【漫画紹介】きみの絶滅する前に|リナ@石垣島|漫画ノオトVol.3
こんにちは
10月になり、暦の上では秋です🍁
秋のないここ石垣もほんのり...
本当に、ものすっごーーーーくほんのり涼しくなりましたね🍃笑
「物憂う秋」なんていいますが
秋ってほんの少し、考え込んだりしちゃう季節
「芸術の秋」なんて言うのも、そういうアンニュイな気持ちだからこそ、芸術に触れると心が動かされやすいのかなって思ったりします✨
第3回目は、そんなちょっぴりアンニュイな時期にピッタリなのでは?な作品を紹介させて頂きます📕♡
『きみの絶滅する前に』
原作:後谷戸隆
漫画:我孫子楽人
全1巻完結
見てくださいこの表紙の引きの強さ!
私はジャケ買いしました♡w
あらすじをザッと説明しますと
。。。
一緒に暮らしている2羽のペンギン。
同種を愛しているからこそ、絶滅を企てるペン。
卵の代わりに、石を温め続けるマール。
「石を温めるなんて無意味でくだらない。生きているのは辛く苦しいのだから、みんなを絶滅させて救ってあげる。」という、何とも悲しい思想のペン。
そんなペンに対して、マールが「そんな事はないよ。」というメッセージを、何度も、何度も、ペンに伝えていく。
。。。。
そんな内容の物語です。
「生きている意味ってなんだろう」
このテーマを終始通しながら、絶滅した(あるいは絶滅危惧種である)動物たちが登場してストーリーが進んでいく、オムニバス形式の物語です。
登場するのは
・ペンギン(全18種類の内、レベルの差はあれど11種が絶滅危惧種)
・ハワイガラス(2002年に野生絶滅種。現在は飼育下でのみ生息)
・ラッコ(2020年に絶滅危惧種レッドリスト。2003年から輸入も途絶え日本国内には3頭のみ水族館で生息。)
・ニホンカワウソ(1979年に絶滅。正式な宣言は2012年。)
・カカポ(一時期50羽まで減った絶滅危惧種。現在は200羽程度。)
といった動物達で、物語のテーマでもある「生きている意味(生産性)」と「絶滅」がうまく絡み合っているなぁと思います。
前回紹介した「違国日記」は、ストーリーやセリフ部分に“余白”的なシーンが多く、「読み手にその奥の部分を想像させる」といった作品なのですが、
この作品は“余白”ではなく、作中のセリフや言葉で、何度も“あなたはどう思う?”と「読み手に問いかける」作品。といった印象を持ちました。
直接的ではなく、まわりくどい感じですね。笑
そういう作品、個人的に大好きです♡笑
最近の風潮って、「ラストを先に知る(ネタバレ)」とか、「タイトル長めで物語の全て説明」的なの多いじゃないですか。
「ニートとか社畜が転生して悪役令嬢とかチート勇者になって敵国王子に溺愛されたりチート能力すっぽかして田舎で亜人の嫁とスローライフ」的な。←
私が知ってる中で一番長いタイトルなんて
「信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!」
です。すごい!🤣
私はこの作品を
『漫画界の“愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない”』と呼んでいます✨️(めっちゃタイトル長いな!の意)
それぞれもっと長いタイトルあるかもですが、私の知る範囲なので悪しからず✋️
。。。
。。。。。
いや何の話!
「読み手に丁寧に事前情報説明」作品もいいけど、「読み手に想像させる。問いを投げかける」作品もいいよね。って事です♡笑
ところで、物語のテーマでもある
「生きている意味」って何だと思いますか?
漫画の中で出てくるのですが、ペンギンが石を温めるのは、卵の代替物を持つことで子供がいない(子育て出来ない)ストレスを紛らわす為だそうです。
生まれたからには、子孫を残して、種が途絶えない様に貢献して、生きていく。
確かにそうしないと、人口が増えないし、国を存続させるのは難しい。
でもだからといって、「再生産的未来主義」という、産めや増やせや。な思想って、正しいのかな?
