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さくら
だって、だってだって、こうでもしなきゃ君は酸素のようにスルッと手の中を逃げて消えていってしまって。
手の届く距離にいたかと思うといつの間にか空高く、僕の届かない場所にいたり。
そう、本当に君は自由で。
本当は力いっぱい触れて、この手で握り潰してしまいたいんだ。
だって僕のものには絶対にならないから。
でも出来ないよ。できるわけないよ。
愛しているから。
君が幸せになるのは僕の隣じゃないのに、僕は君の幸せをずっと願ってしまっている。
つらいよ。ずっとずっと、胸の奥。
つらいよ。君と出会ってから、ずっと。
できるならば、ずっと隣にいたい。
春だけではなく。
咲いている間だけではなく。
けれど花はずっと咲き続けることなんてできない。僕のこの気持ちもきっと、いつか消えてしまうのだろう。
せめて今だけは。
愛させて欲しい。愛して欲しい。
桜の花びら舞う、春の風が吹く間だけは。