました。モルモットかと思ったら、ホロホロチョウだったって。そしたら、一言。
友「ジビエは避けてって言えばよかったのに」
あーなるほど。ジビエっていうのは、鹿とかだけじゃないんだ、ホロホロのやつも、ジビエなのかぁ…
もうね、大人の階段、一段飛ばしで上った気持ちです。
実際には、転げ落ちた感、満載ですが。
生涯にわたって忘れなそうな、Guinea hen(ホロホロチョウ)。
でも生涯にわたって、再登場は、ないだろうな…
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