LGBTQIA+なセクシャルの人達。
そうでなくても、子供を(望んでも、望まなくても)持たない選択をした人達。
彼らは「生産性のない人種」でも「生産性のない婚姻」でも決してないし、子供を産むという事だけが人間の存在意義じゃない。
「子供を産む=生産性」っていう考えって、安易的で想像力が乏しい様に感じます。
でも少なからず、法律で認められていなかったり、周り(世間や親や友達)の目だったり、自分自身にもそういう考えが当然みたいにあるのも事実で。
私自身の話になりますが
20代の頃には「いつ結婚するの?」とか「孫の顔が見たい」とかの言葉に、焦ったり自分自身を追い詰めたりしていた時期がありました。
親からすると、何気ない言葉だし、追い詰める気はないんだろうけどね。
そして、息子が産まれ育っていく中で、「息子がもし、男性と結婚するって言ったら。孫の顔は見れないけれども、反対しないし応援する!」なーんて、理解ある母✨️的に思っていたりしました。
でも、ある日ふと気付いたのは「女性だろうが男性だろうが、息子が結婚する事が当然」と思っていた自分自身。
「イヤ、そもそも結婚しない人生もあるよね。」
「望んでも望まなくても、一生独身だっていいじゃん。」
この考えに至らなかった自分が、なんて自分勝手なんだろう...と恥ずかしくもなりました。
「生産性(子供を産む)」がなくたって、息子が楽しんで満足している人生ならそれだけで充分。
それは、息子自身の人生であって、私(親)が出しゃばる事ではないなぁ。と。
こういう思想(国や世間や親の常識)って根深いんだな...と気付かされた出来事でした。
時代と共に、思想や常識が変わっているから、
自分自身の思考のアップデートって大切ですね。
モチロン!
息子が将来パートナーや子供に恵まれるのを期待する私自身の気持ちガッツリありますけどね。笑
この物語で「生産性がなくたって生きている意味」の象徴が、正にマールの温めていた「石の卵」で。
マールのセリフ1つ1つに、「生きている意味」に対する気持ちが込められています。
あなたにとって、世間一般的に見ても、自分から見ても“無駄だなぁ”とか“何の役に立つんだろう?”とか思いつつも、やっていて楽しくて仕方ない、やめられない事。
もしかしたらそれこそが、あなたにとっての「温めるべき石の卵」なのかもしれません。
その石を温めている時にはきっと、“種が”とか“国が”とか“社会が”とか“親が”とか、大小の難しい問題なんて忘れて、ただ1人の“自分”だけになれる。
それってきっと、最高に楽しい、幸せな瞬間だと思うのですよ。
それを味わえただけで「生きている意味」はあったし、
何ならそれを味わう為に生まれてきたのかもしれない。
そう思うと、何だか少しだけわくわくっとしませんか🤭?
あなたにとっての「石の卵」は何ですか?
1人完結でも、人と共同でもいいよね♡
1個だけでも、100個あってもいいよね♡
前は青い石、でも今は黄色の石。っていう変化があってもいいよね♡
あなたにとっての「石の卵」を思い描きながら、この物語の動物達の生き様や問いかけを受けとめてみる。自分自身の事を、感じてみる。
アンニュイな秋の一冊として、読んでみてはいかがですか🍁🍂?
これにて『きみの絶滅する前に』のオススメを締めさせて頂きます📕
最後まで読んでくださり、ありがとうございました😊✨
この記事を書いた人
リナ
石垣出身。書店員。
幼少期から本も漫画も大好きです。基本は少年青年漫画(アングラ系)好き。
脳内が疲れた時は癒やし漫画と少女漫画♡
動物と子供漫画は秒で泣くタイプ。アニメも好きです。
10月期ではモチロン!大本命で最推しは「チ。-地球の運動について-」
あとは「ダンダダン」と「殿と犬」を楽しみにしてます☻
「あおmade」という名でハンドメイド作家をしています。
Instagram:aone88linux
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