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2019年も映画は面白かった ― アカデミー賞をとってほしいあれやこれや

今年観た映画に感謝の意でも記したい…と思いつつもぐだぐだしていたら、いつの間にか2019年が今年ではなくなってから2週間も経っていた。怠惰。

映画垢界隈のみなさんのような本数や熱量で作品を観られてはいないのだけど、それでも新作映画を心待ちにし、鑑賞後は感想や考察を拝見して、映画と映画を観る人々に楽しませてもらって一年がまた過ぎた。TwitterやらnoteやらFilmarksに一貫性なく記録していたのだけど、心に残るものをまとめておこうと思う。

ちょうど第92回アカデミー賞ノミネート作品が発表された(※2020/1/13)ので、大予想!というほどでもなく「この人、この作品がとってほしいなあ」という願望を込めてみます。

※ネタバレはないつもりですが、少しでも気になる方はまたいつか読んでくださると幸いです…!私も前情報一切なしで鑑賞するのが好きです。

●『1917』(1917 最後の伝令)●

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気づいたらめちゃくちゃ賞を詰め込んでた。「映画館で観たいと思わせる作品」はこのサブスク天下時代は大いに意味のある作品。そんな圧倒的映画体験。「家に最強の音響と映写設備のあるやつ以外、映画は映画館で観ろ」過激派なので、応援したくなる。

全編長回し(風)に作られていて、「観客が、どうやって撮影(編集)されたのかばかりが気にならないように、脚本も良い仕上がりになっているはず」(意訳)と監督サム・メンデスは言っていた。

が!

脚本の出来がいくら良くてもこれは気になるだろ…。鑑賞中はほとんどの時間「何これどうやって撮ってんの???」っていう疑問でいっぱいだった。

緻密な計画をベースに、兵士の歩数に合わせたセットの組み立て、光と陰の徹底された演出。リアルタイム演出で強調される塹壕戦の地獄絵図。鑑賞後は撮影裏映像もぜひ。

イギリスを代表する豪華俳優陣がちょいちょい出てくるのもたまりません。大好きコリン・ファース、大好きベネディクト・カンバーバッチ、大好きアンドリュー・スコット。

●『Little Women』●

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「当時こんな家族がいたんだという事実に希望が持てる」(意訳)って長女Meg役の人類における大正義エマ・ワトソンが言っていたけど、まさしくそう思った。
それを伝えるに余りあるほどの愛情に満ち溢れた映画だった。

4姉妹それぞれの人生でやりたいことがあり、この時代の女性としてどう生きていくかを悩み、家族を大事にし、姉として、妹として、ぶつかり合い。姉妹同士での会話では発言が折り重なるように制作されていて、姉妹たちのつながりが音からも感じ取れる。

役者陣は全員良かった。シアーナ・シャロンの主演女優賞のノミネートもうれしい。でもティモシー・シャラメについては別で語らないといけない。
もうこの時代のプリンスか何かでしょうか?衣装が似合いすぎる。ずるくない?元々ティモシー好きな人は最早映画に集中できないだろうし、ティモシーを知らない人も沼にハマるわ。

あるシーンがお気に入りなんですがティモシーのアイディアだそうで…こうしたいというアイディアを生む役者の力と、それを生ませやすくする環境を準備して作品に落とし込む監督の力があるんだろう。

お恥ずかしながら原作未読だったので、ハードカバーで劇中写真が使われているものを即買いしました。電子版派でも映画を観終わったあとに本として手元に置いておきたくなる。

邦題は無視してかたくなに『Little Women』で通すぞ。

●『Joker』(ジョーカー)●

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観客が各々の解釈や感想を「ああでもない、こうでもない」と語りたくなる映画は、推敲の余地がある深いメッセージがあることの裏付け。肌感ですが年間で一番あちこちで語られていた映画でしたよね。飛び交う意見を耳にして劇場に足を運んだ人も多いのでは。

『ダークナイト・ライジング』上映初日の映画館で銃乱射事件があったことと、全米で銃乱射事件が絶えない一年だったので、それなりの警戒心を持ちながら映画館に向かった。なんでこんな警戒しながら映画を観てるんだろう、映画の中の世界と現実がそんなに変わらないじゃないか、ヒースのジョーカーは「カリスマ性あるやばいやつ」だったけどホアキンのジョーカーなんて「共感できちゃうやばいやつ」じゃないか、道歩いてたらいるよこんな人、ホアキン…おそろしい…とか色々思って今でさえ感想が一切まとまってない。

●『Bombshell』(スキャンダル)●

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知ったこっちゃないって話だけど助演女優賞は一番迷いに迷った。『マリッジ・ストーリー』のローラ・ダーン、『ジョジョ・ラビット』のスカヨハも本当に最高だった。でもマーゴット・ロビーに助演女優賞を受賞してほしい。彼女の演技にやられぼろっぼろ泣いたからだ。

タイムリーにハリウッド大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインの裁判が始まった。競争が激しく厳しい業界で、誰もが欲しがるポジション、チャンスを餌に権力者が異性を性的に搾取する。「自分で望んだ」という内からと外からの批判、今の立場を失うリスクを前に告発できる人がどれだけいるだろう。

ほんの数年前の出来事をすぐ映画化するスピード感がすごい。シャーリーズ・セロン扮するFoxの元キャスター、メーガン・ケリーは本映画への関与を否定してましたね。

トランプが割とチープな編集で登場するの、笑ってしまう。

●『Jojo Rabbit』(ジョジョ・ラビット)●

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設定の面白さが群を抜いてる。ギャグとシリアスのバランスが半端ない。ジョジョの成長と人との関わりのあたたかさが心地よく、これから先何度も観返す作品になりそう。ジョジョ役の子の今後が楽しみだし、スカヨハも最高だし、サム・ロックウェルも味がありすぎる。総じて素晴らしい映画。

●『Marriage Story』(マリッジ・ストーリー)●

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開始早々引き込まれる。アメリカ特有の西海岸・東海岸のライフスタイルの違いが全面に出されるのが面白い。

アダム・ドライバーはハマり役で痛々しい姿はすごくリアル。「早くオスカーをお持ちください」ってレベルだけどホアキン強すぎ問題があるので…。

二人の会話、弁護士との会話、家族との会話などなど、会話劇がよすぎるという安直な考えで脚本賞に期待。

●『Once Upon a Time in Hollywood』(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド)●

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画力、強すぎる。ブラピ、観客にはすでにブラピ像が存在するし、これまでの数々の役のイメージが付き纏うにも関わらず、この演技。

「マーゴット・ロビーとは良心だ」(意訳)とタランティーノが言う、彼女の可憐さや愛らしさあってからのクライマックスが痛快でしたね。

●『Parasite』(パラサイト/半地下の家族)●

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なぜかホラーやスリラーの類だと思っていたので気になるけど観られない、と勝手に避けていた。早く観ればよかった。社会派であり喜劇であり悲劇だった。

面白い冗談を別言語に訳したら面白くなくなるというようなことは往々にしてあると思うのだけど、だからこそ字幕で、アメリカ人が、爆笑している!というのは衝撃だった。ドッカンドッカンうけていた。すごい。巧みな展開も相まって脚本賞を獲っても全くおかしくはない。

何かを語ろうとするとネタバレになりそうなのでやめる。

というかこれは2020年映画初めで観たんだった。アカデミー賞間違いなしなので入れさせて。

●『Ford v Ferrari』(フォード vs フェラーリ)●

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先日F1を初めてサーキットで観戦したんですが、この映画の方が臨場感があった。どういうこと。

クリスチャン・ベイルが役に合わせて変幻自在なのはもうわかった。毎度毎度すごい。

鑑賞後「7000RPM、240mph!w」って絶叫しながらBGMをかけてかっ飛ばして帰った。(田舎)

●『Judy』(ジュディ 虹の彼方に)●

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『オズの魔法使』のドロシー役の子     ⇒ わかる
『オズの魔法使』のドロシー役の子のその後 ⇒ わからない
という程度の知識で見に行きましたが、これはご本人が憑依しているほどの出来栄えなんだろう…というのがなんとなくわかった。ブリジット・ジョーンズとしてのレニー・ゼルウィガーしか知らないから余計に驚いた。

彼女を重いスターダムにのしあげた、トレードマークの『虹の彼方に』をJudyはどう捉えていたんだろう。

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アカデミー賞への願望はここまで…!!

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●『First Man』(ファースト・マン)●

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観た瞬間、これは私の中で年間一番だ…と確信をした。(大げさ)('19年2月時点)これだけ技術が進歩していてド派手な映像を撮れるというのに、この映画は誠実に生きた人を誠実に撮っていた。史実に忠実であることに重きを置いて、50年も前にニール・アームストロングがどうやって月に足を踏みしめたかというのをド真面目に作品にしていた。

鑑賞から半年後、念願のヒューストンNASA宇宙センターで月面着陸50周年記念イベントに行ったこともあり、大切な作品になった。

●『The Guilty』(ギルティ)●

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音声での情報のみを頼りに観客が想像を膨らませて情景を思い浮かべる。自分の想像で作ったその情景を鑑賞後すごくひきずった記憶がある。
大好きジェイク・ジレンホールでハリウッドリメイクする噂があるのでシリアスジェイク待機。

●『The Peanut Butter Falcon』(ザ・ピーナッツ・バター・ファルコン)●


●『Green Book』(グリーンブック)●

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「人」としての気品とは。黒人のソウルフードという歴史と文脈を背負ったフライドチキンのシーン、良すぎましたね。

●『Avengers: Endgame』(アベンジャーズ/エンドゲーム)●

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これはアベンジャーズとMCUを必死に追いかけていた人たちへのご褒美で、これまでよく追いかけてきてくれたねありがとうと言われているようだった。
直近のスター・ウォーズのように『よう広がりすぎた風呂敷たたんだな』程度の感想で終わるのでなく、しっかり各キャラを立たせて物語を紡いでいた。(SW9については愚痴を肴に酒が止まらない)

アベンジャーズ初期メンがおそろいのタトゥー入れてるの、かわいい。ハルク役マーク・ラファロだけチキったというエピソード、かわいすぎ。


●『Spider-Man: Far From Home』(スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム)●

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エンドゲームで一時代が完全に終わった。虚無。と思っていたら本作は完全にエンドゲーム後日談だった。まだ時代続いてた。

10年間ジェイク・ジレンホールを愛しているのでMCU入りは本当に心底嬉しかった。謎の金魚鉢を頭からかぶっていても問題なし。彼の雰囲気、キャラクターが活かされた役柄で。たとえ今後MCUの世界に現れなくてもいいんや。ジェイクがMCUに一瞬でも現れたという事実を胸に生きていける。ありがとう。

●番外編:最高のドラマ『Fleabag』(フリーバッグ)●

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Fleabagはいいぞ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

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他にも載せたい映画はあったんだけどそろそろ断念。

邦画をほぼほぼ観られていないので、今年は評判作から気になる作品まで追いつきたい…!

2020年もたくさんの素敵な映画に出会えるような一年にしたいです。本年もどうぞよろしくお願い致します。

また覗きに来てくださるとうれしいです~!